「デビューから16年、私はずっとストーリーテラーとして歌ってきました。私にとって全ての曲が物語であり、聴いてくれる人ひとりひとりが主人公である感覚になってほしいと思って、いつもレコーディングしてきたんです」
今回のベストは昨年のツアーでファンに募ったリクエスト人気曲や新曲を含む全52曲というボリューム。4枚のディスクを映画館に見立て、テーマごとに曲を分けて収録した。
「私自身が大きなシネコンになったイメージで曲を振り分けていったんです。大きな愛の物語をご用意した『RED』。ままならない想いの物語を『PURPLE』。キュンとする恋に落ちたあなたに『PINK』。日々がんばっている全ての大人に『BLUE』。きっと多くの人は普段のモードは『BLUE』だと思うんですけど、時々『PURPLE』や『PINK』に揺り動かされて最終的には『RED』に行き着いてほしい。もう無限ループで聴いてもらいたいですね(笑)」
一生に一度の恋愛が1曲に封じ込められているような、JUJUさんの歌の世界。ポップ/R&B/ファンク/ジャズ/ロックとジャンルも幅広く、それぞれに声の質感や歌い方も違うから、レコーディング前の準備にもじっくり時間をかけているのかと思いきや……!?
「意外とそうでもないんですよ。レコーディングはタイトなスケジュールで進むことが多いから、曲を渡されてすぐ歌入れをしなきゃいけないことが多くて。それに私はあくまでも語り部だから主観を入れすぎずに歌うことを大事にしていますし、歌い始めたら入り込んじゃうんです」
歌の主人公が瞬時に憑依してしまうような感覚。JUJUさんがそんな体験を自覚したのは、なんと小学生の時だったのだとか。
「国語の本読みの時間に『キタキツネのチロン』というお話を音読したんですけど。『ダメじゃ、キタキツネに触ってはいかん』という台詞で、急におばあさんの声になっちゃって(笑)。自分でもびっくりしたのを覚えています。私のそういうところは歌う時にも生かされているかも」
だからこそ「やさしさで溢れるように」のような温かなミディアムナンバーから、「STAYIN’ ALIVE」のような華やかなアップチューンまで、いろんな女性の生き様を演じきる。“あなたの物語”を歌ってきた真摯な想いが伝わるベストだ。
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「これまで本当に良い曲に恵まれてきたなと思います。毎年ツアーをやるたびに“今までで一番幸せ”と思えることも、ありがたいこと。今回もベストを携えたアリーナツアーを秋にやります。お祭り騒ぎしたいので遊びに来てください」
ジュジュ 2004年『光の中へ』でメジャーデビュー。2006年『奇跡を望むなら….』がロングヒット。高い歌唱力に、邦楽やジャズのカバーでも絶大な支持を受ける。9月からはアリーナツアーが予定されている。
ベストアルバム『YOUR STORY』。人気曲や新曲を含む全52曲。テーマで分けた4枚のディスクで楽しめる。【初回生産限定盤(4CD+DVD)】¥4,800 【通常盤(4CD)】¥3,600(Sony Music Labels Inc./onenation)
※『anan』2020年4月15日号より。写真・小笠原真紀 取材、文・上野三樹
(by anan編集部)