“なりたい自分になれる”勇気が湧いてくるマンガ
好きな服があるけれど、周囲から浮くのは怖い。そんな悩みを描いて共感を呼んでいる『着たい服がある』。その著者が、常喜寝太郎さん。
「高校生くらいから服が好きでした。自分は着たい服を着てるだけなのに、周囲に受け入れてもらえなかったり、好きな女の子に振り向いてもらえなかったり。だから、マミの悲しさは、自分もよくわかるんです」
2巻に入り、マミが育った環境などバックボーンが見えてくる。
「マミがずっと会っていなかった父親に会う回があります。実は僕にも同じ経験があって。そのときの実感を、マミの気持ちに重ねました」
そう、親子の葛藤あり、生き方をめぐる煩悶あり。ただのおしゃれピープルのためのマンガではない。
「最初は『好きな服を着たい人の背中を押します』的な内容だったのですが、連載するに当たって、読者の心にもっと突き刺さるテーマを入れたいと担当さんとも徹底的に話し合いました。それで、マミが『自分らしさとは何か』を考え始める展開にしました。簡単には答えが出ない悩みだけれど、自分も友達のちょっとしたひとことで救われたりしたことがあるので、そういうメッセージを伝えていきたいです」
ファッションにこだわりがある作品だけに、マミや小澤が着ている服の描き込みが超絶に繊細!
「マミが着ているロリータ服は、実際に『BABY,THE STARS SHINE BRIGHT』の商品。家でトルソーに着せて、ディテールまでじっくり観察しながら描いています。時間はかかりますが、むしろ作画のモチベーションが上がるポイントです。一方、小澤の服は、自分でデザインしながら描いているフルオリジナルです」
そのくらい服を愛している常喜さん。ご本人もとてもおしゃれだ。
「ただ友人からは、『見た目は小澤っぽいけど、中身はマミだよね』と言われていますね(笑)」
つねき・ねたろう 滋賀県出身。2013年、ちばてつや賞第68回ヤング部門で準優秀新人賞を受賞し、デビュー。「日刊月チャン」で「不良がネコに助けられてく話」も同時連載中。
『着たい服がある』2 ロリータ服を着る勇気が持てたマミだが、母に理解されず再び意気消沈。だが、ゴスロリを着たカヤとの出会いがマミを変えていく。「Dモーニング」で連載中。講談社 610円
※『anan』2019年4月3日号より。写真・中島慶子 インタビュー、文・三浦天紗子
(by anan編集部)
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