福沢一郎という画家をご存じだろうか? 1930年代の日本に初めてシュルレアリスムを紹介し、前衛美術運動のリーダーとして活躍した人物だ。彼は生涯を通じて社会批評をテーマとしたが、その表現方法も独特だった。3月12日から回顧展「福沢一郎展 このどうしようもない世界を笑いとばせ」が始まる。

謎めいたイメージの中に社会批評が! 前衛画家の回顧展。

例えば《Poissond’Avril(四月の魚)》という絵画。これはフランスの科学雑誌の図版をコラージュした作品。「何だ、これ?」と思う図案は、科学という尊大な権威を冷やかした彼ならではのカリカチュアだ。ちなみに仏語で「四月の魚」はエイプリルフールのこと。画中の魚モチーフに目を付けた彼は、これを絵のタイトルにしてしまうなど、洒落も利いている。他にも、世論を煽る人物、空虚な動物など、一見滑稽な画風の中には、彼ならではのドライな批判精神が。

こんなふうに現代をシニカルに笑いとばした福沢の画業を、約100点の作品で紹介した本展。会場では鑑賞ワークシートが用意される。「なぜここに魚が?」「なぜ科学の実験中にスーツなの?」など様々な「なぜ?」を会場で見つけながら、謎解き気分で鑑賞できる趣向も新鮮だ。

福沢一郎

1.《埋葬》1957年 東京国立近代美術館蔵 ラテンアメリカの埋葬を意味した作品。鮮やかな色面部分と荒々しい筆致が目立つ部分の対比に謎が隠されている。

福沢一郎

2.《煽動者》1931年 一般財団法人福沢一郎記念美術財団蔵 1931年にパリから帰国した福沢が、日本社会にシニカルな視線を向けた作品。

福沢一郎

3.《Poisson d'Avril(四月馬鹿)》1930年 東京国立近代美術館蔵 フランスで刊行された子供向けの本『楽しい科学』に掲載された図版を組み合わせた作品。

福沢一郎

4.《牛》1936年 東京国立近代美術館蔵 画面中央の牛には所々穴があき背景が透けて見え、画面の力強さとは裏腹に空虚さをも感じさせ…。ここにも独特の謎が秘められている。

「福沢一郎展 このどうしようもない世界を笑いとばせ」 東京国立近代美術館 1F 企画展ギャラリー 東京都千代田区北の丸公園3-1 3月12日(火)~5月26日(日) 10:00~17:00(金・土曜~20:00。入館は閉館の30分前まで) 月曜(3/25、4/1、4/29、5/6は開館)、5/7休 一般1200円ほか TEL:03・5777・8600(ハローダイヤル)

※『anan』2019年3月13日号より。文・山田貴美子

(by anan編集部)

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もし今、出⼝が⾒えないような苦しさの中にいても、どうか希望を捨てず、⾃分を信じて。派⼿な解決策を探すより、⽬の前のことに真摯に向き合いながら⼀歩ずつ進むことが⼤切です。もがくほど空回りしやすい時だからこそ、⾃分を整えて静かに過ごしてみて。飾らない真っすぐな想いが、現状を変える⼤きな⼒になります。

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