「プラスとマイナスが、うまくハマってます」
――お二人は、吉本興業のお笑い芸人養成所・NSCの同期だったんですよね?
濱家:最初のクラス分けで山内と一緒になりました。彼のネタは当時から面白かったけど、僕は女の子にキャーキャー言われたいと思っていたので、男前と組まねばと思っていてコンビを組む相手としては見ていなかったんです。でも、卒業後、コンビを解散したタイミングで新しい相方を探そうとライブを見に行ったら、山内がめっちゃウケているのを見て、すぐ電話をして誘いました。
山内:僕は誰かとコンビを組みたいとは思っていたけど、自分から喋りかけることができなくて、ずっと一人でやってたんです。一度だけ、日本人とインドネシア人のハーフの子に誘われて組みましたが、その子は「言うてる場合か」しか言えなくて。ネタがだいぶ限られるなと思って解散し、NSCを卒業してしばらくしたら濱家から電話がかかってきた。とにかく日本人と組みたいと思っていたから、すぐに決めました。
濱家:ハードル低すぎるやろ。日本人なら誰でもよかったんかい。
山内:僕に声をかけてくれる人も、他にいなかったですし。
濱家:山内は、ネタは面白かったんですけど、周りから面白いと思われている感じではなかった。昔から仲のいい天竺鼠や藤崎マーケットと会うときに連れていったら、「こいつは絶対に面白くない」とみんなに決めつけられて。天竺鼠の川原にいたっては「目に生気がない」とまで言ってました(笑)。
――濱家さんは、山内さんと組むまでに、コンビ結成と解散を5回繰り返したそうですね。
濱家:前は見た目がいいとかそういうところで相方を選んでいて。「面白いな」と思って組んだのは山内が初めてでした。最初に打ち合わせをしたときに、「どっちがボケする?」と言われて、“見た目的に絶対お前やん”と思ったのは、いまだに覚えてます。それまでの僕は、若さゆえのイタさみたいなところがあって、“こいつ、おもんないな”と思ったらすぐにコンビ解散していたけど、山内の作るネタは、面白さになんの不満もなかった。一番最初に受けたオーディションでは、僕が書いたネタで落ちて。次に山内のネタをやったらウケたので、それからは彼にネタ作りをしてもらうことにしました。“お客さんにウケるのが一番”という考えは昔からあったので、そこに迷いや嫉妬はなかったです。
山内:それは僕も同じやったし、「オーディションに受かりたい」という共通の目的があったので、友だちとしてというより、目的を達成するため試行錯誤するうちに、人見知りの僕でも自然と会話ができた。仲も深まったと思います。
濱家:あと、彼はめっちゃ大人なんです。僕は口うるさく言ってしまうタイプやけど、言い返してくることもありません。僕は前に前に…と出てくる人とは相性が良くないみたいで、控えめなほうが居心地がいいし、話しやすい。だから続いているんだと思います。
山内:僕が消極的な性格なので、濱家の積極的な部分とバランスが良かったんだと思います。自分からは絶対に話しかけられないし、かといって来られすぎるのも嫌で。その絶妙なツボを突かれました。プラスとマイナスの部分がちょうどよくハマるんやと思います。どちらかが出すぎたら下がる、みたいなところもあって、攻守のバランスが非常に優れています。
濱家:どんな立場から言うてるん(笑)。反対の性格だからこそ、楽しくできるんちゃうかな。
山内:舞台でも僕が前に出られないときに濱家が「いけいけ!」と言って、その通りにしてウケることがありますしね。でも、滑ったときは、無視するんですよ…。よくやるボケがあって。お店で働いているおばちゃんに「お店、何年くらいやっているんですか?」と聞いて、「もう25年くらいですかね」と答えたとするじゃないですか。そうしたら濱家が「じゃあ、1歳のときに始めたんですね」と言うんですけど、それに対して僕が「どこがやねん!」と突っ込むという…。おばちゃんが笑ってくれたらいいんですが、なかには本気でムッとする人もいるじゃないですか。すると濱家が「お前、失礼やな!」って責めてくるんです。自分でボケを発動させておいて、切り捨てるんですよ。
かまいたち 2004年結成。山内健司がボケを、濱家隆一がツッコミを主に担当。2013年「ABCお笑いグランプリ」、2017年「キングオブコント」で優勝。また、「キングオブコント」覇者としては初めて「M-1グランプリ」決勝にも進出。今年、初の2冠が期待される。
はまいえ・りゅういち 1983年11月6日生まれ。かまいたちのツッコミ担当。初となる東京レギュラーラジオ『かまいたちの ヘイ!タクシー!』(TBSラジオ)に出演。
やまうち・けんじ 1981年1月17日生まれ。かまいたちのボケ担当。スニーカーと猫が好きで、それぞれの写真をアップする専用のインスタグラムのアカウントを持っている。
※『anan』2018年8月1日号より。写真・内田紘倫(The VOICE) 取材、文・重信 綾
(by anan編集部)
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