
『深夜食堂 6』に出演する小林 薫さんにインタビュー。
本番に入るまでに意外と緻密に作り上げてるんですよ
繁華街の路地裏にひっそり佇む、カウンターだけの小料理屋。年齢、性別、事情も異なるさまざまな客が夜な夜な訪れては、小林薫さん演じるマスターが作る“忘れられない味”に舌鼓…。同名のマンガを原作としたドラマ『深夜食堂』は、2009年に初めてドラマ化され、以降映画にもなり、韓国や中国など海外版も制作され、今や世界的な人気に。そんな作品が、7年ぶりにテレビに帰ってくる。
「正直、僕は『深夜食堂』をまたやるとは思っていなかったんです。僕自身白髪も増えて、年も取ったし。7年も間が空いてしまったわけだから、しっくりいくのかどうか、決まってからも正直不安で…。でも久しぶりにレギュラー陣が集まってみたら、全員、スッと現場にもセットにも馴染んでしまったんです、拍子抜けするくらい自然に。リラックスして現場に入り、フードスタイリストの飯島奈美さんの料理に群がり、なかなかセットから帰りたがらないという雰囲気も昔のまま(笑)。新しく入ってくださったスタッフの方の中には、“深夜食堂をやりたい!”と手を挙げてくれた人もいると聞き、改めて良い現場だなと思いました」
ドラマの舞台となる『めしや』は、昭和の風情を残した小さなお店。一見殺風景な空間だが、毎日集う常連にとってはもちろん、サクッと食べて出ていく一見さんにもとても居心地が良さそう。それは、小林さんはじめ役者の方々の、“流れるような演技”によるところが大きく、どこまでが脚本でどこからがアドリブなのかに興味が湧いてくるが、なんとアドリブはほぼないのだとか。
「監督さん的には、役者がどんな芝居をするのかを見てみたい、そして監督さんが考えている芝居が小料理屋という狭いセットの中で成立するのかなどを見定めるために、とりあえず、頭からそのシーンを通してやってみるんです。僕らとしても、実際動いてみると見えてくることもあり、さらに、僕らも年を取ったので、セリフを言い間違えたり、ちょっと動きがゆっくりになったりすることがある。そうすると監督さんが、“そのほうがニュアンスがいいので、そっちを採用しましょう”と、台本を調整していく。それを何度か繰り返すことで、あの店の中で自然に動ける芝居や、より自然に見えるカット割りなんかが見えてくるんですね。なので、本番に入るまでに意外と緻密に作り上げてるんですよ。あの雰囲気は、いろんな工夫の積み重ねの上に生み出されるものなんです」
前述の通り、この作品は今や海外でも人気が高い。先日小林さんは、日本外国特派員協会での記者会見も行ったそう。
「やっている側にはあまり実感はないんですが、知り合いの外国の方に“ミッドナイトダイナーにハマってる”と言われて、どうやら『深夜食堂』のことだった…みたいなことがちょこちょこあって、びっくりです。今回、第一話がコロナのときの話で、『めしや』のカウンターにアクリル板が立っているんですよ。海外の方にあの景色がどう見えるのか、ちょっと気になりますね(笑)」
ちょっぴり胸がきゅんとなる人情劇と、おいしそうな料理が登場するこのドラマ。深夜の空腹タイムに見ると、悶絶間違いなし。最後に出てくる料理の作り方も必見です。
「たぶんアンアンを読む世代の女性は、こういう昭和な雰囲気のドラマにはあまり触れたことがないと思います。でも、“昭和もなかなかいいな”と新鮮に感じますし、楽しいので、ガラガラッと引き戸を開けて、お店を覗いてほしいと思います」
Profile
小林 薫
こばやし・かおる 1951年9月4日生まれ、京都府出身。近年の主な出演作は、NHK連続テレビ小説『虎に翼』、映画『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』、アニメーション映画『ホウセンカ』など。
information

『深夜食堂 6』
営業時間は夜の12時から朝の7時頃まで、人呼んで「深夜食堂」。マスター(小林薫)が包丁を握り、メニューは「豚汁定食」のほかは、ビールと酒、焼酎のみ、あとはできるものなら作ってくれる。味のある常連客との駆け引きが人気。MBS(毎週火曜24:59~)、TBS(毎週火曜25:26~)ほかにて放送中。
anan 2517号(2026年10月28日発売)より
































