
葛飾北斎 色摺半紙本『万福和合神』/文政4年(1821)/浦上蒼穹堂蔵
日本最大の歓楽街でハイクオリティな春画を楽しむ「新宿歌舞伎町春画展WA」。成り立ちや魅力を主催者である「Smappa!Group」会長の手塚マキさんに直撃!
教えてくれた方
Profile
手塚マキ
新宿・歌舞伎町でホストクラブやバーなどを手掛ける「Smappa!Group」会長。歌舞伎町初の書店『歌舞伎町ブックセンター』や介護事業も話題に。著書に『新宿・歌舞伎町』(幻冬舎)など。
人の猥雑さや欲望を肯定する春画と歌舞伎町

豆判春画/江戸時代後期/浦上蒼穹堂蔵
ホストクラブの運営とともに、文化的な取り組みも行っている、手塚マキさん。
「僕はプロフェッショナルサービス業と呼んでいますが、ホストには他者の気持ちに寄り添う想像力が不可欠であり、そのスキルを磨く上で教養が必要だと考えています。また、歌舞伎町という街から日本の文化や価値を発信したいという想いがあって、10年前くらいから日本文化を掘るように。その中で出合ったのが春画で、歌舞伎町とリンクするものを感じました。
春画は、喜多川歌麿や葛飾北斎をはじめとする名だたる絵師たちが描いている。また、版元など依頼主が潤沢な予算を持っていて、色をふんだんに使えるなどクオリティの高い作品も数多く生まれているにもかかわらず、“江戸時代のエロ本”というイメージばかりが先行しやすい。歌舞伎町やホストクラブも、怖い街だとか詐欺師などステレオタイプなイメージを持たれがちですが、一歩踏み込んでみると想像以上の何かに出合えることがある。その点が似ているなと思ったんです。また、猥雑さや欲望など、人間のさまざまな側面が肯定されるところも共通していて興味が湧きました。
そんな中、浮世絵コレクターである浦上満さんと出会い、展覧会を開催することになったんです。春画は江戸時代の人たちの間で『笑い絵』『わ印』という名で親しまれるなど、みんなで笑い合って楽しむ娯楽でもありました。性に対する考え方が今よりもっと軽やかなものだったのかもしれません。現代でも話が弾むコミュニケーションツールになりうるものだと思うので、性に興味がある人もない人も、日本文化が好きな人も馴染みがない人も、みなさんに見てもらって、感想などいろいろな話をしてほしいと考えています」

葛飾北斎 色摺半紙本『喜能会之故真通』中より部分/文化11年(1814)/浦上蒼穹堂蔵
information

「歌川国貞・歌川国芳」
2人の人気絵師が競演。初代 歌川豊国門下でありながら個性の違う国貞と国芳の春画を堪能。10月3日~11月29日、新宿歌舞伎町能舞台で開催予定。
過去の展覧会はコチラ!
1.「文化でつむぐ『わ』のひととき」
記念すべき1回目。菱川師宣、喜多川歌麿、葛飾北斎、歌川国芳など江戸時代に制作された春画約150点を展示。
2.「小さな愛の物語-豆判春画の世界-」
豆判春画という手のひらサイズの作品のみで構成した、世界初の試みに。
3.「葛飾北斎・渓斎英泉 艶くらべ -歌舞伎町花盛り-」
葛飾北斎と渓斎英泉という二大絵師に焦点を当てた。北斎の名品である〈蛸と海女〉の特別展示も話題に。
anan 2507号(2026年8月5日発売)より
































