彼の顔を見ると、つい笑顔になってしまうし、なぜか元気までもらえる。ジミー大西さんは、不思議な魅力を持った人だ。特異なキャラで芸人として一時代を築きながら、突然絵描きに転向し、想像を超えた感性を発揮。芸人仲間は、ジミーさんを“天才”と呼ぶ人も多い。
子どもの頃から突拍子もない言動を繰り返し、高校卒業後に吉本興業へ舞台進行の見習いとして出入りし始めた大西秀明(ジミー大西の本名)が、明石家さんまと出会い、芸人としての才能を開花させていく…。そんなジミーさんの半生を爆笑エピソードとともに綴った本が発売に。そこで、改めてご自身の半生を振り返り、その思いを語っていただきました。
――この取材の前にお一人で外に行かれましたが、どちらへ行かれたのですか?
ジミー:一人で喫茶店行っててん。サングラス? せえへんせえへん! 歩いてるだけやしな。ジロジロ見られるのにも慣れました。携帯で写真撮られてももうしゃあないね、そんな時代やわ。
――さすがですね(笑)。今回、ジミーさんをモデルにした本が発売されましたが、これまでの人生を振り返るきっかけになったのではないでしょうか。
ジミー:うーん。今までは、人からどう見られているかってわからなかったんですが、客観的にこうやって読んでみて、初めてやっとわかりましたね。
――人前でしょっちゅうズボンやパンツまで脱いでいたって書かれていますが、本当なんですか?
ジミー:ホンマです。当時は、あれが普通やろ、と思ってたんです。たとえば楽屋でカーテン引いて着替えてる時に、女性のマネージャーに「ズボン持っててー」って言っといて、ズボンを渡すふりして自分のチン●ン持たせてたぐらいやからな。
――うわーー…。本によると、さんまさんとの出会いも、かなり衝撃的ですよね。その時も下半身を出していたんですよね?
ジミー:そうそう、失敗して中田ボタン師匠にえらい怒られて、反省しようと思って。一番大事な場所を吊ろうと思ったら、首じゃなくてチン●ンだったわけです。ロープでチン●ンくくって、階段の手すりに吊ったまま立っていたら、そこにさんまさんが偶然通りかかって、「お前何やってるんや!!」というのが最初の出会いです。
――すごい出会いですよね。それ、本当のエピソードなんですね。
ジミー:全部ホンマの話ですわ。
――けっこうな失敗談も多いですが、そのあと凹んだりはしないんですか?
ジミー:ジミーは何も考えてへん、ってみんなに言われるんやけど。たとえば、怒られて何発か殴られたら、普通は次の日はもうそこには行かないやろって言うんだけど、僕の場合は、何かあったっけ? って殴られた直後から忘れてしまう。学生時代のいじめだってそう。周りにはいじめられていると思われてたかもしれないけど、僕はいじめだとは思ってなくて、みんなに楽しく遊んでもらっているという感覚だったんです。
――なるほど。恋の話も書かれていますけれど、ご自身では恋多き男だと思いますか?
ジミー:人より気持ちが入ってしまうのが早いんですよ。似合っている服を着てるなーと思ったり、あとスカートはいているともう素敵やなって思うし、しゃべってるうちに可愛いな、好きやな、ってどんどん気持ちが入ってしまう。そうなるともう、離れるのが嫌になってずっと一緒にいたくなってしまうんです。(恋以外の)大概のことはケロッとしているんやけど、好きな女性に彼氏がいたり、告白してふられてしまうと、ガクッとものすごい落ち込むんですわ。そこだけはナイーブなんです。まあ、今はもうさすがにそんなこともないですけどね、結婚してるし。
――それじゃあ、奥様は幸せですね。一途に愛されているわけですよね。
ジミー:そうですね。でも出会った頃のように甘い話じゃなくなってきてますけど。年金くれんのか、とかそういう話やね、もう(笑)。そもそも僕ね、“不倫”という言葉を知らなかったし、漢字も書けなかったんです。それで、昨年のいろんな不倫騒動を見て「不倫て何や?」って聞いたら、今田(耕司)君が「兄さん、不倫とは、人のバナナをもぎ取ることなんですよ。人のバナナとったらアカんでしょ? だから不倫はアカンことなんです」って教えてくれた。そりゃ人のバナナとったらアカン! だから僕は不倫はせえへんけど、片思いだったらええねんな、っちゅーことや。自分で思ってるだけやったら。へっへっへっ(笑)。
――最初は吉本興業にスタッフで入り、そのうち芸人として新喜劇の舞台に立つようになったんですよね。上京してからも、バラエティ番組などで大活躍されていましたが、突然、絵描きを目指して留学してしまったり。これまでに、いくつもの大きな転機を経験されていますね。
ジミー:絵描きになろうと思ったのは、35歳ぐらいの時。絵を習おうと思って、NYに行って学校で作品を見せたら、入れてあげるってなったんですが、英語が話せなくて。それでも少し通ってたんやけど、朝起きるのも寒くてしんどいし、バスに乗って通うのも辛くて、挫折しました。まあ周りの人たちからは、絵を人から習ってしまったらお前の個性が死んでしまう、って反対されてたんですけどね。
――作品は多彩な色使いと繊細さが美しいと評価されていたし、絵描きとして活動している時は成功されていたのでは? でも、今はその活動を休まれているとか。
ジミー:僕、1枚絵を描くのに半年ぐらいかかることもあって、結構しんどかったんですよ。それである時焼き鳥屋に行ったら、バイト募集の貼り紙に“時給1200円”って書いてあったんです。それで、僕の絵の仕事は時給いくらなんやろと計算してみたら、なんと300なんぼやん! 割に合わへんとアホらしくなって、今は描くのをやめているんです。また描きたくなったら描けばいいかなって。それに、僕、自分の絵が上手いとも思ったことないし。
――一つ一つのエピソードが本当に独特ですよね。でも笑い話の裏には、いろんな悩みもあったりするんじゃないでしょうか?
ジミー:なんば花月の舞台の上に進行部屋があって、若い頃は稽古のあとも家に帰らずに、そこで独り言を言いながら過ごすことがよくありましたね。基本的に僕はあまり悩みを人に打ち明けないタイプだったんでね。そうやって一人になって、考え込んでいたんでしょうけど。でもそれが最近、しょっちゅう悩みを口にしてるみたいで、マネージャーが困ってて。
――どんな悩みですか?
ジミー:言ってええんかな、実は僕、パティシエになりたいんです。
――え!?
ジミー:ホンマに。それをマネージャーとか周りに3か月ぐらい言い続けてたら、最近(会社の)上にあがってしまって、ジミー大丈夫か? ってなってます。とりあえずしばらくは黙っといて、って言われているんです。だからまだ書かんといてくださいね。マネージャーもこの話に全然乗ってくれへんからな、今作戦を練っているところで。でも、ジミーおかしい、って言われるのもおかしな話ですよ。僕の夢なんやから、誰にも止める権利はないですから。
――確かにそうですし、ジミーさんらしいです! パティシエになったら、どんなケーキを作りたいんですか?
ジミー:僕ね、甘いものとやわらかいものが大好きなんです。絵を描くためにヨーロッパに住んでいたのもあって、ケーキは甘ければ甘いほどいい。そんなケーキを作ろうと思っています。
――…でもそれって、糖質オフのこの時代には、ちょっと反しているというか…。
ジミー:なんでや!(笑) ええねん、甘いものが作りたいんや。デコレーション綺麗にしてな。ケーキっていうのは賞味期限1日しか持たん。だから今度は1日だけの作品を作って、みんなに食べてもらいたいんや。さんまさんにも、もうしばらくしてから「パティシエになりたい」って切り出そうと思っているんです。
――さんまさん、どんな反応すると思います?
ジミー:「うん。ここから出ていって」って言われると思う。
――あははは(笑)。さんまさんといえば、ジミーさんの育ての親みたいなもんですからね。
ジミー:何もかもこれまで二人で話し合ってきました。芸人休んで絵を描きたいって言った時も、何年かかってどういう計画にするとか、いつも教えてもらって。さんまさんは、生きていくための段取りを教えてくれる人です。
――なぜ、それほどまでに面倒を見てくれると思いますか?
ジミー:変わった人が好きなんやろな。だって(Mr.)オクレ兄さんにしても(村上)ショージ兄さんにしても、温水(洋一)君にしても、ジミーにしても、さんまさんの周りはみんな変わってるやん。しかも、誰一人男前いないでしょ。僕、ある時それに気づいたんですわ。へっへっへっ!(笑) 一緒におったら、さんまさんが絶対に引き立つに決まってるやんな。でも、昔の吉本は師匠にしろ兄さんにしろ天才が身近にたくさんいて、ホンマに恵まれてたなって思います。みんな人情があってな、人を好きになるってことはいいことやで、って改めて思う。あ、ちょっとオシッコ行ってくるわ。(3分後に戻ってきてマネージャーに)というわけで、僕、パティシエになってええんやな。ちょうど今月で会社から借りてた借金が終わるんですよ、だから次はパティシエになるためにまた金借りないと。スポンサーも探さないとアカンな!
【人気記事】
※本命彼が求めるエロス…「SEX運」が3倍アップする3日間とは