テニスボールで筋膜を緩めて、美シルエットへ。
数多くの女優やモデルのパーソナルトレーナーを務めるKAORUさんが提唱する“テニスボールリリース”。テニスボールを使って筋膜を緩め、筋肉を動かしやすくすることで、美しいボディラインに導くというもの。
「筋膜とは、全身の筋肉を覆っている膜のこと。日頃の生活習慣やクセによって、筋膜がこわばり、筋肉が凝り固まってしまうことで、気づかぬうちにカラダが歪んでしまい、さまざまな不調を招いてしまうのです。特に現代人は同じ姿勢を長時間続けることが多く、骨盤が前傾もしくは後傾している人がほとんど。その歪みを正すにはまず筋膜と筋肉のこわばりを取ることが大事で、それをいちばん効果的にできるのがテニスボールなんです。自分の手ではなかなか届きにくい箇所に、ボールを当てたり、挟んだり、転がすことで筋膜がほぐれて、筋肉が動きやすくなります。すると歪みをはじめ、骨格を本来あるべき形に戻すことができ、姿勢も矯正され、ボディラインが劇的に変化します」
テニスボールを当てる箇所によって強い痛みを感じたり、左右差があったりと、自分のクセに気づくきっかけにもなる。しっかりとリリースすれば、カラダのメンテナンスになるだけでなく、自分の弱点克服にも繋がる。テニスボールがあれば、根本から改善することができ、美を底上げする近道に。
ボディシェイプの他にはどんな効果がある?
筋膜と筋肉を緩めることで変わるのは、ボディラインだけではない。「筋肉が動きやすくなると、関節の可動域が広がり、血流やリンパの流れが改善されます。すると、むくみや冷え症、肩こりの解消にも繋がります。さらに代謝がアップし痩せ体質に。カラダがニュートラルな状態になれば、筋トレの効果が上がったり、しなやかなカラダに導けたり、理想のボディを追求することができます」
テニスボールがベストな理由は?
「テニスボールは、カラダのさまざまな箇所にフィットしやすい大きさで、筋膜をほぐすのにちょうどよい硬さなんです。また、表面がフェルトで覆われているので、肌に触れたときに抵抗感が少ない素材であることも大きなポイントです」。さまざまな点から筋膜リリースに適しているテニスボールは、手軽に入手しやすく、軽くて、持ち運びのしやすさも魅力。
筋膜や筋肉を緩めた後に、ストレッチするのは、なぜ?
テニスボールで筋膜と筋肉を緩めた直後に、ストレッチを行うことも重要。「緩めただけでは、毎日の習慣やクセで筋膜や筋肉はまた硬くなります。だからこの状態が本来あるべき姿だとカラダに覚えさせるために、ストレッチで伸ばして形状を覚えさせることが大切です」。“テニスボールで緩める+ストレッチで伸ばす”。これをセットで行うことで、美シルエットにより早く近づくことができる。
“ウエストが細く”なる基本エクササイズ
足裏とふくらはぎ、なぜいちばん大事?
足裏とふくらはぎの筋膜や筋肉を、テニスボールを使って緩めると、ウエストが細くなる理由は?
「足裏には、かかとの骨から5本の指の付け根の骨に向かって“足底筋膜”が広がっています。この筋膜をテニスボールで緩めると、筋肉が動き、足裏のアーチが正しく形成され、重心が上に移動、骨盤の歪みが解消されるんです。また、足裏とふくらはぎはひと繋がりの筋膜ラインで覆われているので、一緒にリリースすることで、骨盤が正しい位置に戻りやすくなり、くびれやすくなります」
足裏リリース
靴を履いて生活する私たちの足底筋膜は硬くなっていて、アーチも潰れがち。アーチが潰れていると衝撃をうまく吸収できないので、カラダのバランスも崩れる。足の指を伸ばしたり開いたり、足底筋膜を緩めるメンテナンスを日課に。
【STEP1】10回
両足をそろえて立ち、手をカラダの後ろで組む。テニスボールを指の付け根あたりで踏み、かかとを床につける。ボールを踏んだ足の指でグー、パーを繰り返す。慣れるまでは膝を曲げたり、かかとを少し浮かせてもOK。
【STEP2】各10往復
反対の脚を後ろに引く。親指の先からかかとまで、指の骨に沿うようにボールを転がして、かかとまできたら指先に戻る。転がしながら指を開くと、アーチが形成されやすくなる。人さし指、中指、薬指、小指でも同様に。
【STEP3】5秒
緩んだ足裏の筋肉をさらにほぐすために、足首をブラブラと振って解放させる。反対の足も同様に1~3を行う。
KAORUさん フィットネスクリエイティブディレクター。STUDIO Aproを運営する傍ら、Apro ACADEMYを主宰。フィットネス指導歴37年を誇る。著書『女優やモデルのおうち習慣 テニスボールダイエット』(幻冬舎)は8万部超え。http://tsapro.co.jp/
※『anan』2020年11月4日号より。写真・小笠原真紀 スタイリスト・仮屋薗寛子 ヘア&メイク・浜田あゆみ(メランジ) モデル・折目真衣(LIGHT MANAGEMENT) イラスト・徳永明子 取材、文・鈴木恵美
(by anan編集部)