野田クリスタル「ストーリーがガチの恋愛シミュレーションのようでドキドキ」 『ペルソナ5』のすごさとは

エンタメ
2024.10.17
ゲームメーカーのアトラスが生み出した『ペルソナ5』の熱狂的なファンであることを公言している野田クリスタルさん。プレイヤーとゲームクリエイターの両方の視点から、その魅力を語ってくれました!

細部まですべてが『ペルソナ5』だと思える妥協のない仕上がりがすごい!

野田クリスタル ゲーム

もともと『ペルソナ』シリーズが気になっていたものの、しばらく手をつけずにいたという野田クリスタルさん。

「舞台が僕の住んでいる吉祥寺なことが多く、ずっと頭の片隅にはありました。でも、『真・女神転生』の怖いイメージがあって触っていなかったんですね。ゲームセンターに『ペルソナ4』の格闘ゲームが登場した時も、格ゲーが好きだから気になったものの、手は出さず。それが、『ペルソナ5』が発売時にすごく話題になっているのを見て、ついに触ることに。すると、ストーリー重視の作品だと思っていたのに、ゲーム性がめっちゃよかったんです。僕は、強い敵に対する戦略を練ったりすることが好きで。相手に弱点があったり、相性や使うキャラによって戦い方が変わるなど、戦略性の高さにハマりました。あと、ミニゲームのボリュームがぶっ飛んでいるところもいい。僕は『ファイナルファンタジー』もそうですが、RPGのミニゲームを愛する男なので(笑)。そして、街の描き方の気合もすごい。舞台が東京で、出てくる店は違うけれど、道は現実と一緒。渋谷駅から『ヨシモト∞ホール』に行くまでの道が出てくるのですが、たまに、“この店はペルソナ? それとも現実? どっちだっけ?”とわからなくなったこともありました(笑)」

個性豊かなキャラクターがたくさん登場することも魅力。

「なかでも好きなのは、やっぱり新島真ですね。彼女とのやりとりがキュンすぎて…。というか、ストーリーがガチの恋愛シミュレーションのようでドキドキするんです。“早くあいつに会いたい!”と、普通の彼氏彼女みたいな気持ちで遊んでましたから(笑)」

ストーリーにも刺さるものが。

「社会風刺が効いていながら説教くさくないところもハマった理由の一つだと思います。そもそも、ストーリーの根幹に“仮面をつける”ということがあって、主人公は、いろいろな仮面を持ち、いろいろな自分になれるわけです。相手によってつける仮面を替えると言うと悪いように聞こえるかもしれないけど、このゲームは、“そんな自分も自分だよ”“生きていくうえでは必要だよ”と言ってくれている感じがするんです。舞台もリアルですが、描かれているテーマもリアルで、現実の人間と同じ悩みを主人公たちも抱えているところも大きな特徴です」

自身もゲームクリエイターである野田さん。その視点から見たアトラスのすごさとは?

「自分の理想の完成形まで持っていかないと気が済まないのかな? と思うくらい、妥協が見えないです。ゲーム開発者は、予算や締め切りなどがあり、諦めざるを得ない部分が山ほど出てくるもの。それが、プレイヤーの感覚で言うと、“やりたいことが全部入っているんじゃないか”と思うような仕上がりになっています。しかも、実際に、めちゃくちゃ売れているという。すごくいいことだと思いますね。頑張りが見返りとして戻ってくることは、僕からすると羨ましい。そんな仕事ができたら一番気持ちがいいだろうなって思います。ゲーム開発者って絶妙なポジションというか。クリエイターでありながら、物を売る商売でもあり、買ってもらわないと作った意味がないんです。そうした前提があるうえで、どれだけ自分のこだわりを入れるのか。正直、『ペルソナ』くらいのビッグタイトルになると、想像がつかないですね。ディレクターの橋野(桂)さんの脳内は、僕には読めないです(笑)」

『ペルソナ』シリーズは、アニメ化されるなど、他のコンテンツにも広がりを見せている。

「それが叶うのは、ブランドとして確立しているからでしょうね。やっぱり、メニュー画面一つとっても、これが何のゲームかを当てられますから。本当は、ゲームというもの自体にデザイン性っていらないんです。でも、それを入れたい、大事にしたいといった芯の強さがあったからこそ、大きなブランドになっているのではないでしょうか。本当のナルシストは所作のすべてがナルシストじゃないですか。それと同じで、『ペルソナ5』は細かいところまですべてが『ペルソナ5』だと思える仕上がりになっている。だからこそ、印象強いんでしょうね」

のだくりすたる お笑いコンビ・マヂカルラブリーのボケ担当。ゲームクリエイターとしても活躍。『スーパー野田ゲーWORLD』などが発売中。現在、『スーパー野田ゲーMAKER』を12月に発売予定。

※『anan』2024年10月23日号より。写真・内山めぐみ 取材、文・重信 綾

(by anan編集部)

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