自分に親愛の情を見せながらも悪意をちらつかせていたあの子。砂村かいりさんがそんな幼馴染みについてSNSでつぶやいたのは2年ほど前のことだ。

友達だけど自分を傷つけるあの子。“毒友”との関係を描く青春小説。

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「あれは“毒友”だったと思う、ということを書いたら、編集者さんに、小説に書いてみませんかと言っていただいたんです」

そして書き上げたのが、新作長編『苺飴には毒がある』だ。主人公は高校生の寿美子。彼女にはれいちゃんという幼馴染みのクラスメイトがいる。悪口と噂話が好きな彼女の言動に傷つけられることも多いが、一緒にいて楽しい時間があるのも確かで、100%嫌いにはなれずにいる。

「真面目な子ほど自分の感情を後回しにして、他人の屈折した感情に振り回されて傷つく傾向があると感じています。私も今なら、れいちゃんのように悪意と好意の両面を見せて相手を支配するのはある種のハラスメントだなと分かります。でも当時はそれを言語化できずにいました」

ある時寿美子は、れいちゃんが他の友達と一緒に自分の悪口を言っているという証拠をつかんでしまう。

「私にも同じことがありましたが、その時、妙にほっとした自分がいました。これからの関係性を考えていく手がかりになったんです」

寿美子の高校生活は少しずつ変化していく。れいちゃんとは別の親友や所属する文芸部の仲間、家族との関係の変化や、進学に関する不安、恋の予感なども実に繊細に描かれ、そのどれもが読み応えたっぷり。

「中学や高校の3年の間でも、人間関係はどんどん変わっていく。だから今悩んでいる人も、どうにか乗り切ってほしい。学校生活がすべてではないこと、自分の感情に嘘をつく必要はないんだよってことは、地道に伝えていきたいです」

木の枝を剪定するように人間関係にも剪定は必要、と砂村さん。物語の後半、れいちゃんからもらった手紙を読んだ寿美子が下す決断に、励まされる人も多いのでは。

「いただいた感想に“私自身がれいちゃんだったかもしれない”とあって、はっとしました。別の方からは、“御守りのような一冊になりました”という言葉もいただいて。ああ、自分はこのためにこれを書いたんだなと思えました」

読めばきっと、新たな気づきを与えてくれるはず。必読です。

『苺飴には毒がある』 高校生の寿美子には陰口好きな幼馴染みがいる。寿美子に対して意地悪な時も優しい時もある彼女に、感情を振り回されていたのだが…。ポプラ社 1870円

すなむら・かいり 2020年、第5回カクヨムWeb小説コンテスト恋愛部門“特別賞”を「炭酸水と犬」「アパートたまゆら」で2作同時受賞し、翌年デビュー。他の著書に『黒蝶貝のピアス』がある。

※『anan』2023年12月13日号より。写真・中島慶子 インタビュー、文・瀧井朝世

(by anan編集部)

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