フードライター・平野紗季子さんの「MY STANDARD GOURMET」。今回は『MONICA(モニカ)』のパンです。
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ミシュラン一つ星に加え、グリーンスターを獲得する表参道のフレンチレストラン『LATURE(ラチュレ)』。その隣に今年の夏、小さなパン屋さんが誕生した。その名も『MONICA』。ギリシャ神話から名付けた“唯一無二”の意味を持ち、文字通りレストランだからこそ生み出しうるパンがずらりと揃う。

クロワッサンはパイのお料理が得意な室田拓人シェフならではの技術が光り、まるで森の落ち葉を踏んだ時のようなサクッ……とした食感の先に、発酵バターをふんだんに使った生地がじゅんわり満ちるスペシャルな味わい。クリームパンもレストランデセールの技術を活かして生地の食感や水分量の極限を攻め、とろけ落ちるような仕上がりに。ソーセージパンに挟むのは、ハンターでもある室田シェフならではの自家製の猪ソーセージ。無駄なものを一切入れないピュアな肉々しさを、高加水のもちもちチャバッタが受け止める至福のコンビネーションだ。ジビエ肉の活用への期待が高まる昨今だが、まだまだ加工品の流通は少ない現状。パン、という日常に根ざし誰でも気軽にアクセスできるコンテンツを通して、自然環境と食のつながりや、命をいただくことのありがたさ、職人のクラフトマンシップまで。様々なテーマへ枝葉が広がる『MONICA』は、パンの可能性を拡張しうる大きな存在感を持った一軒だ。

猪のソーセージパン(¥750)、クロワッサン(¥380)に、有頭エビのヴィエノワ(¥1,400)。大ぶりの有頭エビが鎮座するインパクト大のエビフライパン。エビの味噌まで味わう喜び。ほんのり甘いヴィエノワが海老の甘みとマッチする。

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MONICA 東京都渋谷区渋谷2‐2‐3 青山ルカビルII B1 TEL:03・6419・7500 金~月曜のうち3日間(お昼過ぎからパンが焼き上がり次第販売開始) 詳細はインスタグラム(@monica_tokyo)で。

ひらの・さきこ 1991年生まれ。フードエッセイスト。著書にエッセイ集『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)など。

※『anan』2022年9月21日号より。写真・清水奈緒 取材、文・平野紗季子

(by anan編集部)

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