“今の睡眠状況に問題は感じているけれど、もしかして治療が必要なレベルなの…?”と、不安を感じている人もいるのでは? ここでは、睡眠トラブルの代表格である“不眠”について改めて解説しつつ、その対処法や様々な疑問にお答えします。

“眠れない=不眠”というイメージがあるけれど、その症状は実に様々。具体的にはどのような症状があるのだろうか?

「不眠は3つに分類され、いつも通りに布団に入っても30分以上寝付けない“入眠困難(入眠障害ともいわれる)”、眠りにはつけても夜中に何度も目が覚めてしまう“中途覚醒”、通常の起床時間より2時間以上早く目が覚めてその後眠れなくなる“早朝覚醒”が基本的な症状になります」(青山・表参道睡眠ストレスクリニック・中村真樹先生)

医学的には、こういった不眠症状が原因で、日中に集中力が落ちたりイライラしやすくなるというようなことが週に3回以上、3か月続く場合には“慢性不眠症”と診断されるという。

「定義上は3か月ですが、多くの方は症状が1か月も続くと、身体的にキツくなり、今日も眠れないのでは…という不安が生じてきます。この時点で、治療が必要な段階だといえます」

不眠を引き起こす要因には嗜好品や身体的な病気、心理的なストレスなど、様々なものが。近年目立つのが、コロナ禍以降の生活の変化による要因。

「在宅勤務で就業ギリギリまで寝ていられることから就寝時刻が遅くなり、出勤業務に戻ってからも夜寝付けなかったり朝起きられなくなったりしている方が増えています。これは人間の体が遅く寝て遅く起きるリズムにすぐに慣れてしまうことから起こる症状で、“睡眠相後退症候群”と呼ばれるもの。同様の症状に、週末の2日間に夜更かしをしただけで深夜型になって平日の朝ボーッとしてしまう、いわば時差ボケ的な“ソーシャルジェットラグ”があります」

では、睡眠のリズムを崩さないために気をつける点とは?

「就寝と起床時刻の中央値にあたる“ミッドポイント”をずらさないことが重要。例えば、普段24時に寝て7時に起きる方のミッドポイントは3時半ですが、週末に1時に寝て11時に起きると中央値が6時になります。ここが2時間以上ずれると体は遅いほうに順応してしまうので、長く寝る時は就寝&起床時刻を調整してミッドポイントを極力ずらさないようにしましょう」

睡眠お悩みQ&A

Q. 眠れないのに、無理に眠ろうとしてストレスになることはありますか?

sleep

A. 眠りへの重圧感も不眠の一因に。いったん布団から出てリラックスを。
「今日こそ眠らなきゃ!」という緊張で、逆に眠れなくなるケースも。「横になったまま眠れないと不安感がより強くなるので、いったん布団から出て写真の多い雑誌を見たり軽めのストレッチやゆったりした音楽でリラックスを。汗をかくほどの運動や、脳や視覚を刺激するスマホやゲーム、読書などは、逆に眠気が出にくくなるので×」(中村先生)

Q. 不眠になりやすいタイプや、不眠を引き起こしやすくなる外的要因はありますか?

A. 先天的な性質や加齢を前提に、睡眠習慣や心配事が不眠を促進。
「考えすぎる性格やストレスに弱い方は不眠傾向があります」(小林さん)。「加齢も要因のひとつ。睡眠に使う脳機能が徐々に低下し、40代以降から目が覚めやすくなる人が増えてきます。そこに環境変化などのストレスイベントが加わることで症状が悪化するのですが、不適切な睡眠習慣や睡眠への不安が続くと慢性不眠に繋がることも」(中村先生)

Q. パートナーなど、隣で寝ている人が不眠の場合、自分にも影響はありますか?

A. 自身の眠りも浅くなる可能性あり。影響が大きければ離れて就寝を。
もともとお悩みはなくても、同室で寝ている人の不眠症状が眠りを妨げる原因になるケースも。「隣にいる人が眠れずに寝返りを打ったりベッドから何度も出入りしていると、自分もその都度眠りが浅くなったり目が覚めてしまうことがあります。明らかに問題があるようでしたら、一時的に別室あるいは離れて就寝することを推奨します」(中村先生)

Q. ベッドでは眠れないけれど移動中は眠れる、デスクに向かうと眠くなるといった症状は、不眠のひとつになりますか?

sleep

A. “不眠恐怖”の可能性が大。深呼吸で緊張を取り除いて。
「寝室に入ると“眠れないこと”が不安・ストレスになる“不眠恐怖”があります。これが続くと不眠の慢性化の原因に」(中村先生)。不眠恐怖を取り除くのに有効なのが深呼吸。「6秒かけてゆっくり息を吸って6秒止め、6秒かけて息を吐くのが基本ですが、苦しければ自分のペースでOK。呼吸を意識することで雑念が入らず、リラックスできます」

Q. 快眠テクニックを取り入れる上で、気をつけることは?

A. “やらなきゃ”と思いすぎると逆にストレスや不安の要因に。
眠れないお悩みがある人の場合は、快眠テクニックの取り入れ方にも工夫を。「本来は寝る前のリラクセーションが目的なのに“あれもこれもやらなきゃ”“寝る何時間前までに終わらせなきゃ”と義務化してしまうことで緊張してしまい、むしろ不眠の原因に。あまり一生懸命になりすぎず、自分が落ち着くことを適度に取り入れて」(中村先生)

Q. 寝酒はどうして良くないのでしょうか?

sleep

A. 眠りのリズムが不安定になり回復効果が低い悪質な睡眠に。
“寝酒を飲むとよく眠れる”というのは実は間違い。「アルコールのリラックス効果で寝付きが良くなり、アルコールが抜けることで眠りが浅くなるので目が覚めやすくなるのですが、眠りのリズムに関していえば不自然で不安定な眠りなのです。中途覚醒が多くなり体や脳の回復ができていないので、睡眠の質としては低いといえます」(中村先生)

Q. 市販の睡眠改善薬はどういったものですか?

A. 多忙で病院に通えない時などの一時的な解決法と考えて。
市販薬は主に2種類。「大半は、ジフェンヒドラミンを主成分とするもので、これは花粉症の薬の副作用である眠気を利用したもの。注意点として、続けると体が慣れてしまうので、短期間の服用が前提。ほかに漢方系があり、こちらは緊張を和らげる目的で、即効性は低め。いずれも、医療機関に行けない時の一時的な対処法と考えましょう」(中村先生)

中村真樹先生 青山・表参道睡眠ストレスクリニック院長。日本睡眠学会専門医として睡眠に悩む人を月700人以上診察。著書に『仕事が冴える「眠活法」』(三笠書房)がある。

※『anan』2022年8月31日号より。イラスト・菜々子 取材、文・真島絵麻里

(by anan編集部)

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