多様なセクシュアリティのひとつとして、他者に恋愛感情を抱かない“アロマンティック”、他者に性的に惹かれない“アセクシュアル”の両方に当てはまる“アロマンティック・アセクシュアル”の主人公を取り巻くドラマ『恋せぬふたり』がスタートした。“アロマンティック・アセクシュアル”である咲子(さくこ)(岸井ゆきの)と、羽(さとる)(高橋一生)、恋人でも夫婦でも、家族でもないふたりが同居することになり…。恋もセックスもしないふたりの関係性が描かれていく。
「“アセクシュアル”という言葉は、以前から知ってはいたのですが、詳しくはありませんでした。一生さんと一緒に、撮影に入る前にアロマンティック・アセクシュアルの方とお話する機会を何度か設けていただいたり、撮影現場に考証の方が来てくださったりもしたので、その都度確認させていただきながら、繊細な感情に向き合って演じています」
撮影中には、以前から抱えてきた自身の“もやもや”がクリアになることがあった、と話す岸井さん。
「咲子は似た感覚を持つ羽と生活を共にし、仕事や恋愛について話すことで、悩みなどが解消されていくんですが、私も普段一人で物事を考えていると堂々巡りになることがよくあって。咲子を演じながら、やっぱり人と話すことはすごく大事だと、私自身も再確認しました。それから、どんな個性を持っていようが、堂々と生きている人はかっこいいし、これからも楽しく生きていきたい、という実感も。ちなみに、セットには美術さんの人間味あふれる愛がいっぱい詰まっているし、食事のシーンに出てくる料理はどれもすごく美味しくて! カットがかかっても食べ続けちゃうぐらいでした(笑)。どんなセクシュアリティを持っていても、価値観が違っても、誰もが楽しめるヒューマンドラマになっていることを実感しながら演じているので、ぜひ見ていただきたいです」
“恋”ではなく“愛”が描かれていく今作だが、ところで、岸井さんが愛してやまないものとは?
「映画館で映画を観ることが昔から大好きなんですが、今は、ミニトマトに一番愛を注いでいます(笑)。どんなに朝早い撮影でも、出かける1時間前には準備を済ませてコーヒーを淹れて飲みながら、一息つく時間を大事にしているのですが、その時にも大好きなミニトマトを食べています。そうそう、このドラマのロケ地にトマト農園があって。それを知った時はめちゃめちゃ興奮! 早く行きたいです(笑)」
『恋せぬふたり』 人を好きになったことがない、なぜキスをするのかわからない…。そんな兒玉咲子が出会ったのは、恋愛もセックスもしたくない高橋羽。ふたりの同居生活の行方は!? 岸井ゆきのと高橋一生のダブル主演で、毎週月曜22:45よりNHK総合にて放送中。
きしい・ゆきの 1992年2月11日生まれ、神奈川県出身。現在公開中の映画『99.9‐刑事専門弁護士‐THE MOVIE』に出演。主演映画『やがて海へと届く』が4月1日に、出演映画『大河への道』が5月に公開予定。
※『anan』2022年1月26日号より。写真・内田紘倫(The VOICE) スタイリスト・Babymix ヘア&メイク・村上 綾 インタビュー、文・若山あや
(by anan編集部)