安田顕「“ちょっと一杯”が“いっぱい”になる(笑)」 日々闘っていることは?

エンタメ
2021.12.20
仕事でも家庭でもムダに気を使い、よかれと思ってやったことはすべて裏目に出て、心の中でつぶやく。“俺はいったい、何と闘っているんだ…”。安田顕さんが扮したのは、スーパー“ウメヤ”の万年主任、伊澤春男・45歳。休日に、誤発注によりスーパーから呼び出されたり、店内での“内引き”疑惑が浮上するなどドタバタな日々を過ごしながら、いつも誰かのために走り回っている。物語は、そんな春男の、言葉にできない心の声で溢れている。

みなさん毎日、何かと闘いながら生きているんですよね。

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「ここまでモノローグが多い作品は初めてだったので、新しいチャレンジになると思いました。春男について、李(闘士男)監督に『自らを礎にして弱い人を救う彼は、平々凡々に見えて、実はスーパーマンですね』と言ったら、『いや、スーパーマンなんかじゃない。みんながそうやって生きているんです』と言われて。演じているうちに、その通りだと思い直しました。みなさん毎日、心の中で“チキショー”と思っていたり、何かと闘いながら生きているんですよね。それに僕だって、今も、ここまでの質問にお答えしたことがうまく伝わっているだろうか…なんてすでに考えているんです。だから春男の気持ちがよくわかります」

撮影中に印象的だったのは、娘(岡田結実)の恋人(SWAY)が挨拶に来るシーンだそう。高級酒“ナポレオン”をちらつかせて威厳を示そうとするなど、父親の複雑な心境が面白おかしく描かれている。

「あのワンシーンに李監督の狙いが詰まっていて、思わず笑っちゃうけれど最後はホロッとくる温かさがあるし、春男らしくていい。李監督とご一緒するのは、映画『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』に続き2作目ですが、その時の最後の撮影はお酒を飲むシーンで、僕は本当にお酒を飲んでしまって。それを踏まえて今作でもこのシーンをあえてラストにしてくれて『ナポレオンは僕の自前です。一発撮りでいくので、本当に飲んでください』と返してきてくれた。そんなことをしてくださるのも粋だなぁと。男として、改めて李監督に惚れました。ちなみに僕が父親の威厳を示すとしたら、延々と自分の出演作品を見せる、なんてバカ話をこの前していたんですけど(笑)」

そんな安田さんも、日々闘い、葛藤していることがあるという。

「“ちょっと一杯”が“いっぱい”になること(笑)。今はなかなか難しくなっちゃったけど、馴染みの店で交流できるのはやっぱり楽しいです」

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『私はいったい、何と闘っているのか』 現実と理想は遠くても、日々闘い続ける主人公の春男の人生やその家族の絆を描いたハートフルな物語。監督/李闘士男 原作/つぶやきシロー『私はいったい、何と闘っているのか』(小学館) 出演/安田顕、小池栄子、岡田結実、ファーストサマーウイカほか 12月17日より全国公開。©2021 つぶやきシロ―・ホリプロ・小学館/闘う製作委員会

やすだ・けん 1973年12月8日生まれ、北海道出身。主演ドラマ『しもべえ』(NHK総合)が来年1月7日より放送。主演映画『ハザードランプ』ほか、出演映画『リング・ワンダリング』『とんび』が来年公開予定。

ジャケット¥143,000 タートルニット¥22,000 パンツ¥39,600(以上GOTAIRIKU/オンワード樫山 お客様相談室 TEL:03・5476・5811)

※『anan』2021年12月22日号より。写真・岩澤高雄(The VOICE) スタイリスト・村留利弘(Yolken) ヘア&メイク・西岡達也(Leinwand) インタビュー、文・若山あや

(by anan編集部)

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