倉科カナが笑顔を封印して挑む、鬱屈とした役とは? 国や時代を超えて愛される名作『ガラスの動物園』

エンタメ
2021.12.13
劇作家、テネシー・ウィリアムズの名作『ガラスの動物園』は、閉塞感を抱きながら暮らす家族の姿を描く追憶劇。今作で、脚の障害がコンプレックスである内気なローラを演じる倉科カナさん。自然体でありながら太陽のようにその場の雰囲気を明るくするパワーを持つ彼女が、笑顔を封印して鬱屈とした役に挑む。

「ガラス細工のように繊細なローラの悩みから何か受け取ってもらえたら」

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「デビュー当初にテネシー・ウィリアムズ作の舞台『やけたトタン屋根の上の猫』を観て以来、いつかテネシーの戯曲をやりたいと願い続けてきました。たくさんの素晴らしい女優さんが演じてきた『ガラスの動物園』のローラを演じられるなんて、夢がひとつ叶いましたね。ローラは、家族の心の痛みを自分のことのように感じ取ってしまう女性。彼女が大切にしているガラス細工の動物たちのように繊細なんです。母が望むように生きてあげたいと思いながら、自分の気持ちや体がついていかない苛立ちや葛藤を丁寧に演じたいです。私自身は熊本出身、火の国生まれで気が強い一面もあるので、根っこの部分はローラと違うタイプ。でも、人の気持ちが分かるからこそ疲れてしまう気にしいなところは同じ(笑)。ローラの悩みから何か受け取ってくださるものがあればいいですね」

今回は、ローラの弟・トムを岡田将生さん、母のアマンダを麻実れいさん、過去にローラが恋心を抱いていたジムを竪山隼太さんが演じる。憧れていた元宝塚歌劇団のトップスター・麻実さんとの共演には大興奮だったそうで…。

「麻実さんの舞台のDVDを観て、その表現力に感銘を受けて。マネージャーさんに『いつか麻実さんと一緒にお仕事したいです』と話していた矢先に、偶然にも共演が決まってビックリ。初めての読み合わせから、麻実さんのエネルギーに満ち溢れるアマンダに魅了されっぱなしです。同世代の岡田さんは精力的に舞台に挑まれているので、こっそり同志のような感覚を抱いていて(笑)。貪欲にお芝居を追求される方なので、対峙した時にどんな化学反応が起こるのか楽しみです」

ローラがガラス細工を集めて作った動物園に癒されていたように、倉科さんにとって今の心の拠り所は?

「ニャンコの雪(せつ)です! 出かける前に『君のごはん代を稼いでくるね』って声をかけるのが日課(笑)。私の最大の心の支えで、力をもらっています。あと、最近始めたバイオリン演奏も楽しみ。ドラマでバイオリニストを演じたことがきっかけで練習中なのですが、他の楽器よりは才能があるかもしれないなって(笑)。おうち時間でできる趣味が増えたので、続けてみようかな」

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『ガラスの動物園』 1930年代のセントルイスを舞台に描かれるウィングフィールド一家の物語。ある日、母のアマンダ(麻実)の言いつけでトム(岡田)は職場の同僚・ジム(竪山)を姉のローラ(倉科)と出会わせる。12月12日(日)~30日(木) 日比谷・シアタークリエ 作/テネシー・ウィリアムズ 翻訳/小田島雄志 演出/上村聡史 出演/岡田将生、倉科カナ、竪山隼太、麻実れい 全席指定1万1000円 東宝テレザーブ TEL:03・3201・7777 福岡、愛知、大阪公演あり。https://www.tohostage.com/glass-menagerie/

くらしな・かな 1987年12月23日生まれ、熊本県出身。現在、ドラマ『らせんの迷宮~ DNA科学捜査~』『婚姻届に判を捺しただけですが』に出演中。2022年5月・6月に上演予定の舞台『お勢、断行』で主演を務める。

※『anan』2021年12月15日号より。写真・小笠原真紀 スタイリスト・多木成美(コンテンポラリー・コーポレーション) ヘア&メイク・草場妙子 インタビュー、文・福田恵子

(by anan編集部)

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