シーン1:“初対面”で緊張感のある時。
友達の紹介やアプリなどで知り合い、初めて会った相手。恋愛に発展するかわからないが、仲良くはなりたい時の会話。
相手の持ち物に対してポジティブな感想を言う。
「例えばスマホやバッグ、靴など何でもいいので、相手の持ち物に対して軽く突っ込んでみるといいと思います。男性は大概、自分の持ち物にこだわりがあるので、それに対して前向きな感想を投げかけると緊張が解けて場が和むはず」(漫画家・山田玲司さん)
「緊張は無理に隠そうとすると増長してしまいます。そこは素直に『緊張しちゃって』と言ったほうが気持ちはラク。初対面で緊張するのはお互いさまなので、相手もほっとするはず。多少のたどたどしさも、微笑ましいやり取りに」(恋愛ジャーナリスト・おおしまりえさん)
シーン2:“知り合い”でちょっと気になっている。
職場の人やよく行く店のスタッフなど、気になる相手ではあるけれど、まだそこまで親しく話せるレベルではない相手。
相手への興味を示す会話で一歩近づく。
「気になっている人なら、会話の中に好意をにじませて、少し距離を縮めるような工夫をしたいところ。例えば『私、○○さんと話したかったんです』と相手への興味を示すと、向こうは『そんなふうに思ってくれていたんだ』と感じ、会話の温度が上がります」(おおしまさん)
「『○○さん、絶対モテますよね』という恋愛に絡めた褒め言葉も、好意を感じてもらうための有効手段。男性はまんざらでもないし、『もしかして俺のこと好きなのか?』という気持ちになります」(山田さん)
シーン3:“友達”で悪く思っていない相手。
とくに恋愛という雰囲気ではないけれど、何かきっかけがあれば恋人候補になるかも、という時に試してみたい会話。
恋愛トークで単なる友達の間柄に変化を起こす。
この関係性くらいから、具体的な恋愛トークの出番。
「おすすめしたいのは『友達がこんな恋愛で悩んでいて』という恋愛相談話。プライベートな空気感がつくれるうえ、恋愛に対する考え方やアドバイスの仕方、励まし方など、その人の本質が見えてくるので効率的。しかも相談話は、恋愛に発展しやすいんです」(おおしまさん)
「相手と友達付き合いをしているなら、いま恋をしているのか、どんなタイプが好きなのか、ズバリ聞いても差し支えないのかも」(山田さん)
シーン4:“いいかなと思っている”人に近づきたい。
相手のことを「恋愛候補としてアリ」と確信した時。お互いのことをもっと知って、親密になるために心がけたい会話。
相手の価値観を引き出す会話と肯定を試みて。
「相手の価値観を肯定できるような会話が深い関係へと近づけるので、それをいかに引き出すかが大切に。投げかける質問は趣味でも仕事でも何でもいいけれど、『YES/NO』で終わらせないこと。なぜそれに一生懸命なのか、どこが楽しいのかなど、相手の主観が出てくるような質問をして、答えをいいと思ったら『素敵』と肯定を」(おおしまさん)
「男性の場合は、父親の話をしてもらうと、その人の本質に近づけることが多い。肯定しつつ、なるべく情報を引き出しましょう」(山田さん)
シーン5:“一歩踏み込みたい”相手との会話。
ふたりきりで出かけたり、定期的に連絡は取ったりするものの、“友人”の距離を保ったまま、なかなか進展しない時。
恋愛を想起させる言葉で相手に気づいてもらう。
「シーン3のように、恋愛っぽい雰囲気を差し込む会話をするのもいいと思いますが、こちらはだいぶ親しい間柄での突破口をつくりたいケースなので、もう少し直接的な表現でアプローチ。例えば『ドキドキする』『キュンとする』はその筆頭で、これらは基本的に恋愛のときめきを表す言葉。相手に何かをしてもらった時に使うと、『好き』とは言っていないものの、それに近いニュアンスが伝わり、恋愛スイッチがオンになるはず。ふたりきりの時に言うのがポイントです」(おおしまさん)
シーン6:“デートに誘いたい”時。
デートに誘いたい、でも相手のリアクションが予測できない…という時に、相手が誘いに乗りたくなるような会話とは。
相手の興味のあることを差し込み、ワンクッションを。
「まだ相手の気持ちがわからない段階では、唐突に『デートに行きましょう』と誘うより、何かワンクッションあったほうが相手のプレッシャーにならずに済むので、いい返事をもらえる可能性が高まるはず。例えば『辛いものが好きって言っていましたよね』など、それまでの会話の中から相手の興味のあることを名目に誘うのが、一番自然」(山田さん)
「意中の相手と意識すると、つい力んでしまうもの。『これが親しい友達なら』と思って誘うと、失敗はないかと思います」(おおしまさん)
シーン7:向こうからの“反応が薄い場合”の巻き返し。
とんとん拍子で仲が深まればいいけれど、連絡をしてもレスが遅い、ごはんに誘っても忙しいなどと言われてしまうことも。
短時間の気軽なごはんに誘って反応を見る。
「食事に誘って反応が薄い場合は、その理由を聞いてみたほうがいいと思います。『いつまでが忙しくて』と具体的に言ってくれるなら、その時に都合が悪いだけ。土日のランチくらいなら行けるかもしれませんが、それもNGだったり、そもそもはぐらかされたりしたら、脈なしと思ったほうがいい」(おおしまさん)
この場合、あまり深追いしないほうがいいというのが、両者の意見。
「タイミングの問題もあると思うので、向こうが寂しくなった時に、また機会はあるかも」(山田さん)
シーン8:“失言してしまった”と思った時。
自分の発言で、その場がピリッとしたり、ある日を境に相手がよそよそしくなったり…。そんな時はどうすれば!?
理由を聞いて素直に謝るのが一番の挽回法。
「こういう時は、『何か悪いことを言っちゃった?』と率直に聞いてみたほうがいいですね。最初は『別に』と言われるかもしれませんが、誠意をもって接すると、『あの言い方はよくなかった』と出てくると思うんです。そこで素直に謝れる人は、信頼されます」(山田さん)
「『いつもと様子が違う』と思っていることを伝えると、理由を話してくれなかったとしても、『そんな態度をとっていたんだ』と相手の気づきになることも。それが関係回復の一助になる場合も」(おおしまさん)
シーン9:“好意を伝える”会話。
相手のことを好きなのは間違いなく、この人と付き合いたい! と思った時は、どう伝えると受け止めてもらえるのか。
日常会話の中にジャブのように入れていく。
「告白は、あまり力まないほうがいいかも。『私じゃダメ?』『私と付き合うと絶対に楽しいよ』などほぼ告白のセリフを日常の延長線上ですると、OKならそう言ってくれるし、NGなら冗談の体でお互いに笑って流すこともできるので」(山田さん)
「告白の仕方を工夫したからといって、相手の答えが変わるわけではないと思うんです。そんななかできることといえば自己防衛。早く言ってしまいたいと思っても、振られても気まずくはならないデートの終盤や去り際がおすすめ」(おおしまさん)
シーン10:“付き合っている”からこそ気をつけたい。
最後は、恋人になってからの会話術。付き合う前は配慮できていたことが、距離が近くなることで疎かにならないように。
“私”を主語にしてネガティブな感情を伝えること。
「付き合うと距離が近いぶん、『言わなくてもわかってくれるはず』というニーズが高まりますが、実はそれがすれ違いの元凶に。とくにネガティブな感情はその都度伝えたほうがいい。その際、気をつけたいのは、相手を責めるのではなく、自分を主語にして『私はこう思っている』と伝えること」(おおしまさん)
「恋人同士だと『なんで遅れたの?』『きのう何していたの?』という一見、普通の会話が、尋問めいてしまいがち。頭ごなしに否定しないようにしてくださいね」(山田さん)
山田玲司さん 漫画家、恋愛コンサルタント。代表作は『Bバージン』(小学館)、『モテない女は罪である』(大和書房)など。TOKYO FMの音声サービス「AuDee」にて恋愛大肯定プログラム『山田玲司とバグラビッツ』が配信中。
おおしまりえさん 恋愛ジャーナリスト、漫画家。自分にとってベストな相手と関係性を深めるためのコミュニケーション法を提唱。「ananweb」でもコラムを執筆中。著書は『デキたら婚 ダンナより先に子どもが欲しい』(小学館)。
※『anan』2021年8月25日号より。イラスト・momokoharada 取材、文・保手濱奈美
(by anan編集部)