視線や肌の触れ合いで、心もカラダも満たされる。
「私たちは無意識に視線で親密度を調整しています。親密でない人と、長いこと見つめ合うことはできないはず。日常的にしっかりと視線を交わすことでお互いへの信頼感や親密度が上がり、パートナーへの好意が高まる効果が」(臨床心理士・塚越友子さん)
お互いの性的な魅力を視覚的に把握することで、気持ちが盛り上がり、ラブスイッチがONになる。
「コミュニケーションとスキンシップが両立して初めて、心の通ったセックスができるようになります。まずはパートナーを性の対象として意識的に見て、心を通わせることが大切」(ラブライフアドバイザー・OliviAさん)
少しずつ触れ合うことで、初めはくすぐったかった場所が、徐々に性感帯になることも。
「皮膚は、脳を通さなくても感触や音を感じて情報処理ができるため、“第三の脳”とも呼ばれています。優しく触れることで、ストレスを減らすホルモンが分泌されて不安が抑えられたり、幸せホルモンによって触れ合った相手を信頼しやすくなったり、癒しにもつながります」(塚越さん)
「ソフトタッチは、人をリラックス状態へといざないます。リラックス状態では、信頼、絆、愛情が芽生え、さらに性的反応を良くし、深い快楽へと…。単に挿入行為の有無よりも、大切に肌を触れ合うことが、親密感を高めるために重要なのです」(OliviAさん)
下記の「親密さの12段階」を順番に実践したカップルは別れにくいという研究結果が。今回はこのうち1~9までの段階をベースに、OliviAさんがテクニックを提案。お互いの心とカラダを伝え合えば、とろけるような関係を築けるはず。
動物行動学に基づく「親密さの12段階」
イギリスの動物行動学者であるデズモンド・モリス氏が、人間の様々な愛の行為の意味を分析したものをOliviAさんがアレンジ。
- 目をカラダに
- 目を目に
- 声を声に
- 手を手に
- 腕を肩に
- 腕を腰に
- 口を口に
- 手を頭に
- 手をカラダに
- 口を胸に
- 手を性器に
- 性交
より深い関係に必要なのは、視線と体温と言葉。
深い関係に進むためには準備が必要。すでにセックスをしている関係性でも、初期のステップを改めて見直してみて。
「人は視線でのコミュケーションで、安心感が増します。パートナーの目を見て話す機会を作ることで、親密な関係性であるという認識が深まり、それが二人の距離を近づける第一歩に。お互いの幸福度が上がります」(塚越さん)
「セクシュアルな気持ちを盛り上げるためには、しっかりと絡み合う視線や、肌から感じる温もり、話す声のトーンが大切です。低い声でゆっくり、そして柔らかく話すように意識すると、パートナーの心に染み入ります」(OliviAさん)
相手のカラダをしっかり見て、性的な魅力を発見。
相手を異性として認識し、性的魅力を確認することが、人間の求愛活動の第一歩。「関係が長くなると家族同然で、性的魅力を感じなくなることがありますが、パートナーを“性的に意識”して見ることが大切です。会話をしながら『しなやかな骨格』『素敵な笑顔』など、魅力を探してください。反対に、自分のことを性的対象に見せられているかも意識しましょう」(OliviAさん)
初デートのように外で待ち合わせ。
いつもの環境下では、性的な魅力を発見するのが難しいことも。そこで、オシャレをした状態で食事をしたり出かけることで、改めて魅力に気づくことができる。「出会った初期のような、服装やメイクにこだわっていた気持ちを思い出すことが大切です。いつもより綺麗になっている、美容室の帰りやメイクレッスン後に待ち合わせすると、よりドキドキ感が高まります」(OliviAさん)
無言で4分間見つめ合う。
視線を交わすと、パートナーへの思いが溢れてくる。「無言で4分間見つめ合うと、自然と涙が出たり、気持ちが溢れるという実験結果があります。恥ずかしい人は、ゲーム感覚でやってみて。どう感じたかをフィードバックし合うことで、より親密度が増幅します。話すときはカラダごと相手のほうへ向ける習慣をつけ、目を合わせる時間を増やすようにするといいでしょう」(OliviAさん)
熱気を感じる距離に手を近づける。
肉体に直接触れる前に、パートナーの熱気を感じられる距離にゆっくり近づくことで、“性的な関係”というドキドキを感じられる。「5~10cm程度のパーソナルスペースへいきなり入るのではなく、少しずつ近づいて、二人の空気感を感じることが大切です。相手が身を離したり拒絶しないことを確認してから、肩を寄せたり、触れることで、抵抗感がなくなります」(OliviAさん)
並んで歩きながら、相手の手の甲にタッチ。
手の甲同士をさりげなくタッチさせ、相手の反応を楽しむ。「手をつなぐのが恥ずかしい人は、歩きながら手の甲同士を合わせてみましょう。ゆっくり熱気を感じてから触れ、相手との呼吸を合わせてリラックスしながら触ることで、鳥肌が立つようなセンシュアルタッチを楽しめます。上手くタイミングを掴めない人は、カジュアルな握手やハイタッチから始めてもいい」(OliviAさん)
毎晩目を見て感謝を伝える。
眠る前に「好き」「今日もありがとう」と、伝え合う時間を習慣に。「パートナーがいてくれるだけで幸福度が上がるなど、存在感の“Being”と、相手がしてくれた行動に対する“Doing”の2つの感謝を伝えましょう。理想は見つめ合って話すことですが、会えなければ、テレビ電話やメッセージでも。毎日積み重ねることで、お互いの信頼関係が深まっていきます」(OliviAさん)
つかこし・ともこ 臨床心理士、公認心理師として様々なメディアに出演。人間関係の悩み解決が得意。水希のペンネームで執筆活動も。著書に『銀座No.1ホステスの大切な恋の続け方』(大和書房)ほか。
オリビア ラブライフアドバイザー。コミュニケーションを重視した性生活の総合アドバイスを行う。 近著『セックスが本当に気持ち良くなるLOVEもみ』(日本文芸社)ほか。公式サイト https://olivia-catmint.com/
※『anan』2021年7月14日号より。イラスト・深川 優 取材、文・三谷真美
(by anan編集部)