僕自身、人の身の上話を聞くのが好きだし、人に興味があるんです。
原作漫画ファンの間では、実写化決定以前から「青山の見た目や仕草などが中村倫也さんにしか見えない!」と噂になっていたが、いざ放送が始まると「まさに青山さん!」などと称賛の声も。これまでの放送回では、会社でくすぶっているOLや平凡な毎日に嫌気がさした主婦などが登場し、その悩みに寄り添いながら心を癒してきた青山。
「毎話変わる登場人物たちが身の上話を膨大なセリフ量で説明し、青山はその気持ちを引き出す相槌や言葉の返し方で次のステップに運んでいくんですが、これこそ芝居の本質だな、と演じながら思っていました。というのも、自分の役柄を紹介するためにセリフを言うのが役者の仕事だと思われがちですが、本来は自分のセリフによって相手をどう動かすか、というのが芝居だと思うから。そういう意味では、この作品では純粋に芝居を楽しめたと思います」
思わず自分の話をしてしまうような包容力を持つ青山のように、プライベートで悩みを打ち明けられることもあるという中村さん。
「たぶん、自分の話をするよりも人の話を聞くのが好きなので、僕自身が相手の身の上話を聞きたいと思っているのかもしれません。その人の話を聞いていると純粋に興味を持って質問したくなったり、『へぇ~』ってうなずけたりとか。まあこれが青山と似ているかというとちょっと違って、青山の場合は“使命感”から相手の話を引き出すタイプ。とはいえ目的は違えど、やっていることは似ているものがあると思いますね。上手に人の話を聞く方法? まずは相手に興味を持つことかな。僕は撮影の合間の待ち時間に、共演者のいろんなことが知りたくなって聞いちゃうぐらい、人に興味があります」
人懐っこい性格をのぞかせた中村さんが、ドラマ放送前に自身のツイッターで「ぎゃー!!!!!」とつぶやきネット上をざわつかせた出来事が。それは、オープニングテーマが小沢健二さんの書き下ろしと発表された時。しかも、そのつぶやきに小沢さん本人がリプライするという嬉しいサプライズも。
「ツイッターやっててよかったです(笑)。しかも小沢さんがそれに対して『倫也さんにぴったりと思ってます』なんて言ってくれるとは。そもそも僕が小学生の頃、小沢さんの曲がよくテレビから流れてきていたから知っている曲がたくさんあったんですが、この世界に入り、先輩の役者さんたちと飲んでいた時に小沢さんの曲を薦められて聴き始めて。いつまで経っても色褪せない瑞々しい音楽と歌詞に衝撃と感銘を受けて、すっかりファンになっていたんです。『ドアをノックするのは誰だ?』のサビの歌詞とか痺れますよね。新生活がスタートしたこの時期、気が重くなりがちな月曜日の夜に、気軽にこのドラマを見て心を軽くしてほしい。みなさんにとって“ラブリー”な存在になると嬉しいです」
『珈琲いかがでしょう』 移動販売車で街を回る「たこ珈琲」の店主・青山一が、訪れる人の身の上話に寄り添う。癒されたい人や、珈琲が好きな人に幸せを運ぶ移動珈琲物語。毎週月曜23時06分~テレビ東京で放送中。Paravi、ひかりTVで配信中。
なかむら・ともや 1986年12月24日生まれ、東京都出身。2005年俳優デビュー。5月28日に公開予定の出演映画『100日間生きたワニ』ではネズミを演じる。初のエッセイ集『THEやんごとなき雑談』が発売中。
ニット¥34,100 Tシャツ¥17,600 パンツ¥38,500(以上Acne Studios/Acne Studios Aoyama TEL:03・6418・9923)
※『anan』2021年5月5日-12日合併号より。写真・小笠原真紀 スタイリスト・戸倉祥仁(holy.) ヘア&メイク・Emiy インタビュー、文・若山あや
(by anan編集部)