意外!? 佐藤可士和が初個展 ユニクロのロゴもアートに!

2021.2.14
ユニクロや楽天グループ、セブン-イレブン・ジャパンなどのデザインを手掛け、今や日本を代表するクリエイティブディレクターとなった佐藤可士和さん。そんな彼が自身初、国立新美術館での個展「佐藤可士和展」を開催する。

佐藤可士和の美意識の神髄に迫る展覧会。

「国立新美術館からオファーをいただいたのがきっかけです。デザインの展覧会を国立の美術館でやることはたいへん意義深いですし、なんといっても2007年の開館時に僕がシンボルマークをデザインした非常に思い入れのある美術館で大規模な個展ができて、とても嬉しいです」

今回は過去の膨大な作品の中から約50のプロジェクトを厳選。その多くは、デザインの力でなんらかの新しい挑戦を試みているものだ。

「僕が小学5年生の時に描いた『宇宙』という作品から展覧会が始まります。そこから最新のアートワークまで、ほぼ時系列に僕の歩んできた道が辿れる趣向に。プロジェクトの規模はどんどん大きくなっていますが、子供の頃から大切にしていることはあまり変わっておらず、本展で僕の美意識の根底に流れるものも感じていただければ幸いです」

特に今回は自身で手掛けたという空間演出も見どころのひとつ。例えば「THE LOGO」のコーナーには、キャンバスに3.5mもあるユニクロのロゴや、実際のタオルで織られている今治タオルのロゴなど、そのブランドの特性を表現する素材でロゴをオブジェ化。20m角の大空間の中に並ぶ巨大なロゴは、ロゴの存在感や重要性を改めて感じられるインスタレーションに。また「UNLIMITED SPACE」は、楽天のテクノロジーをテーマに、佐藤さんと楽天デザインラボ、楽天技術研究所とが共同で作り上げたインタラクティブ作品。展示空間に足を踏み入れると、その動きに反応して楽天で検索されている単語が続々と投影され、一人ひとりの人型を形成するというもの。私たちの体の動きと楽天のデータ世界が可視化される空間演出など、様々なメディアを駆使した空間にはサプライズが満載だ。また今回は、和紙に描かれた岩絵の具のドローイングなど、画才を感じさせる新作も披露される。

「デザインとはソリューション。社会の中の問題を一つひとつ解決するプロセスこそがデザインの正体」と言う佐藤さん。彼が30年にわたり、様々な仕事で考えてきた問題解決の方法を、本展ではエンターテインメントの要素も交えて、惜しみなく紹介している。

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1.「日清食品関西工場」 トータルプロデュース 2019年滋賀県にオープンした日清食品の工場は、建物を見ただけでそれとわかる象徴的なデザイン。

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2.グローバル旗艦店「ユニクロ ソーホー ニューヨーク店」屋外広告(工事中店舗の仮囲い) 2006年NYにある『ユニクロ』旗艦店。カタカナを使用したスクエアなロゴやシンプルな建物はもはや世界のブランドとして浸透。

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3.「宇宙」 1975年 色紙のコラージュ 38×53.5cm 佐藤氏が小学生の時に描いた作品も本邦初公開。すでに才能の片鱗が!

国立新美術館 東京都港区六本木7-22-2 開催中~5月10日(月)10時~18時(入場は閉館の30分前まで) 火曜(2/23、5/4は開館)、2/24休 全日日時指定制 一般1700円ほか TEL:03・5777・8600(ハローダイヤル)

さとう・かしわ 1965年、東京都生まれ。博報堂を経て2000年「SAMURAI」設立。最新著書『佐藤可士和の対話ノート』(誠文堂新光社)発売中。

※『anan』2021年2月17日号より。取材、文・山田貴美子

(by anan編集部)