腸が最も活発に動くのは朝! “腸冷え”を改善する5つの方法

2021.1.30
腸は消化・吸収、排泄だけでなく、免疫にも関わる重要な器官。だから、腸を元気にする対策を立てることは様々な病気の予防に。なかでもこの時期、特に気をつけて実行したいのは“冷やさない”ということ。腸を温め、動かすためにできることを知っておこう!

温めれば腸の動きは活発に。正常に動けば、腸は温まる。

大腸専門医の松生恒夫先生によると「現代人の腸にかかるストレスは年々悪化しており、なかでもいちばん深刻なのが“冷え”によるもの」だとか。

「腸活や、腸内環境を整えるといった言葉も定着してきましたが、肝心の腸が冷え切って動いていないと、せっかくの腸活も効果を最大限に発揮できません」

“腸冷え”は、気温やカラダを冷やす服装だけでなく、食生活の変化、寒いからと部屋でゴロゴロして過ごす生活、シャワーだけで入浴を済ます習慣なども原因に。

「腸冷えの人に多く見られるのが“停滞腸”です。これは“腸の働きが鈍くなっている状態”のこと。腸冷えと停滞腸はお互いに悪循環を招く裏表の関係で、腸が冷えていると働きが鈍くなり、逆に、働きが鈍くなることで冷えが進む。そして腸冷えや停滞腸は、便秘や下痢、お腹の張り、肌荒れから生活習慣病まで、様々なトラブルや病気のリスクへと繋がります」 

腸冷えと停滞腸を撃退する方法、すなわち腸を温め活発に動かす基本は、食生活、運動、生活習慣の3つ。できることから生活に取り入れて、温め腸活を始めよう。

冬の温め腸活1:食事する時間と腸のリズムを合わせる。

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腸が正常に働くためには、腸のリズムに沿った食生活が大切。例えば、腸が活発に働く時間に食事を摂る。規則正しい時間に食事を摂り、ちゃんと腸も休ませる。便意は我慢しないなど…。「便を排泄するために起きる大腸の収縮運動の中で、最も大きな“大ぜん動”が起きるのは朝食後。なので、腸が最も動く朝は、腸を温める最大のチャンスでもあります。朝食後、リラックスして排泄できると、一日のリズムが整い、腸の調子も良くなります」。また、睡眠中、腸に収縮運動を起こし胃腸内を掃除するホルモンが出るが、消化が終わらないと出ないので、夕食は寝る3時間前までに。

朝、排泄を済ませ、仕事や家事など活動を始めると、交感神経が優位になり、午前中、大腸はお休みモードに。

冬の温め腸活2:朝食には必ず温かい汁物を食べる。

朝は、大腸が最も動くタイミング。ただしそれは、朝食を食べることで胃から大腸に刺激が伝わって初めて引き起こされる。なので、朝食は必ず摂りたい。「今の食生活で腸にダメージを与えている要素の一つに、温かい汁物を食べる機会が減ったことがあります。温かい味噌汁やスープで物理的に腸を内側から温めることは、実はとても効果的です」。できれば毎日、朝食の献立には温かい汁物を入れたい。味噌汁には植物性乳酸菌を摂れるメリットも。食物繊維たっぷりの具だくさんだとベスト。どうしてもきちんとした朝食が摂れない人は、左ページの腸を温めるドリンクだけでも。

漬物も植物性乳酸菌が多く含まれる。昔ながらの和の朝食でなくても構わないので、温かい汁物を取り入れよう。

冬の温め腸活3:“食温腸”の食材を積極的に摂る。

「食温腸とは、東洋医学の考え方である“食養生”を基に“温めて腸の動きを良くする食材”という意味から考案した言葉です。腸冷えや停滞腸による軽症の便秘であれば、食温腸の食材を摂りながら本来の機能を整えていくことで、自分で治せるケースがほとんどです」。食温腸のメニューの中で腸を動かす働きが抜群なのが、カレー。カレーにはカラダにいい効能を持つスパイスが豊富に含まれている。特に温め効果が高いのがターメリックやシナモン、ジンジャー。他には、発汗作用があるペパーミントや唐辛子。不溶性と水溶性、両方の食物繊維を含むキウイフルーツもおすすめ。

ライスをターメリックライスにすると効果倍増。ペパーミントには腸管の痙攣抑制や、ガスを排出させる働きも。

冬の温め腸活4:腸を温めるチョイ足し食材を活用。

毎回、腸を温める具材入りの料理を作るのは大変だが、料理や飲み物に、温め効果が上がる食材をちょっと足すだけなら簡単。「何にでも合って、気軽に取り入れられる最強のチョイ足し食材は、オリーブオイル。温かい飲み物に数滴垂らすと表面に油膜ができ、それが優れた保温持続力を発揮します。何種類かあるので、最も効果が高い精製されていないEXV(エキストラバージン)オリーブオイルを選んで」。シナモンも、血管を拡張する作用が期待でき、漢方では発汗や整腸に効果があるとされている食材。冷えた腸を温め、元気にする。パウダーを飲み物やサラダ、トーストに振りかけよう。

80度のお湯180mlにEXVオリーブオイル5mlを入れたもの、サラダ油を同量入れたもの、油なしのお湯で、時間経過とともに低下する温度差を比較。EXVオリーブオイル入りのお湯が最も冷めにくいことがわかった。

冬の温め腸活5:腸を温めるドリンクメニュー!

「腸冷えを解消するには、直接温かいものを飲むことも有効な手。水分を摂取することで便秘の解消も期待できます」。冷え対策として漢方にも用いられるシナモン&ジンジャー、血流を改善しカラダの芯から温めるココア、理想的な発酵食品の一つである甘酒…。今回紹介するホットドリンクは、それらを使い体内で温度が持続するように考えられた、松生先生オリジナル。「保温効果を確かめるため比較実験をしましたが、いずれも高い保温力がありました」。材料のオリゴ糖は、腸内の善玉菌を増やし、ぜん動運動を促す働きが。甘酒ココアや、ホットイチゴ甘酒などアレンジもOK。

松生恒夫先生 松生クリニック院長。これまでに、5万件以上の大腸内視鏡検査を行ってきた大腸疾患治療の第一人者。『専門医が教える 腸ストレッチでお腹スッキリ!』(マイナビ出版)、『図解ハンディ版 腸を温める食べ物・食べ方』(青春出版社)ほか著書多数。

※『anan』2021年2月3日号より。イラスト・朝野ペコ

(by anan編集部)