中医学では“爪は肌の一部” 冬が旬の魚や白い食材を摂ってケア

2020.12.17
憂鬱な時期を、体質別養生で快適に。中医学や養生法に詳しい櫻井大典さんによる「Daily(デイリー)養生」。今回のテーマは「爪の割れ」です。

欠け爪は、夜更かしや食の偏りが原因。

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ときどき「爪がよく割れるので、ジェルネイルが欠かせません」という方がいます。この場合、漢方家としてまず疑うのは、血の不足、「血虚(けっきょ)」です。

中医学では爪は肌の一部であり、肌と同じように血で養われているもの。血には全身に潤いと栄養を運ぶ働きがあり、不足すると全身の乾燥や顔色の悪さ、月経量の減少や便秘といったトラブルが起こります。さらに不眠や強い不安感も、血虚が原因。血には精神を安定させる作用もあるからです。

よく貧血と間違われるのですが、血虚は物理的に血が足りないだけでなく、「血がきちんと働いていない」状態も含む概念です。一見、血とは関係ないように思えるこうした不調も、中医学の世界では、実は血の不足が関わっていると捉えるのです。爪のもろさに加えてこうした症状があれば、血を補う養生を早めに始めましょう。

毎日の心がけで、血を少しずつ増やして。

血を十分に巡らせるために必要なのはまず、補血(ほけつ)の食材。きくらげやしめじ、肉類のほか、たらやぶりなど冬が旬の魚もおすすめです。血はすぐには作られないので、普段からこうした食材を摂るように心がけつつ、とくに血が失われやすい生理中はしっかりと。魚介やきのこたっぷりの鍋ものなら、体も温まって一石二鳥です。

さらに、血が作られるのは夜中、23時から3時頃の間。この時間にきちんと体を休めることが、血を増やすことにつながります。また、目は血を消耗する器官なので、夜はできるだけ目を休めることも大切です。理想は22時就寝ですが、それが難しくても、目の刺激となるスマホやTVは控えめに。

極度の乾燥やストレス。こんなサインも要注意。

爪からはほかにもさまざまなことが読み取れます。縦じわはとりわけ乾燥がひどいときに生じます。補血食材に加え、豆腐やれんこんなど潤いを補う白い食べ物を増やしましょう。でこぼこしているときは肝のトラブルの可能性大。ストレスを溜めていませんか? 爪は10日で約1mm伸びるので、とくに凹凸がある部分が根元から何mmかを見ることによって、ストレスが強かった時期が分かります。気付かぬうちに抱えていることも多いのがストレスです。爪からのサインを、日々の生活を見直すきっかけにしてくださいね。

さくらい・だいすけ 漢方専門家、国際中医専門員。完全予約制の漢方相談処「成城漢方たまり」で相談を行う。『体をおいしくととのえる! 食べる漢方』(小社刊)ほか、監修書、著書多数。https://yurukampo.jp/

※『anan』2020年12月23日号より。イラスト・momokoharada 文・新田草子

(by anan編集部)