伊藤健太郎「僕、芸能人になりたくないんです」 その深~いワケとは?

2020.10.10
等身大な役柄から、コミカルな表情に至るまで、さまざまなキャラクターを自分のものとする役者・伊藤健太郎さん。作品での姿はもちろん、テレビなどで見せる素顔も愛され要素の一つ。活躍の幅を広げる、彼の軸に迫りました。

まずは自分で自分を好きにならないとダメだなって。

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いま、愛される男と聞いて、彼を思い浮かべる人は多いと思う。でも本人は「僕って、愛されてるんですかね? 自分じゃ全然わかんないですよ。映画やドラマのスタッフさんに『なんで僕を呼んでくれるんですか?』って聞いても、『え、ノリ』って言われたこともありますし(笑)」と、軽快に笑い飛ばしてみせる。まるで自覚はないようだけれど、きっとこの自然体で飾らないところが、数多くの人を惹きつけて離さない伊藤さんの魅力なのだろう。

「たしかに、ファンの方とかスタッフさんに、そう言っていただくことは多いかもしれないです。そのまんまな感じがいいねって。自分でも、ありのままをさらけ出して生きてるほうだとは思いますね。僕、自分を取り繕うことができないんですよ。プライベートはプライベート、仕事は仕事って、しっかり線引きして自分を切り替えている人もいると思うんですけど、僕は無理。隠したところで絶対にボロが出ちゃうと思いますし。たぶん、バカなんでしょうね(笑)」

そう言って笑うけれど、ありのままの自分をさらけ出して生きるのは、そう簡単なことではない。それは、伊藤さん自身がしっかりと自己肯定できているからこそ。

「自分のこと、好きですよ。10代の頃はあんまり好きじゃなかったんですけどね。ポンコツだし、器用貧乏だし。なのになんでこんな僕に、いろんな人が反応してくれるんだろうって思っていた時期があって。でもこれだけ自分のことを好きになってくれる人がいるなら、まずは自分で自分のことを好きにならないとダメだなって思うようになったんです。自分を肯定するという意味では、ファンの方の存在はとても大きい。僕たちの仕事なんて、自分に反応してくれる人がいないと成り立たないですし。いまはもう、うまく取り繕えなくても器用貧乏でも、まぁそれでいいかなと思っているんです。周りはどう言うかわかんないですけど。でもポジティブに考えるって大事ですよ。僕、落ち込んでも3秒くらいで立ち直るんで(笑)」

そんなふうに、自分で自分を好きでいるために心がけていることを尋ねてみると、「変わらないことですかね」と伊藤さん。

「僕、芸能人になりたくないんです。どれだけ自分のことを知っている人が増えようが、『磯丸水産』で飲んでる自分でいたいし(笑)、いつまでも地元の友達とつるんでる自分でいたい。そこは絶対ブレたくないなって。変わる人とはたぶん仲良くなれないと思います」

僕が思う愛される男は気配り上手の仲野太賀くん。

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伊藤さん自身が思う愛される人の条件もまた、「いつまでも変わらず、ありのままの自分を出して生きている人」。まもなく公開になる伊藤さんの主演映画『十二単衣を着た悪魔』で共演した伊藤沙莉さんも、そんな人なのだと言う。

「沙莉は本当に飾らない人だから、みんなに好かれるんじゃないかな。初めて一緒にお仕事したのは僕がまだ10代の頃だったんですけど、その時から本当に何も変わってないんですよ。相変わらず、すごくおもしろい(笑)。あと、僕が思う一番の“愛される男”といえば、(仲野)太賀くんなんです。彼は気配りができるし、愛があるし、飾らないし、おもしろいし、人から愛される条件がすべて揃っているような人。しかも、それを全部無意識でやってるんですよね。周りのスタッフさんやキャストの中で、太賀くんのことを嫌いって言う人はたぶんいないんじゃないかな。僕は全然気配りできないし、あまりおもしろくもないんで、太賀くんには絶対に敵わないです」

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映画『十二単衣を着た悪魔』 『源氏物語』の世界へタイムスリップしてしまったフリーターの雷(伊藤)が、そこで出会った弘徽殿女御(三吉)に触発され、成長していく姿を描く。監督/黒木瞳 出演/伊藤健太郎、三吉彩花ほか 11月6日(金)全国公開。©2019「十二単衣を着た悪魔」フィルムパートナー

いとう・けんたろう 1997年6月30日生まれ、東京都出身。出演している映画『宇宙でいちばんあかるい屋根』が公開中。『とんかつDJアゲ太郎』は10月30日公開。NTV系『ZIP!』内で毎週木曜「伊藤健太郎のZIP!シネマ」も担当中。

シャツ¥33,000 パンツ¥22,000 シューズ¥34,000(以上ラッド ミュージシャン/ラッド ミュージシャン 原宿 TEL:03・3470・6760)

※『anan』2020年10月14日号より。写真・森山将人(TRIVAL) スタイリスト・前田勇弥 ヘア&メイク・神川城二(crollar) 取材、文・菅野綾子

(by anan編集部)