画家の愛が伝わる子供絵の数々。
三菱一号館美術館の開館10周年を記念した本展は「子供」にフォーカスしたもの。19世紀末パリの前衛芸術家グループ「ナビ派」の画家たちの作品を中心に、当時の都市生活や近代芸術を、子供を通して紹介する。
ナビ派とは19世紀末にパリで起こった芸術運動のひとつ。ポスト印象派の巨匠ゴーガンやゴッホなどの影響もあり、写実を重んじる伝統的な美術に対して、何気ない日常生活のワンシーンを力強い色彩や単純化された構図で描き出しているのが特徴だ。ナビ派は19世紀と20世紀の美術をつなぐ存在として近年、注目され評価も高まっている。
そんな中から今回はピエール・ボナール、フェリックス・ヴァロットン、モーリス・ドニ、エドゥアール・ヴュイヤールら派の中心人物たちが残した油彩・版画・素描・挿絵本・写真など約100点を紹介。家の中で、公園で、と当時のパリ生活と共に描かれた作品からは、画家として、親として、向けられた子供への温かい眼差しが読み取れるはずだ。
フェリックス・ヴァロットン
≪可愛い天使たち≫1894年 木版/紙 三菱一号館美術館蔵
モーリス・ブーテ・ド・モンヴェル
≪ブレのベルナールとロジェ≫1883年 油彩/カンヴァス オルセー美術館蔵 Photo ©Musee d'Orsay, Dist. RMN-Grand Palais / Patrice Schmidt / distributed by AMF
エドゥアール・ヴュイヤール
≪赤いスカーフの子ども≫1891年頃 油彩/厚紙 ワシントン・ナショナル・ギャラリー蔵 National Gallery of Art, Washington, Ailsa Mellon Bruce Collection, 1970.17.90
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フィンセント・ファン・ゴッホ
≪マルセル・ルーランの肖像≫1888年 油彩/カンヴァス ファン・ゴッホ美術館蔵 Van Gogh Museum, Amsterdam(Vincent van Gogh Foundation)
『画家が見たこども展 ゴッホ、ボナール、ヴュイヤール、ドニ、ヴァロットン』 三菱一号館美術館 東京都千代田区丸の内2-6-2 開催中~6月7日(日)10時~18時(入館は閉館の30分前まで。祝日を除く金曜、第2水曜、4/6、会期最終週平日は~21時) 月曜休館(4/6、5/4、6/1と、トークフリーデーの3/30・4/27・5/25は開館) 1700円ほか TEL:03・5777・8600(ハローダイヤル)
※『anan』2020年3月4日号より。文・山田貴美子
(by anan編集部)