
旬の食材と季節に合った“養生食”が、心と体の健康を保つ力になる。そこで中医学の考えをベースに、春に感じやすい不調を改善してくれる具をたっぷり入れたみそ汁と、さらに+αのアレンジレシピを伝授!
Index
日本人に馴染みがあるみそ汁は、最良の養生食
身近な食材を煮て、みそを溶くだけで簡単に作れるみそ汁は、毎日の食生活に取り入れやすく、心身の不調を防ぐのにも役立つ。
「昔から『薬食同源』という言葉があるように、食べることは薬を飲むことと同じように大切。数千年の歴史を持つ中国の伝統医学『中医学』の理論で、陰陽や五行を取り入れた食事が、体の環境を整えてくれるといわれてきました。その考えに基づいた食事が薬膳料理で、生薬を煎じて飲むように、薬膳で最も重要なのが湯(たん)=スープ。日本人の“湯”はみそ汁であり、まさに最良の養生食です」
と、料理研究家の石澤清美さん。季節によって体調が揺らぐのは致し方がないこと。だからこそ季節やその日の体調などに合わせて、みそ汁の具材を選ぶことも意識すべきだとか。
「人は自然の一部であり、季節の流れに沿って生きています。特に春は芽吹きの季節で、気分も明るくなり、人間の体も活発になっていきますが、その過剰なエネルギーがイライラやソワソワに変わり、ストレスを溜めやすくなります。旬の食材はその時期に最も多くの栄養を蓄えており、足りないものを補ってくれるので、心や体も整えてくれます」
薬膳の考え方・効能とは?
「気・血・水」の3つを巡らせることが大事

気持ちの落ち込みは「気」、皮膚や爪のガサガサや貧血は「血」、乾燥やむくみは「水」、それぞれが不足すると起こる症状。3要素が過不足なく巡っているのが健康な状態。
中医学では、人の体は「気」「血」「水」の要素で構成されると考えられ、これが不調の原因を探るための物差しになる。
「気は目に見えない生命エネルギー、血はいわゆる血液を指す活動の栄養源、そして水は血液以外の体の水分を指します。これらは深く影響し合う三位一体の存在で、バランスが崩れると心身の不調を招きやすくなります」
季節の変化の影響も受けやすいため、旬の食材を積極的に摂取して、巡りを良くすることが大切に。
みそが不調に効くポイント
春の寒暖差に負けずに、体を温めてくれる効果が
春は最も寒暖差が大きい季節で、体温調節がうまくいかなかったり、自律神経のバランスが崩れやすくなる。
「温めるのを担うのは『気』です。冷えは体の機能を滞らせるため、温かいみそ汁が陽の気を補ってくれます」
ストレスなどで乱れやすい腸内環境を整えてくれる
みそは日本伝統の発酵食品。その原料の大豆には、善玉菌を増やし、腸の動きを活発にさせる効果が。
「また、みそ造りに用いられる麹菌は、体内の不要なものを排出してくれるため、消化吸収を助けるみそ汁は腸活に最適」
イライラや不眠の原因となる“水分不足”な体内を潤す
春は冬に引き続き、体内の水分不足が顕著。
「水分が足りないと体に熱がこもり、乾燥や火照り、のぼせなどを引き起こします。大豆は水分代謝を良くし、みそ汁も水分と栄養素を同時に摂取できるため、潤いを補えます」
すべての大敵・冷えを解消! “体を温める”おかずみそ汁
レシピ①|サバ缶とニラ、キムチのみそ汁
陽の気を起こして、体を芯から温めてくれる

サバ缶は、旨みや栄養の宝庫である煮汁ごと使用し、温める効果が高いニラ、キムチと生姜が体の巡りを良くする後押しに
「ストレス解消は冷え取りがカギに。サバは、『気』と『血』の流れを良くし、体を温め、巡りを良くしてくれる食材です。ニラは春の季語でもあり、別名『起陽草』と呼ばれ、陽気を起こすスタミナ薬草として有名です。キムチや生姜などの辛味は元気を与え、全身のエネルギーの巡りを整えてくれるので、この一杯でポカポカに!」
recipe
材料(2杯分)
サバ水煮缶…1缶(150g)、ニラ… 1袋(50g)、キムチ…適量、おろし生姜(チューブ)…適量、みそ…大さじ1
※春は辛味の摂りすぎに注意するべき季節でもあるのでキムチと生姜は適量に。
作り方
① ニラはざく切りにする。
② 鍋に水300mlとサバ缶の汁、生姜、キムチの半量を鍋に入れて煮立てる。
③ みそを溶き入れ、サバ、ニラを加えてひと煮する。残りのキムチをのせる。
むくみも解消したい方は、「あおさのり」をプラス!

体が冷えることで血流が悪化し、水分の巡りが滞るためむくみが生じやすくなる。「海藻類はカリウム豊富で利尿作用が高いため、むくみ取りに最適。あおさのり以外に、もずくやわかめでもOK。ちょい足しすればデトックス効果大」
レシピ②|カブとエビ、菜花のみそ汁
体を温めるダブルの食材と、菜花で春を感じる一杯に

カブとエビは体を温める食材の極み。ホクホクのカブと、プリッとしたエビは食感はもちろん、味の相性も抜群。そこに春の訪れを告げる菜花を加えることで、温かみ溢れるみそ汁に
「カブは消化を助ける働きがあり、お腹から温めてくれます。エビは薬膳では『温性』の食材とされ、腎臓の働きを良くして体の芯から温める力が。菜花は花が咲く前の栄養をたっぷり蓄えたつぼみで、独特の苦味成分にはデトックス効果があり、新陳代謝を促してくれます」
recipe
材料(2杯分)
カブ…小2個(100g)、むきエビ…6尾、菜花…6本(50g)、だし汁…300ml、みそ…大さじ2
作り方
① カブは一口大に切り、エビは背に切れ目を入れて背ワタを除く。菜花はざく切りにする。
② 鍋にだし汁を煮立ててカブを煮る。柔らかくなったらエビと菜花を加えてひと煮し、みそを溶き入れる。
さらに温めて排出を促す、「うち豆」「カレー粉」をプラス!

大豆を丸ごと潰して乾燥させたうち豆と、スパイスたっぷりのカレー粉で冷えを撃退。「うち豆は体内の余分な水分を排出してくれるし、食べ応えのある食感も◎。カレー粉は体を温めるだけでなく、食欲を刺激し、消化促進作用も」
教えてくれた方
Profile
石澤清美
料理研究家。国際中医師、国際中医薬膳師、国際薬膳茶師、ハーバルセラピスト。豊富な食養生の知識を活かした、体に優しいレシピを発信している。近書に『体と心をいたわる 薬膳みそ汁』(Gakken)。
anan 2488号(2026年3月18日発売)より



















