映画『ドラえもん』 声優に広瀬アリス、脚本に直木賞作家辻村深月と超豪華!

2019.3.7
月にはウサギが住んでいる――? シリーズ39作目となる『映画ドラえもん のび太の月面探査記』は、そんな伝説を出発点に、思いもよらない冒険が展開されていく物語。今回、脚本を手がけたのは、直木賞作家であり、『ドラえもん』に深い愛情を注ぐ辻村深月さん。そして、広瀬アリスさんは、作中に登場する月に住む美少女・ルナの声を担当している。共に漫画好き、アニメ好きでも知られるおふたりが、『ドラえもん』の魅力、そしてファンタジーの持つ力について語り合いました。

大人になって観て気づく面白さもある。

ドラえもん

辻村:じつは6年ほど前にも、一度、脚本のお話をいただきました。でも、本当に『ドラえもん』が大好きなので、自分が書いていいのかという思いと、大好きなものに仕事として関わってしまうことの怖さを感じて、その時はお断りしたんです。ただ、藤子・F・不二雄先生のアシスタントで、藤子先生の亡くなられた後に大長編を引き継がれた、むぎわらしんたろう先生とお会いし、当時のことを描かれた『ドラえもん物語~藤子・F・不二雄先生の背中~』(小学館)を読んだりするなかで、気持ちに変化が出てきたんです。本には、壮絶なプレッシャーと戦いながら『ドラえもん』を描き続ける、むぎわら先生の姿が描かれているのですが、それを見た時、毎年ある映画は、当たり前のことではなく、誰かが繋いできてくれたものであり、そのおかげで自分はファンでいられたんだって感謝をおぼえて。脚本の依頼というのは、次の一年に繋ぐためのバトンが今、自分のところに来たということなんだと思ったんです。

広瀬:そんなことがあったんですね。私は、今回のお話をいただくずっと前から、辻村先生の小説『オーダーメイド殺人クラブ』が大好きだったので、辻村先生の脚本だと伺って、すごくうれしかったんです。

辻村:私も、この映画の製作発表会見の時に広瀬さんからそう伺って、とても光栄でした。あの日が初対面で、十二単姿の広瀬さんは身動きするのもやっとという状況。会見後、さっと挨拶だけして失礼しようとした私を、わざわざ呼び止めて声をかけてくださった時、「なんて素敵な人なんだ」と感動しました(笑)。

広瀬:あの時は…衣裳が重くて声を出すのもやっとだったんですけれど、これだけはどうしても伝えたいと、必死でした(笑)。台本も、かなり厚いものだったんですが、文字だけしか書かれてないのに、不思議なくらい自然と頭の中に映像が浮かんだんです。夢中で読んじゃいましたし、台本を読んで、あんなにワンワン泣いたのは初めてというくらい感情移入してしまいました。

辻村:藤子先生が描かれたドラえもんの映画って、もちろんファンタジーではあるんですけれど、じつは現実の物理法則や当時最新の学説に基づいて描かれているんです。脚本を書くにあたって、そこは守らないとというのはありました。今回、月を舞台にするとは決まったけれど、現実に、すでに月は生き物が住める環境ではないというところまで調べが進んでいるなかで、月に広大な文明がありました、という脚本は、藤子先生の原作である以上は書けません。そうなった時、月の裏側に不思議な力を持っている人たちがいたら…と考えたことから、ルナというキャラクターが生まれたんですよ。あとは、やっぱり“かぐや姫伝説”も入れたかったので。

広瀬:私がアフレコしたのは、皆さんが声を入れられた後だったんですが、ドラえもんたちから「ルナ!」って呼ばれるだけで感激でした。連続ドラマもそうですが、すでに出来上がっているチームの中にゲストで入っていくのって、緊張するし、不安もあるんですよね。でも、今回はすごく楽しかったです。私の主観ですけど、声のお芝居から、チームの絆の強さみたいなものを感じたんです。でも同時に、新しい人を受け入れてくれる空気も感じて…。

辻村:ドラえもんの懐は深いですよね。一瞬で身内にしてくれる。

広瀬:私にとっても、子供の頃から身近にあった作品で、3人兄妹で映画もよく観ていたんです。思い返すと、小さい頃、家族とか友達の大切さを学んだのって、『ドラえもん』からなんですよね。最近は映画館に足を運ぶこともなくなっていましたが、大人になってあらためて観ると、子供の時とは違う捉え方でぐっとくる場面も多かったです。

辻村:藤子先生の作品を大人になって見返すと、深いところでわかる部分があったり、物語の構成の巧みさに今更ながらに気づいて驚かされることも多いんです。それって、先生が、子供に本物を与えようとしていたってことだと思うんです。しかも、ただ整合性をつけるだけでなく、そこを完全に理解できてなくても楽しめるようにできている。先生は、大人とか子供とか関係なく面白いものを目指したんだろうなって。

ドラえもん

『映画ドラえもん のび太の月面探査記』 月面探査機が捉えた白い影を月のウサギだと信じるのび太は、ドラえもんの道具で月の裏側にウサギの王国を作ることに。そんなある日、ルカと名乗る不思議な少年が転校してきて、一緒にウサギ王国に出かけるが…。原作/藤子・F・不二雄 監督/八鍬新之介 脚本/辻村深月 公開中。©Fujiko-Pro,Shogakukan,TV-Asahi,Shin-ei,and ADK2019

ドラえもん

辻村深月さんが書いた『小説「映画ドラえもん のび太の月面探査記」』も、また違う魅力にあふれている。映画を観る前に読んでも、観た後に読んでも楽しめる一冊。小学館 1800円

つじむら・みづき 2004年に『冷たい校舎の時は止まる』でメフィスト賞を受賞し、作家デビュー。’12年に『鍵のない夢を見る』で直木賞を受賞。今回の映画の同名小説も手がけ、2月に刊行された。

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ひろせ・ありす 1994年12月11日生まれ、静岡県出身。近作に、ドラマ『わろてんか』、映画『巫女っちゃけん。』、『銃』など。9月に三谷幸喜作演出舞台の出演が控える。

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※『anan』2019年3月13日号より。写真・小笠原真紀 スタイリスト・朝倉 豊(広瀬さん) 安藤麻衣子(辻村さん) ヘア&メイク・森ユキオ(広瀬さん) 藤島達郎(辻村さん) 取材、文・望月リサ

(by anan編集部)

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