役所広司 なんと15年ぶりの連ドラ主演を決めた理由は…

エンタメ
2017.10.11
ドラマ『陸王』で実に15年ぶりの連続ドラマ主演を果たす役所広司さん。ブランクを置いた理由、そして今回久々に出演を決めた理由とは。日本を代表する名優の胸の内を、少~しだけ覗かせていただきました。
役所広司1 (792×1024)

スタジオににこやかに入ってこられた役所広司さん。ページの概要を説明する編集者の言葉に丁寧に相槌を打ち、カメラマンとは軽口を交えて言葉を交わす。大俳優のスマートな軽やかさに、現場にいた誰もが一瞬にして虜にされた。そんな役所さんがドラマ『陸王』で演じているのは、その誠実な人柄ともの作りへの情熱で、ランニングシューズの開発に挑む老舗の足袋メーカーの4代目社長。なんと連続ドラマへの出演は、今作が15年ぶりになるという。

――今回、15年ぶりに連続ドラマに出演をお決めになったのは、どういった理由からなんでしょう。

役所:これ以上年とったら、連続ドラマは体力的にもうできないというのはありました。そして何より、この『陸王』という原作に非常に心を打たれたんですね。僕の(演じる宮沢が経営する)老舗の足袋メーカー「こはぜ屋」は、社員も古いしミシンも古い(笑)。もう僕自身もだいぶ古くなってますけれど、古いものが頑張るっていいじゃないですか。この題材がテレビドラマにとても向いていると思いましたし、僕が原作を読んで感じたようなことがドラマを観てくださる方々に伝われば、とてもいい作品になると思ったんです。

――連続ドラマから離れていたのは、テレビから少し距離を取りたかったからですか。それとも、映画に軸足を移したかったから、なんでしょうか。

役所:その両方ですね。といっても、テレビを避けていたわけではないんです。ただ、しばらく映画を中心にやっていこうと思って、気に入った企画をいただいたらスケジュールを確保するようにしていたんです。僕は基本的にふたつの仕事を同時にはできないんですよ。そうじゃないと集中して取り組めないんです。あとね、いい俳優さんって皆さん、忙しい方が多いじゃないですか。僕が綺麗にスケジュールを空けておけば、そういう方々とスケジュールが合わせられやすいこともあって、ご一緒できる機会が増えますよね。そうなってくると、慌ただしい連続ドラマのお仕事はなかなか引き受けられなくて、気づけば10何年が経っていたという。

――役所さんと共演できるなら、と、スケジュールを合わせてくださる俳優も多いと思うのですが…。

役所:いやいや、そんなことないです。

――では、久々に戻ってきた連続ドラマの現場はいかがでしょう。

役所:これだけの短い期間でこんなに撮るのかって思っています(笑)。撮っても撮っても撮り終わらないっていうイメージですよ。そういや15年前も、やっと覚えてセリフを吐いたと思ったら、またすぐ次のセリフを覚えなくちゃいけなくて大変だったな、と。

――映画との大きな違いというと、テレビドラマの場合は、撮影している間に視聴者の方の反響が返ってくるということもあります。

役所:僕は基本的にモニターを見ないので、映画の場合は出来上がるまで、どんな作品になっているかわからないんです。ただ、ドラマの場合は、放送を見て、そこから先を作っていくことになりますから、見なきゃいけないなと。

――モニターチェックをされないのには理由があるんでしょうか。

役所:元来、好きじゃないんです。見るのが怖いっていうか。見れば絶対、もう一回やりたいって思っちゃいますでしょう。それでもう一回やれば、どうしたって修正しようとします。でも、それが果たして正しい芝居なのかわからない。それなら監督に委ねた方がいいし、見ない方が諦めがつきますよね。

やくしょ・こうじ 1956年1月1日、長崎県生まれ。‘83年、NHK大河ドラマ『徳川家康』で織田信長を好演し、脚光を浴びる。その緻密でリアルな演技で注目され、‘97年の映画『うなぎ』は、カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞。‘12年には長年にわたる俳優活動が評価され、紫綬褒章を受章した。近作に映画『関ヶ原』『三度目の殺人』などがある。

役所さん主演の連続ドラマ『陸王』は、10月15日スタート。毎週日曜21時から放送。初回は2時間スペシャル。大ヒットしたドラマ『半沢直樹』のチームが再結集し、再び池井戸潤作品のドラマ化に挑む。資金繰りに悩む老舗足袋メーカーの4代目・宮沢紘一(役所)は、新規事業への参入を考え始める。彼が目をつけたのは、これまでの技術を生かしたランニングシューズの開発だった―。

スーツ¥270,000(ベルヴェスト) シャツ¥21,000(ボリエッロ) ネクタイ¥12,000(エレデ キャリーニ) チーフ¥6,000(ジエレ) 靴¥99,000(エンツォ ボナフェ)以上ビームス ハウス 丸の内 TEL:03・5220・8686

※『anan』2017年10月18日号より。写真・内田紘倫 スタイリスト・安野ともこ(コラソン)ヘア&メイク・森崎須磨子 インタビュー、文・望月リサ

(by anan編集部)

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