真心ブラザーズ「偶然の産物が名曲を呼ぶ、そんな感じ」

エンタメ
2017.09.18
真心ブラザーズの15thアルバム『FLOW ON THE CLOUD』。その制作背景、歌詞へこだわりなどについて、お二人に話を伺いました。

聴く人の人生がより良くなるように解釈してくれる歌を書きたくなった。

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「レコードのブツブツ」という曲からはじまる真心ブラザーズの新作アルバム『FLOW ON THE CLOUD』。アナログレコード世代には懐かしい響きだが、音楽DL世代には“ブツブツ? それって何?”かもしれない。

「かっこいいカフェって、音楽をレコードで流している店が多いんだけど、スタッフが忙しいからすぐにレコードを引っ繰り返せないので、ブツブツが聞けるんだよね(笑)」と話すYO-KINGご本人も、家で聴く音楽は、あえてアナログレコードだけになったとか。

「このアルバムは、制作前からYO-KINGが明確なテーマを持っていました。’67年のボブ・ディランのアルバム『ジョン・ウェズリー・ハーディング』とか’60年代のアルバムをいくつか聴かせてもらって、掴んでいった感じでした」(桜井)

『FLOW ON THE CLOUD』は、真心の二人がアナログレコードで聴き、いまも愛してやまない’60年代のR&Rがお手本だ。狙ったのはステレオ以前の’60年代にラジオから流れていたビートルズやボブ・ディランのモノラルサウンド。しかしレコーディングはデジタル、ミックスはモノラルという新手法で完成させた。ギターやスチールギターの生音に、切ないフレーズを奏でるハーモニカ。2017年の作品なのに、その音色ひとつからも、時空を超えた熱気が伝わってくる。

「わざと歌詞も1番だけとか、リズムもきちんと決めずにスタジオに入り、メンバーを煙に巻きながら、セッションで作っていったんです。偶然の産物が名曲を呼ぶ、そんな感じでしたね。まぁ性格的に詰められないというのもあるんだけど(笑)」(YO-KING)

「YO-KINGの持ってきたものに、楽器陣がどう応えるか、というセッションでしたね。これでどうだ、といういろんな大喜利を繰り広げながら、初日から面白いようにハマったよね。パッと聴いてパッと返してという応酬は、めちゃくちゃ疲れたけど楽しかったな。僕の楽器の腕も数段上がった気がする。でもポップ、ロック畑でこんなことやってる人はいないと思うけど(笑)」(桜井)

さらにはその歌詞にも、大いに惑わされる。例えば、恋人との別れのことなのか、人生への惜別なのか、答えがすぐに分からない歌詞世界がめくるめく妄想を呼ぶのだ。

「文学というと何ですけど、その匂いは残したかったんです。この10年ぐらい、歌詞ではストレートな物言いをしてきたけど、いまはイメージをたくさん作って、幾通りにも解釈できるような歌詞が好きなんです。僕もビートルズやボブ・ディランの歌詞を誤読しまくって解釈して快楽を得てきたので(笑)。誤読というより、どう解釈してくれるか、かな。それによって聴く人の人生がより良くなる歌詞を書きたくなってきたんだよね」(YO-KING)

アルバムは12曲入り。曲順はA面6曲、B面6曲を意識したそうで、アナログ盤もリリースされる。

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15th ALBUM『FLOW ON THE CLOUD』【初回限定盤CD+DVD】¥3,700 渡辺美里に提供した「鼓動」のセルフカバーを含む12曲入り。DVDには《マゴーソニック2017》よりライブ映像などを収録。【通常盤CD】¥3,200*共に税込み(Do Thing Recordings/徳間ジャパン)

まごころブラザーズ 右・桜井秀俊、左・YO-KING。デビュー25年目に自身のレーベル《Do Thing Recordings》を設立し、活動を続けている。10/8の横浜公演を皮切りに、全国18都市を回るツアー「FLOW ON THE CLOUD」がスタート。

※『anan』2017年9月20日号より。写真・内山めぐみ 文・北條尚子

(by anan編集部)


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