ズンズン見事にハマる…31歳女性が溺れた「いけないセックス」

文:三松真由美 — 2020.9.10
現在大量発生中のレスなひとびと、いわゆる「レスびと」の相談内容を、TVや雑誌など多くの媒体で活躍中の、恋人・夫婦仲相談所所長の三松真由美さんにうかがいます。セックスレス、恋愛レスと、レスにもいろいろある。今回は、セックスだけがいいヒモ男と交際中の31歳女性。挙句の果てに浮気現場まで目撃し、「このままでいいのか?」と目が覚めて…。三松先生のアドバイスは?

【レスなひとびと】vol. 88

順子(30歳)、ご自愛レス。この恋は間違いだとわかってるのにやってしまう。自分を愛することを覚えよう…。

セックス 

順子は今、ひたすら眠い。閉じそうになる目をこすりながら帰宅した。いつも通り、深夜の2時。

渋谷の編集プロダクション勤務。会社を飛び出たら、急いで六本木のキャバクラに出勤する。会社はかなりのブラック。残業代はしぶるわ、上司はパワハラ発言満開だわ、同僚で社内不倫してるのは4人いるわ。給与は安いわ。よって、こっそりアルバイトをしている。

マサトとは恵比寿駅近のカジュアルバルで出会った。

その日は仕事でミスをし、怒鳴られまくり。食欲もなく、落ち込んでいたので、カンパリ1杯で自分を見失う。そこでナンパしてきたマサトと、気づけばラブホテル。順子も、傷を癒やすためのワンナイトと割り切っていたのだが…。

手首をバスローブの紐でしばられ、お尻を強く叩かれた。四つん這いにされたまま、ズンズンズン、アンアンアン。人生はじめての経験に、過去最高の快感を体感。見事にハマった。ワンナイトラブで、極上のエッチを知るなんて…ワンナイトですむわけない。

以来、マサトは順子の部屋に住みつく。

マサトは天涯孤独で、働くと死んでしまうという難病にかかっていると言う。ホンマでっか? 騙されたままでもいい。それほどマサトのことを愛してる。愛を守るために、2人分の生活費を稼ぐべくWワークを始めたというわけだ。

そんなある日、いつものようにキャバクラへ出勤し、席に着いた途端に青ざめた。

「き、君は山田さんじゃないか」

見ると直属の上司の森崎! 順子の後輩嬢、巨乳のルナとぴったり身を寄せ合っているではないか。

「うちの会社は副業禁止のはず。明日どういうことか説明してもらおうか」

…オワッタ。

頭が真っ白になり、そのまま早退。

「聞いてよ、マサトーー」

仕事を失いそうな今、残るは愛しかない。マサトの待つ自宅のドアを開ける。

不穏な気配。

順子が初任給をはたいて買ったそこそこ高級なベッドの上で、知らない女が縄にしばられ、マサトとズンズンズン。

「え、順子!? なんで今日こんなに帰りがはや…」

言い終わる前に、ふたりにバッグを投げつける。

「出てけ! 警察呼ぶぞ」

怒るというよりも、あきれた。マサトにではなく自分にだ。

泣きながらシーツを洗う。ツケマがはがれて、頬に張り付きホラー映画みたいだ。2日間、KingGnuを流しながら泣き続けた順子。3日目の朝、憑き物がとれたようなスッキリした気持ちになっていた。

「わたし、バカじゃないの?」

自分の頬をピシャリと打つ。ブラック会社ってわかってて居続ける、マサトのこともろくな男じゃねえと気づいていても一緒にいる。いろんなことでバカと自覚した。

副業と無断欠勤で呼び出される前に、会社に辞表を出そう。一から仕事探しだ。これからは、自分を幸せにする人達と出会うしかない。

主体性のない自分、男に依存する自分にやっと気づいた朝だった。


【三松さんからのコメント】

順子さん、バカと気づいてほんとによかった。

順子さんのみならず、コロナ渦をきっかけに、強制的に立ち止まり、内省する時間を持った人は少なくないのではないでしょうか。自分は今いる職場にい続けていいのか。今の暮らしに心から満足できているか。今横にいるパートナーは今後も共に過ごしていける相手か、などなど。

サヨナラするときは執着したり、もったいなかったり、寂しかったりするものですが、サヨナラをした分だけ、新しいものが入ってくるのです。手放さなければ、受け取ることができないものがある。

今の時期に手放したくなった“もの”がある人は、その“もの”の本質をじっくり考えてみてください。仕事、彼氏、友達、今のライフスタイル…。気に入ってない食器や、家具、自転車、2年間着ていない洋服なども含め。

決別をおそれることなく、自分の本音を知る機会と前向きに捉えることこそ、己を愛すること。

もちろん、熟考した結果、残したいものもあると思います。一度考えてみたことで、愛着も増すでしょう。順子さんのように「なんでこうなるの?」という場面は、内容は違えども、誰にでもあることです。

あとで振り返ると、自分に無理を課しすぎてキャパオーバーしたときだったりする! なんかうまくいかないという状況に悶々としている人は、自分をいたわることを意識して。

「これでええんか? と感じたら、振り返る。捨ててみる。自分をいたわる。自分を愛せば世界が変わる」

三松 真由美 
恋人・夫婦仲相談所所長・コラムニスト。バブル期直後にHanakoママと呼ばれる主婦の大規模ネットワークを構築。その後主婦マーケティング会社を経営。主婦モニター4万名を抱え、マーケティング・商品開発・主婦向けサイト運営に携わる。現在は夫婦仲、恋仲に悩む未婚既婚女性会員1万3千名を集め、「ニッポンの夫婦仲・結婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察し、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。講演・テレビ出演多数。20代若者サークルも運営し、若い世代の恋とセックス観にも造詣が深い。コミック『「君とはもうできない」と言われまして』(kadokawa)好評発売中。


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