本当はハトなの? …飼い主が思わず笑ってしまう猫さまが発する喜びの声とは

取材、文・Manabu Matsunaga — 2024.3.10
フランス在住のカメラマン、松永学さんによる、フランスの猫さま紹介! 第216回目は サビ猫のイズマ(Yzma)さまの登場です。

ボンネットから救出された猫さまの物語

【フレンチ猫さま】vol.216
猫さまの話をもっと聞かせて!
イズマさまは生後5か月の女性猫さま。


サビ猫


<イズマさまが語ります>
私は飼い主たちと3人でパリ近郊の部屋が3つあるバルコニー付きのアパートメントに住んでいます。ロマーヌとデボラという名前の飼い主で、とても親切です。
サビ猫

朝は喉を鳴らしながら目を覚まします。電気が付くと、すぐに遊びを催促します。そして、お腹を空かせてボウルの前で食事を待ちます。飼い主が自宅で仕事をしているときは(週に2~3日程度)、一日中隣の机で寝て過ごします。夕方になると遊び心が込み上げます。夜寝る前、電気が消える時には恒例の抱擁が待っています。


サビ猫

私はまだ小さいので子猫用のカリカリ(穀物不使用)を朝と夕方に食べています。そして、1日おきにチキンかサーモンのパテを食べます。たまにおやつもいただきます。ヨーグルトや自家製ブロッコリーのピューレなどですが、特に鶏レバースティックが大好きです。家の中でいちばん好きな場所は浴室です。シャワーの後に水が滴るのを見るのがにわか雨のようで、魅了されています。


サビ猫

おもちゃは小さなボールがあります。転がりやすいのでとても気に入っていて、ひとりで遊んだり、家の中を走り回ったり、飼い主に投げてもらったりもします。飼い主たちからは犬のようだと言われています。


<飼い主から見たイズマさまとは>
私たちはこれまでに3匹の猫を飼っていました。近所の人から子猫のときに引き取られたロミオ、南フランスの休暇中に路上で見つかったジュリエット、路上から古いアパート近くの高校に連れてこられたチグリス。実は同居しているロマーヌは犬好きで、猫を飼うことには消極的でした。でも、今では無条件でイズマを愛しているので、気持ちが以前と比べて相当違っています。イズマが犬のように愛情深くて遊び好きだからです。イズマは三毛猫で、赤、黒、ベージュの毛皮をもっています。彼女の首の辺りには、黒と赤・ベージュの間に非常にはっきりとした直線の境界線があります。
サビ猫

イズマはパリの空港近くに捨てられた猫を保護する団体『Cats In The Air』に保護されました。生後6週間のときに車のボンネットの中にいるのをボランティアによって発見されました。彼女はひとりぼっちで、暖を取るためにエンジンの近くに避難していました。彼女が誰かに故意に捨てられたのか、それとも遠くをさまよって帰り道がわからず母親や兄弟とはぐれてしまったのかはよくわかりません。


サビ猫

そんな彼女は優しくて、かわいくて、愛情深くて、とても賢くて、好奇心旺盛で、遊び好きです。家中どこでも私たちを追いかけ、私たちが何をしているのかを常に知りたがっています。特技はハイタッチです。彼女は前足で私たちの手を叩きます。


サビ猫

彼女を迎えてまだ1か月ですが、すでに私たちの心の中に大きな場所を占めています。機嫌がいいとき、またはベッドに飛び乗るとき、彼女は幸せであることを示すために小さな喜びの声を出します。これはトリルと呼ばれます。この声がハトの鳴き声に似ているので、とても笑ってしまいます。


サビ猫

私たちはとても絆が強く、寝ること、食べることが好きで、多くのことに興味があり、とても愛情深く、遊ぶのが好きな点が共通しています。イズマは私たちを母親だと思って接してくれます。もちろん私たちはそんな彼女をとても愛しています。彼女は私たちの行動をすべて真似するので、私たちを模範だと考えていると思います。彼女はどこでも私たちを追いかけ、私たちが飲み終わったグラスから飲み、私たちが食事のためにテーブルに行くときは彼女も自分のボウルから食べ、食後は一緒にテレビを観ます。


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最も感動的なエピソードは彼女が私たちを信頼し始め、ゴロゴロと喉を鳴らし、寄り添い、腕の中で寝てくれるようになったときでした。もうひとつのとても素晴らしい瞬間は、彼女が私たちにボールを投げてもらおうとして持ってきたときです。私たちは、彼女が犬猫であり非常に賢いことを理解しました。


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イズマがいるだけで私たちは落ち着き、私たちの人生に多くの喜びと平穏をもたらします。イズマを見ていると、私たちは悩みを忘れて、すぐに癒され、楽しくなります。彼女は、いたずら好きで遊び心のあるキャラクターでとても面白いので、たくさんの笑いをもたらします。また、私たちにたくさんの愛と優しさをもたらすので、彼女が求める抱擁にはいつも応えています。私たちは彼女とできるだけ多くの時間を過ごし、別れの時が来たら遺灰を彼女が大切にしている場所に散骨し、一部をジュエリーに入れて自分たちのために保管したいと考えています。


ーーパリの空港近くにはたくさんの野生のウサギがいるので、もしかしたら小さなイズマさまは追いかけ回わされてひとりぼっちになったのかもしれません。もしくは、人目につかないところなので置き去りにされたのかもしれません。しかし、幸運にも救出され、今では溺愛してくれる飼い主たちのもとで楽しい毎日を送っています。舌を出している写真はとてもかわいいですね。 Instagram:@yzmathemiaou
著者情報松永学
猫さま好きフォトグラファー。雑誌、webなど多くの媒体で活躍。猫歴、実家に通っていた野良を含めると10匹以上、パリには2匹の猫さまを連れて移住、現在は保護猫3匹と暮らす。どこへ行っても通りで見かけた猫さまに挨拶は忘れません!