彼女と森でお散歩デートするんだ…体重コントロール中の犬さまの幸せな食事とは

取材、文・Manabu Matsunaga — 2023.2.26
フランス在住のカメラマン、松永学さんによる、フランスの猫さま紹介! 第111回目、ワンワンワンは番外編の番外犬、犬さまの登場。柴犬のマメ(Mamé)さまです。

犬生をエンジョイしている犬さまの物語

【フレンチ猫さま】vol.111
猫(犬)の話をもっと聞かせて! 
マメさまは4歳の男性犬さまです。


犬 柴犬 フランス


マメさまが語ります。

僕はパリ近郊の、お城が有名なシャンティイの隣町で3階建ての家に住んでいます。暖炉もあり、お庭が森に繋がっている素敵な家です。僕はハンガリー生まれ、パリ育ち。今は田舎へ引っ越し、ハッピーライフを満喫中です。


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朝は家の誰かが起きて下の階に来てから僕が起きます。家族はみんな上の階で寝ていますが、僕は階段をのぼることを禁止されています。ここの子どもたちが学校に行ってからようやく僕の散歩時間になります。嬉しくて嬉しくて家の裏の森を30分以上は走り回ります。
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飼い主が上の階のアトリエで仕事中(アーティストですが、イラストを書いたりケーキデザインしたり漫画の編集をしたりする多才な女性です)は、1階で家族の匂いのするソファーでお昼寝をしていることが多いです。自分のお布団がありますが、そこにはほとんどいません。休憩で下におりてきた飼い主は、思いっきり僕を撫でたり、テニスボール、それから噛むとピューピュー音の鳴るおもちゃで遊んでくれます。飼い主は僕を退屈させるとかわいそうと思い、何度かアトリエに連れて行きましたが、不安で落ち着かず、結局僕はずっと下の階にいるのです。
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午後になるとまた森を散歩します。体重コントロールをしているために僕の食事は夜に1回だけなのですが、家族が鳥の丸焼きを食べる時は僕にもおこぼれがやって来ます。その日が一番幸せなディナーでしょうか。


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寝る前にもう一度軽い散歩に行きます。子どもたちの学校のお迎えにも時々一緒に行きますが、人混みや車が多いのがとても苦手で、あまり好きではないです。
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僕の彼女が隣街にいるので(名前はリリーといいます)、時々一緒に森をデートをしますよ。この季節の森は激寒ですが、彼女と一緒にいると体も心もぽかぽかになるのです。
飼い主から見たマメさまは?

夫の仕事の関係でパリを離れなければならなくなった時、「柴犬を家族の一員に迎えられるなら田舎に行ってもいい」と冗談を言っていたのです。数日後、彼から新しい家族です、と赤ちゃん柴犬の写真が送られて来ました。この一撃で私はこれからの生活が変化するであろう未来を、マメと共に生きていくことを決めたのでした。


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大和魂とは程遠い犬で、チキン! とっても怖がりなんです。ビニールのカサカサという音でびっくりして吠えます。でも慣れると足の間に挟まってきたり、気づかれないように体をくっつけてきたり、本当にとっても可愛い性格です。
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お手もお菓子をあげないとしたくない、伏せもできない…けれども、私を24時間メロメロにしてくれます! 人生で初めて犬を飼ったのですが、本当に家族だと感じます。居てくれるだけで、温かい気持ちで包んでくれる愛の存在です。チャームポイントは白いまつげのついたキラキラお目々ですね。見つめられると溶けてしまいます。私は子どもの頃に干された毛布の間に挟まって太陽の匂いをかぐのが好きだったのですが、なんと、マメからその匂いがするのです! そんなことも含めて、マメは私を癒やしてくれる毎日の心の栄養剤なのです。
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去勢手術をしてからは、体重が増えないよう獣医推奨のドッグフードをあげてます。一度食物アレルギーからひどい中耳炎になってしまったので、獣医推奨のビスケットやシンプルな鶏肉を乾燥させたものをあげるようにしています。マメは私のことは友達以上恋人未満的なご飯係と思っているようですが…。
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2021年の冬に珍しく雪が積もり、初めての雪に興奮! 嬉しすぎてマメがたくさんジャンプしていたのが忘れられません。急にハイテンションになるところと飼い主の言うことを聞かないところは私にそっくりです(笑)
――犬を飼うなら田舎に引っ越してもいいと条件付きで新しい世界に飛び込んでいった飼い主の勇気は、マメさまのお陰ですね。パリ市内よりずっと季節の変化を感じられる森の近くは、マメさまにとっても幸せに違いありません。過去に森の中で迷子になって豪雨の中24時間行方不明になったときは、くたくたボロボロになって戻ってきたそうですが、飼い主からのたくさんの愛情とケアでマメさまが体験した恐怖を克服していったのです。もう迷子にならないでください! そしてまだまだ寒い季節が続きますが、今日も森散歩を楽しんでくださいね。

取材、文・松永学