初対面で号泣しました…飼い主の心を掴んだ子犬時代の様子とは

取材、文・Manabu Matsunaga — 2023.9.23
フランス在住のカメラマン、松永学さんによる、フランスの猫さま番外編! 第171回目は犬さまの登場、フレンチブルドッグのマロ(Maro)さま。

パーティが大好きな犬さまの物語

【フレンチ猫さま】vol.171番外編 
猫(犬)さまの話をもっと聞かせて! 
マロさまは2023年の8月に3歳になった女性犬さま。


微笑むフレンチブルドッグ


<マロさまが語ります>
私はセーヌ川の中州に浮かぶ自由の女神像の目の前のタワーマンションに住んでいます。パリでは珍しい高層マンションからは、郊外にあるSaint-Germainまで見渡せます。
フレンチブルドッグと自由の女神

ママとふたり暮らしなので、毎日ママの起床時間に合わせて起きます。毎朝ベッドを出る前に「おはよう、今日も大好きだよ」と抱きしめ合ってから朝ごはんを食べます。食べ終わると、コーヒーを飲んでいるママにお気に入りのおもちゃを持って行き、少し遊んでもらってから洗面所でお手洗いと身支度を整えます。ママが自宅でお仕事をする時は、ソファやママの足元でじっと遊んでもらえるのを待ちます。ママが朝からお出かけの準備をする時は「行かないで」を伝えようとママの足先に乗ってボイコットをします。ママがいようといまいとその後はしばらくお昼寝タイムなのですが。
毛布にくるまるフレンチブルドッグ

お散歩はお天気を見計らって夕方に行きます。家の前はセーヌ沿いのお散歩道がいくつかあって、その日の気分でルートを変えます。四季の花々の香りや蝶々を確認してパトロールしたあとは、そのまま川沿いにあるママのお気に入りのカフェで休憩をしてお家に帰ります。手足を洗ってもらった後は夜ご飯まで休憩して、ママが「寝ようか」というまでひたすら待つ毎日です。
お腹を出して寝るフレンチブルドッグ

ママはお友だちとお家でパーティーをすることが大好きなので、夜にはたくさんのお友だちに遊んでもらうのも楽しみのひとつです。私に会うために来てくれるお友だちもいるほど、みんなに愛されて幸せな日々です。
ケーキを覗き込むフレンチブルドッグ

2歳になる前に避妊手術をした後は、肥満防止のためのカリカリを朝晩の2回食べます。たくさん運動した時はおやつが少し多めだったり、カリカリが少し多めだったりします。お留守番の時間が長い日や、悪天候が続いてなかなかお散歩に行けない日などはたまに『ちゅ~る』かけご飯が出てきます。待ちきれずに先によだれが出てしまうこともしばしばです。
お誕生日には毎年ママの手作りケーキを食べます。大好物の水切りヨーグルトと果物のショートケーキです。袋についたクリームも綺麗になくなるまで平らげます!
飼い主とキスをするフレンチブルドッグ

夏はママの隣、冬はママの脚の間に挟まるのが大好きです。日中はソファの上ですが、夜に寝室の扉が開いたらママより先にベッドに飛び乗ります。
ママのお友だちからもらったたくさんのぬいぐるみを投げてもらったり、引っ張り合いっこをするのが大好きです。ぬいぐるみ達は何度も怪我をして、そのたびにママが手術をして直します。


<飼い主から見たマロさまとは>
実家には私が生まれた時から犬がいました。実家で最後の犬は亡くなった祖父から預かった雑種犬、ジョニー。私の青春時代、特に落ち込んだ時にはいつも家の前の海へのお散歩に付き合ってくれました。19歳で大往生をした際、細い息で横たわるジョニーを撫でながらたくさんの思い出に涙が止まらなかったのを覚えています。
フレンチブルドッグ

ずっとフレンチブルドッグを飼いたかったのですが、ひとり暮らしで出歩くのが好きな私が犬の生命に責任を持つ、という決意がなかなかできませんでした。しかし、コロナ外出禁止令の間、長期間孤独を味わったことで決意。最初に出会ったのがマロでした。いつも側で私を癒し、強くしてくれる存在はありません。マロが私を幸せにしてくれるように、私もマロがいつまでも幸せに暮らせるように頑張りたいと思わせてくれる存在です。
マロがやってきたのは2020年10月末、コロナの外出禁止令が緩和されたタイミングで南仏Nîmeのブリーダーを訪問し出会いました。動物と飼い主のことをとても想ってくださる優しい女性ブリーダーさんで、命を預かる飼い主の覚悟を確認した上で犬舎からマロを連れてきてくださいました。「はい、今日はマロが初めて犬舎の外に出た日で、あなたが初めてマロを抱っこした人よ」そう言ってもらい、私の胸にしがみつきながら震える小さなマロに出会い、自分が産んだかと勘違いするほど可愛さに感動して大泣きしてしまいました。


フレンチブルドッグ

マロは肝っ玉かあさんとお茶目なお父さんの間に生まれて、お母さんの綺麗な毛色とお父さんの可愛い麻呂眉を受け継いでいます。表情も、怒った時はお母さん、お出かけを待つ間はお父さんにそっくりです。こういうことが知れたという意味でも、ブリーダーさんを訪ねてよかったと思っています。マロは噛む力が強くすぐに飲み込んでしまうので、大型犬用の固い歯磨きガムやお肉のジャーキーを食べることが多いです。フレンチブルドッグらしく、食いしん坊で人懐こくて遊ぶのが大好き。私が構ってくれない時は魅惑のお腹を出して早く撫でてとせがみます。片時も私と離れたくないようで、たまに入浴中にお風呂に飛び込んでしまうこともあります。
フレンチブルドッグ

何と言っても豪快ないびき! 人間のおじさんのような大きないびきをかいて眠ります。あとは小さなビニールボールでのヘディング。ボールを投げてもらって鼻先でヘディングして私に戻します。最高記録は50回! 豊かでコミカルな表情で可愛がられる術をよく知っている賢い子です。片方ずつ動く眉、プリプリのお尻、うさぎさんのように大きな耳。お友達と遊ぶのが大好きなところと寝るのが大好きなんです。
フレンチブルドッグ

生みの母と兄弟から引き離されて、コロナが明けるまでは私しか知らない子だったためか依存度がかなり高い子になってしまったと思います。毎年バカンスには近所の犬友だち家族とビーチ沿いの庭付きの家に滞在しています。普段アパートで暮らしているので、大きなお庭や砂浜を力いっぱい走り回っているマロを見ながらアペロをする時が至福です。いつか広いお庭のあるお家に住めることができたら、マロに兄弟を迎えてあげたいのですが残念ながらいつ実現するかはわかりません。
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私とマロのお誕生日は3日違い。2022年はふたり合わせて50歳のお誕生日キャンプを2泊3日で開催し、たくさんのお友だちが集まってお祝いしてくれました。次は元気にふたり合わせて還暦祝いをしたいです!
ーーマロさまにお会いしたのはこの夏休み前でした。散歩道のお気に入りカフェではとても良い子にしていました。これからヴァカンスで、ノルマンディの庭付きの家を借りて友だちと一緒に過ごす夏休みが待ち遠しいと飼い主もマロさまも目を輝かせていました。きっと良い思い出がたくさんできたことと思いますね。
著者情報

松永学
猫さま好きフォトグラファー。雑誌、webなど多くの媒体で活躍。猫歴、実家に通っていた野良を含めると10匹以上、パリには2匹の猫さまを連れて移住、現在は保護猫3匹と暮らす。どこへ行っても通りで見かけた猫さまに挨拶は忘れません!