小柄だけど隠れマッチョだよ…引っ越しが多い犬さまの驚くべき健脚ぶりとは

取材、文・Manabu Matsunaga — 2023.7.9
フランス在住のカメラマン、松永学さんによる、フランスの猫さま紹介! 第151回目は番外編=番外犬。マルチーズのミルゥ(Milou)さまの登場です。

長距離移動が得意な犬さまの物語

【フレンチ猫(犬)さま】vol.151
猫(犬)さまの話をもっと聞かせて! 
ミルゥさまは8歳の男性犬さま。


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ミルゥさまが語ります。

半年前にパリの小さなアパルトマンから引っ越して、現在は北フランス(パ・ド・カレー)の港町にある一軒家に住んでいます。坂の上に建っていて、街を見渡せる庭があり、朝晩そこを駆け回っています。


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平均的な1日を紹介します。朝、2階の寝室から飼い主が起きる気配を感じて、自分の寝床から毛布をひきずりながら階段下までお迎えにいきます。その後、庭で朝一番の運動をして(ピピ&カカ)、ごはん、飼い主の相方のお見送りです。午前中、家事をしたり身じたくをして、飼い主のあとをひたすらストーカーします。トイレもシャワーもついていきます。
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週2回くらい、飼い主が港の魚市場へ買い物に行くのにお散歩がてら同伴します。飼い主が料理をしたりパソコンをしている間は、サロンのソファの上から庭を眺めたりパトロールをします。天敵である隣の家のネコが来たら一目散に吠えて威嚇します。といいつつ大体寝てますが…。夕方、美しい日の入りを眺めながらお庭タイムです。飼い主の相方が帰宅後のアペロタイムは、飼い主の膝の上に乗っかって一緒にお疲れさまの乾杯をします。たまに大好きなマッサージもしてもらえて、至福のときです。夜、イヤイヤ歯磨きをがんばって、終わったらサロン一角の専用寝床にて就寝です。
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普段のメインは『Ultra Premium Direct』で、にんじんやブロッコリーの端や鰹節をたまにトッピング、これは嬉しくて喜んで食いつきます。毎年、誕生日には、料理が得意な飼い主が僕の好物を取り入れてごはんを作ります。ちなみに去年はブロッコリー、鶏肉、グリンピース、ゆでたまごで、ヒトのごはんよりも豪華な一皿でした。あっという間に食べてしまいまでした。今年は港町で迎える初めての誕生日なので、魚メインにしようかなと飼い主は言っています。また楽しみが増えました。最近のお気に入りは犬用ちゅ~るや、飼い主が気まぐれで作るお手製クッキー(にんじん入り)です。
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飼い主が編み物をする時は膝の上にいて、毛糸にまみれるのも好きです。小さい頃、ぬいぐるみ系のおもちゃはすぐに食いちぎって綿を出していましたが、成年以降はおもちゃにあまり興味を示しません。しいていえば、飼い主の身につけていたものを見つけるとその上に乗っかります。においで安心できるのです。
特技は、忍法隠れ蓑の術(=キャリーバッグに入ってまったく気配を消すこと)。また、何を着せられてもばっちりカメラ目線ができます。感情豊かで、それを表情や仕草で表現するが得意で、乗り物にめっぽう強いです。生後半年もしないうちに飛行機やらフェリーやらに乗っていたせいか、日本行きの機内でも飼い主の足元で15時間無言でおとなしくしていたので、どこへでも連れて行ってもらえます。また、健脚で10kmは楽勝、下手したら20kmくらいは歩けるかもしれない隠れ筋肉系です。
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定位置でもある飼い主の膝の上で、大好きなマッサージが一番好きな時間です。
飼い主から見たミルゥさまは?

私は料理と編み物と犬を愛してやまない主婦です。実家は犬好き家族で、はじめての犬はメスのダックスフント。現在は2代目で、同じくメスのダックスフントを飼っています。
私自身がイヌを飼うのはミルゥが初めてで、私の30代は彼とともにあるという感じです。私が日本の会社に勤め、パリ駐在をしていた2015年、同じく駐在をしていた友人が犬を飼い始めた影響もあり、白くて小さな犬の相棒が欲しくなりました。ブリーダー専門サイトとにらめっこをし、ロワール地域のブリーダーさんのサイトでこの子に出会いました。Milou(ミルゥ)という名前は、漫画『タンタンの大冒険』の白犬「Milou」からとりました。勇敢で賢くてユニークで、私の感情を察して行動してくれる飼い主思いの優しい男の子です。タンタンの相棒Milouのように頼もしい相棒になってほしいと願っていたら本当にそうなってくれました。彼は人生の(4本足の)相棒です。一応2本足の相棒もいるので(笑)。


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私はここ10年で割とめまぐるしく人生が変わりました。それに伴い引っ越しが多く、必然的にミルゥもロワール→パリ1→パリ2→東京→実家(松本)→パリ→北フランスと、7歳にして引っ越しの多い犬生を送っています。ミルゥは生活の変化に対しても体調など滅多に崩さず、いつも私のそばに寄り添ってポンコツ飼い主を心身ともに支えてくれています。たぶんこれからも頻繁に移動する犬生になると思いますが、この子がいれば一緒に乗り越えられるかなと思います。
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彼の魅力はすべてです。しいてあげるとしたら、お留守番後に一目散に飛んできて前足で飛びついてくる一連の「おかえりの儀式」でしょうか。犬バカながら、目と鼻3点の美トライアングルのおかげ? もあって、上目遣いもたまらずかわいいです。ミルゥは飼い主同様、食にこだわるところと辛党なところが似ています(絶対に拾い食いをしない、肉・魚・野菜が大好きで甘い果物などは食べません)。
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楽しかったエピソードも数えきれぐらいにあります。フランス各地、ベルギー、イタリアの島、カナダ、日本などいろいろな場所に旅をしました。特に楽しかったのがマルチーズの故郷、マルタ島へ夏休みにふたり旅をしたこと。一緒に世界遺産の街並みを探検したり、ボートにのって洞窟をまわったり、真っ青な海を満喫して、リアル「タンタンの大冒険」のような旅でした。ちなみにマルチーズは1匹も見かけませんでしたが。
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生活には日々の些細な喜びやふとした笑いだけでなく、彼にこんなものを作ってあげたい! といった私のクリエイティビティの源泉のようなものを与えてくれます。これからもいろんな場所を一緒に旅して、冒険して、楽しい思い出をいっぱい作っていきたいと思っています。私がちゃんとしないと! という責任感のようなものや、この子には私がいないとダメだ! という自身の存在意義のようなものを与えてくれます。
ーー名前負けしないミルゥさまは本当の冒険家! 引っ越し、移動、なんでも来い! 行く先々で楽しいことを見つけるが得意なんです。これからの大冒険の報告もお待ちします。
著者情報

松永学
猫さま好きフォトグラファー。雑誌、webなど多くの媒体で活躍。猫歴、実家に通っていた野良を含めると10匹以上、パリには2匹の猫さまを連れて移住、現在は保護猫3匹と暮らす。どこへ行っても通りで見かけた猫さまに挨拶は忘れません!