私は愛されキャラの末っ子よ…犬さまが完全に安心した時の合図とは

取材、文・Manabu Matsunaga — 2023.4.1
フランス在住のカメラマン、松永学さんによる、フランスの猫さま紹介! 第121回目、ワンツーワンは番外編=番外犬、フレンチブルのボニー(Bonnie)さまの登場です。

末っ子を満喫している犬さまの物語

【フレンチ猫(犬)さま】vol.121
猫(犬)さまの話をもっと聞かせて! 
ボニーさまは4歳の女性犬さま。


フランス 犬 フレンチブル


飼い主のショーンが語ります。

僕は生まれた時からナナという名前の女性のフレンチブルと一緒でした。ナナは僕のことを可愛いがってくれたけど、ちょっと義理的なところもあって、自分の弟と思っていたようです。ナナが亡くなった時は「僕が小さかったからナナはいつもお姉ちゃんで、ナナを甘えさせたりできなくてごめんなさい」と、パパと一緒に大泣きしました。
パパはボニーがやって来た時も「ナナの匂いがしない」と泣きました。それだけナナは家族から愛されていたのです。


フランス 犬 フレンチブル

でもボニーは僕の犬でもあり、妹です。ボニーは、自分が家族の末っ子で、誰からも愛されるキャラだと思っているに違いありません。ちょっと僕似で、悪さをしたときは甘えた顔をして隠れたり、嬉しいときは体全体で表現して、お尻を振ったりします。ママは、怒られたときにションボリしている顔がそっくりと言います。生後2か月で我が家に来たので、自分を人間だと思っているのかもしれません。僕たちを本当に家族だと思っているようです。
フランス 犬 フレンチブル

みんなと一緒に7時頃朝ごはんを食べて、僕が小学生の頃は毎朝学校までついて来てくれました。今は中学生になったので一人で登校するので、ボニーはベランダから見守ってくれます。昼間は学校に行き、お世話はパパとママに任せっきりなんですが、学校から戻ると僕と仲良しモードの時間帯です。家にいるときはほぼ僕の股の間にすっぽり入って寝ています。ボニーはちょっと猫みたいな犬なんですよ。
飼い主ママから見たボニーさまは?
私は生まれた時から犬と猫がいました。雑種から紀州犬、ハスキー犬などでした。先代のフレンチブルドッグのナナが14歳で亡くなり、1年は喪に服そうと思っていましたが、2020年はコロナの流行でフランスはロックダウンとなり、本当に大変な時期になりました。家族全員(特に夫)がペットロスで、家の中がどんよりしてしまいました。そのような経緯から、喪に服すよりも新しい子を迎えて家族を復活させなければと思い、ブリーダーさんを探してボニーと出会いました。ノルマンディ生まれのおチビでした。
フランス 犬 フレンチブル

一緒に寝ているので、朝は私たちと6時半くらいに起きます。朝起きてすぐ、私に抱っこされてトイレに向かいます。家の中ではおしっこはしないルールです。朝は寝ぼけているので、抱っこして散歩に向かい、それから朝食です。ショーンを送り出してから、その後は2度寝(私たちのベットにて)。11時にパパと近所をお散歩して、お昼にカリカリのおやつを食べます。15時に午後のお散歩に行き、20時に最後のトイレに出かけて、シャワーでお口とお尻、足を洗って、ベッドに行きます。ほぼ毎日私たちの誰かと一緒にいる幸せ者です。
フランス 犬 フレンチブル

アレルギーがあるので、色々試して今は『wold Hills』のグルテンフリーのパテ状のものとカリカリを混ぜて食べています。先代犬と違って好き嫌いもたくさんあり、味もすぐに飽きて食べなくなる食が細い子なので、飽きないようにいろんな味をかわるがわる食べさせています。バカンスでは特にエビやお魚を喜んで食べます。おやつはアレルギー用のクッキーをあげています。
フランス 犬 フレンチブル

性格は至ってマイペース。一人で空を眺めていたり、ぬいぐるみと遊んでいます。でも甘えたいときは足元に来て「抱っこして」と主張をします。特技はパリの歩道にある草むらでネズミを探すこと。ボニーのネズミのスポットがあり、散歩ではネズミスポットを回ってパトロールしています。
ボニーが甘えたくて抱っこされた時に、全身から力が抜けて「ふーっ」と息を吐きます。まさに安心しているのがわかるので、本当に愛しいです。私のことは、何をしても120パーセントで愛情を返してくれる人と思っているようです。
フランス 犬 フレンチブル

臆病でリードを外せなかったのですが、去年の夏のバカンスの海で少しずつリードを外す練習をしました。誰もいない朝の海でリードを外して、得意げに後ろを振り返りながら散歩をしたり、海に入ったりするボニーを見て、こちらも嬉しかったです。犬にも個性があるので、他の犬とはくらべずにいます。街よりも田舎やバカンスが大好きなボニーなので、バカンス中は毎日楽しいようです。「ママ、楽しいねー」と毎日言われる場面があります。そんなボニーは他の犬が苦手。怖いようです。散歩でも、犬よりもその飼い主に興味があります。言葉は話せないですが、誰よりも敏感にみんなのことを見ていてくれる。だからこそ私たちも全力で可愛がっています。
フランス 犬 フレンチブル

先代のナナは、私が不在の時に発作で亡くなってしまいました。ずっと介護していて、体調が落ち着いているなと思っていたのですが、私は彼女の変化に気づいてあげられませんでした。だからとても後悔しています。もしボニーが虹の橋を渡る時がくるとするならば、今度は私の腕の中でその時を迎えたいと思っています。犬の介護は大変ですが、神々しさと愛しさが日に日に増していきます。切なく悲しい時間なのに、その反面愛しさが溢れるんです。犬の人生は短いですから、私たちはボニーを家族として迎えた日からずっと「この家に来てよかった」と思ってもらえるように愛情を与え続けています。
――最愛のナナさまを失った悲しさを救ったボニーさま。ナナさまとはまた違うキャラクターで、すんなりと家族の生活を始めて、家族は活気を取り戻しました。飼い主がいい言葉をくれました。
「先代のナナは我が家の太陽」「ボニーは我が家の台風の目」
人生はいろんなこともあるけど犬さまと一緒だとなんでも乗り切れそうな感じがします。

取材、文・松永学