皆が僕を見て驚きます…猫さまが「芸術的」と言われる理由とは
取材、文・Manabu Matsunaga — 2022.12.18
フランス在住のカメラマン、松永学さんによる、フランスの猫さま紹介! 第89回目は、ローリー(Rory)さま。
お目目がまあるい猫さまの物語
【フレンチ猫さま】vol.89
猫さまの話をもっと聞かせて!
ローリーさまは、もうすぐ3歳になる男性猫さまです。
僕は、ワインで有名なボルドーで、大きなテラスが2つあるメゾンで暮らしています。朝は飼い主を起こして、それからテラスに出て、鳥を追いかけながら日光浴をします。そして、飼い主が家で仕事や勉強をしている間は静かに眠ります。
起き出すと、基本的にどこでも飼い主につきまとい、1日中彼女を追いかけます。夜は飼い主と一緒に食事をし、少し遊んでから眠りにつきます。
獣医の診断では、少しスリムになったほうがいいそうです。心臓に問題を抱えていて、太りやすい体質らしいのです。食事は、蒸しズッキーニのみじん切りと缶詰を合わせたものが中心ですが、満足しています。
太陽が大好きなので、テラスのソファで寛ぐのは最高の時間です。見晴らしがよく、家の中を見渡せる場所です。
料理をしている飼い主を見ることができるキッチンテーブルもお気に入りです。僕専用の昼寝をすることもできるバランスの悪い吊り橋も大好きです。得意なことは、人とのコミュニケーション。よく喋り、何百万もの異なる声のトーンを使い分け、何を望んでいるのかを伝えることができます。俳優のようだとも言われています。
本物のようなネズミのおもちゃで遊ぶことがよくあります。 多分、このことが僕が「芸術的」と言われる理由です。たくさんのおもちゃのネズミを持っていて、飼い主の寝室の前に並べておきます。ボールだけでなく、小さな枝、ゴミ…、投げてもらえる全てのものをキャッチして飼い主のところまで持って行くのです。
飼い主から見たローリーさまとは?
2回目のロックダウンの後、私は猫を飼う決心がつきました。まずはSPA(動物保護協会)に電話しましたが、その時点では引き取れる猫はいませんでした。それで、私は地元のブリーダーを訪ね、5匹の子猫と出会いました。ローリーは、私の周りを観察して、不思議そうにしていました。彼が私の猫になることは最初からわかっていました。すでに恋に落ちていたのです。
私が最初にブリーダーを訪ねた時、ローリーは彼の兄弟とは違い、芸術的だと思いました。奇妙に聞こえますが、今はその理由がわかります。彼は非常に表現力が豊かで、多くの意見や要求を伝えられます。猫を飼っている私の友達は皆、人生でこのような猫を見たことがないと言っています。
また、ローリーはとても勇敢な猫です。彼は室内猫です。とても高い場所にジャンプしたり、鳥を捕まえたりすることはできないと思いますが、自分自身の能力を信じていると思います。ブルターニュで森の中を歩いていた時、私たちの前に大きな犬が来ました。しかし、彼は決してうろたえることはなく、できる限りの怒った顔をして、犬に近づきました。私はびっくりしました。こういった場合、ほとんどの猫は恐れることが多いのですが、ローリーは犬や他の猫に会った時に後ずさりするのを見たことがありません。彼は人間に少し依存していますが、同時に独立しています。
――怖いもの知らずのローリーさまは表情が豊かです。普段はまあるいお目目ですが、怒った顔もたくましくて愛らしいです。
取材、文・松永学