岩手で出会って…海を渡った猫さまの愛溢れる現在地

取材・文 Manabu Matsunaga — 2022.2.26
フランス在住のカメラマン、松永学さんによる、フランスの猫さま紹介! 第6回目は岩手からフランスへと渡った元保護猫のさざゑさま。

岩手生まれのツンデレ猫さま登場!


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【フレンチ猫さま】vol. 6

猫の話をもっと聞かせて! 今回は海を渡ってフランスにたどり着いた猫さま。

岩手の釜石市の猫カフェ兼保護猫施設「アンドゥ」で2019年に生まれたさざゑさまは女性で今年3歳です。最近パリから引っ越して歴史的な街ルーアンで新しい猫さま人生をはじめました。

飼い主は2011年の東日本大震災の後から岩手に通いはじめました。郷土芸能の岳神楽にハマり、岩手の伝統舞踏を世界に知ってもらうために活動をしていたところ、2019年の9月に私と出会いました。その頃私は病弱でか細く、キャットツリーの上に寂しげに座って、来る人々を観察していました。一時は肺炎をこじらせたりして危なかったようです。


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飼い主は一時はフランスに戻ってしまいましたが私のことが忘れられないらしく、引き取る連絡やら輸出手続を始めて1か月後に私はパリに到着しました。私が生まれて7か月目だったそうです。新しい人生を迎えるので、呼び名を変えて「さざゑ」と初めての名前がつきました。


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毎日のご飯はやっぱり日本のカリカリが美味しいと思います。あと海の近くで生まれたため焼魚は大好物なので、特別な日にいただいています。


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私は猫カフェの店員だったので、パリで家に来る知らない人でもおもてなしの心を忘れずに優しく対応します。時たまツンデレで、猫らしい猫との評判です。


ガレット

今はルーアンに引っ越しましたが家は広くなったし、あちこちに窓があるのでニャルソック業で忙しい毎日に張り合いがあります。


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猫にはさほど問題ではなかったのですが、飼い主としては、新型コロナによる度重なる外出禁止やテレワーク推進にシフトしたことが、四半世紀も暮らしたパリを離れるきっかけとなって、パリにも電車で通える距離でこじんまりとしながらも生活面で不便のない、歴史的建造物でいっぱいのルーアンの町を選んだらしいです。パリに来られたのも幸せだったけど、また新しい場所の生活も楽しいです。


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また次もどこかに行くのかな、その時は海の見える港町がいいなと思っています。

ーー新型コロナが人々の生活様式を変えるようになりました。都会から離れて自分の時間を有効に使いたいと、テレワーク方式で職場から離れても仕事ができる環境作りがパリの人々の優先事項になってきた昨今です。

さざゑさまのように3年間の猫人生の間、引っ越し、移動といろいろな体験をしても、その場で適応できるのが猫さまの特技なんだと思います。港生まれのさざゑさまはやっぱり海が恋しくなるのでしょうか?