20~30代で更年期のような症状が。“若年性更年期障害”って何?

生活習慣やストレスが、知らず知らずのうちに様々な箇所に不調を引き起こしている!? そこで最近、若い世代で増加傾向にある症状として注目を集める「若年性更年期障害」にフォーカス。それぞれの主な原因から対策TIPSまで指南!

Index

    若年性更年期障害とは?

    一般的に閉経前後の時期の40~50代に起こるのが更年期障害だが、20~30代の若年層にも更年期障害に似た症状が現れること。生理不順など女性特有の悩みから、倦怠感やイライラ、冷え、不眠といった心身の不調まで、人によって現れる症状は様々。

    慢性的に疲れやすく、生理前でもないのにイライラしたり、月経不順だったり。原因はわからないけれど、なんとなく不調を感じている働き世代の女性が続出! 更年期のような症状が現れている人、まだ若いからと侮るなかれ!

    CHECK!

    □ 朝起きてすぐに疲れを感じる
    □ イライラや気分の落ち込みが続く
    □ 気力が出ない
    □ 疲れやすい
    □ 体がいつも冷えている
    □ むくみやすい
    □ 月経不順である
    □ すぐに眠くなる
    □ 肩こりや疲労感が取れない
    □ 頭痛・めまい・吐き気がよくある

    → 3つ以上当てはまったら隠れ若年性更年期障害かも!?

    ストレスなどによる、自律神経の乱れが要因

    「“若年性更年期障害”は医学用語ではなく、若年層の間で起こる更年期のような不調を指す俗称です。性成熟期(10代の終わりから40代前半)にある女性の中で、特に20~30代の方々に、更年期のような不調を感じている人が多いことから、この言葉が世間一般に広まっていったように感じています」

    と、産婦人科専門医の高尾美穂さん。だが、若年性更年期障害と更年期障害には、明確に大きな違いがあるそう。

    「それは卵巣機能が維持されているかどうか。更年期障害は、加齢とともに卵巣機能が徐々に低下し、それに伴い女性ホルモンの『エストロゲン』の分泌が少なくなっていくことで心身に様々な不調が起こるもの。

    一方で、若年性更年期障害は、卵巣機能は正常に働いている場合が多く、心身の不調が出たとしても、早発閉経などの婦人科系の疾患とは関係ありません」

    卵巣機能が保たれているのに、心身の不調や月経不順のような症状が出るのはなぜ?

    「それは、自律神経の乱れが主な要因です。睡眠・運動不足や過度なダイエット、精神的ストレスなどにより、日々の活動のリズムが乱れると、自律神経の中枢である脳の『視床下部』に、過度な負担がかかります。この視床下部は、体温調整、血圧、心拍、食べる・飲む、性行動、睡眠など、生体のリズムから怒りや不安などの情動行動までを調整しているため、ここが疲弊すると体のあちこちに不調を招きます。卵巣機能が保たれているとはいえ、視床下部から卵巣への命令伝達がうまくいかず、一時的に月経不順になることもあります」

    PMS(月経前症候群)と若年性更年期障害との不調は似ているが、前者は月経の前のみで、後者は月経周期にかかわらず起こるという違いが。

    「若年性更年期障害は、ストレスや生活習慣による自律神経の乱れが主な要因。だから生活を見直し、心理的ストレスを軽減できれば、自律神経のバランスが整い、心身の不調も改善すると思います」

    こんな生活習慣にご用心!

    ストレス過多である

    ストレスは自律神経の大敵! 人間関係や仕事のプレッシャーなどの悩みや不安による、日々蓄積される身体的・精神的なストレスは、自律神経を乱れさせる主な要因に。ストレスを感じても、自分に合った解消法ですぐに発散させ、溜め込まないことが大切。

    不規則な生活をしている

    私たちの体は、一定の生体リズムに従って働いており、日の出とともに起床して、日中活動し、日が沈むと休息を取るという生活が身についている。しかし、昼夜逆転などの不規則な生活を続けていると、体内時計がどんどんズレていき、生体リズム障害を引き起こす。

    過度なダイエットをしている

    そもそも体重が減ると、人間の体は生命の存続に関わると判断して、いろんな大事な働きを抑えてしまい、不調を引き起こす。女性ホルモンが乱れたりストレスを助長させるだけでなく、栄養バランスが著しく偏った食事を続けていると、骨粗しょう症の原因にも。

    睡眠不足である

    寝不足だと交感神経が過剰に働きやすくなり、体が常に緊張状態に置かれる。例えば睡眠時間が本来必要な時間より30分足りていない状態が1週間続くと、睡眠不足が借金のように雪だるま式に積み重なっていき、あらゆる心身の不調を引き起こすといわれている。

    運動不足である

    体を動かす機会が少ないと、ポンプの役割を果たす筋肉の収縮が減って、全身の血流が滞り、巡りの悪い体にまっしぐら。これは長時間のデスクワークもしかり。運動不足は、自律神経の緊張と休息のバランスを崩す要因になるだけでなく、心と体の疲労感が増していく。

    薄着で過ごすことが多い

    冷えはストレスになり得る。今頃は春の陽気を感じるものの、まだまだ寒暖差は激しく、肌寒い日もある。そんな時でも薄着で外出したり、寒い空間で過ごしたりすると、自律神経の活動に影響が及ぶ。体温調節がうまくいかなくなり、さらに冷えやすい体に。

    心身に大きなダメージを与える、ストレスとの上手な付き合い方

    ストレスは溜め込まない方がよいとわかっていても、毎日いろんなことが起こり、そんなにうまくはいかない。そこで高尾さんが、ストレスとの付き合い方をアドバイス。

    「働き盛りの女性は、仕事との向き合い方や人間関係などに悩むことも多々あると思います。それらによるストレスをゼロにはできないかもしれませんが、少しでも負担を軽くすることができれば、若年性更年期障害のような不調に悩まされることもなくなり、毎日を心穏やかに過ごせるようになります。

    特に20~30代はまだ無理がきく年代でもあるため、ついつい頑張ってしまう人も多いでしょうが、今の自分に本当に必要なことは何なのか、優先順位を決めることが大切です。

    いろんなことに真摯に向き合う真面目な人ほど悩みやすくストレスを抱えやすい。でも時には受け流すことも必要。仕事のキャリアや今の人間関係が、あなたの人生そのものでは決してないため、自分のあり方をいま一度考えてみれば、悩むことも少なくなるのでは」

    若年性更年期障害対策TIPS

    TIP① 温活をする

    体が冷えると体温調節がうまくいかず、疲れやすかったり、不眠を招く。「お風呂にゆっくり浸かるなど、温活によって生み出された熱は、血液によって全身に運ばれるため基礎体温を上昇させ、心身のパフォーマンスが向上します。体を温めると血管が広がり、血流がスムーズになるため、生理痛の緩和にもなります」。体を温めるだけで心身がリラックスし、疲れを取り除くことができ、睡眠の質を上げることにも繋がる。

    TIP② ○○すぎを控える

    何事もやりすぎは、体に負担がかかる。「たとえば食べすぎ、飲みすぎ、動かなすぎなど。どれも過剰になると、いろんな不調を引き起こします。特に摂取エネルギーが大幅に増えたり、栄養が不足すると、心身のバランスを崩しやすくなるため、朝食抜きや炭水化物の摂取しすぎ、寝る前の高カロリーな食事は控えるべき」。タンパク質、脂質、糖質をバランスよく摂り、不足しがちな食物繊維もしっかりと摂れる食事を心がけよう。

    TIP③ 夕食は寝る4時間前までに

    食事を消化するのは4時間はかかる。「お腹の中に消化・吸収されていないものがある状態で寝てしまうと、睡眠中は胃腸の働きは落ちるため、胃腸は重いままで眠りに集中できなくなります。睡眠の質に影響を及ぼすだけでなく、疲労回復を妨げ、免疫力と体力低下の原因にも」。そのため夕食は早めに済ませて、寝るまではゆっくり過ごし、ある程度胃や腸の働きが落ち着いた状態で眠る生活習慣を続ければ不調知らずに。

    TIP④ 睡眠環境を整える

    「成長ホルモンの分泌時間は眠り始めの3時間に集中しています。この時間に脳をしっかり休ませることができるよう、眠気が起こりやすい環境を作り出しましょう」。寝室の明かりを消したり、間接照明に変えたり、室温を快適と感じる温度に整えることで、睡眠の質をアップ! 「基本的に成人男性も女性も7時間の睡眠時間を確保できないと、鬱っぽい症状が現れるといわれているので、しっかり眠ることで精神も安定します」

    TIP⑤ 日中の活動量を増やす

    心拍数が上がるような適度な運動は、体温も上昇し、血行促進やストレス軽減に効果的。「体を動かすと交感神経を活性化し、運動後には副交感神経が優位になり、自律神経のバランスを整える効果が」。運動はストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が抑えられるだけでなく、運動後の爽快感や達成感は、脳内の神経伝達物質であるセロトニンの分泌を促し、リフレッシュしやすくなる。

    正しい姿勢をキープ/特別な運動などをしていなくても、実は意外とエネルギーを使うのが姿勢の維持。お腹に力を入れないと正しい姿勢をキープできないため、姿勢よく座ったり立ったりすることを心がけるだけでも筋トレになる。

    30分に一回立ち上がる/デスクワーク中心で、一日のほとんどが座りっぱなしの人は、30分に一回立ち上がって、軽くストレッチしたり、デスクの周りを歩くだけでも活動量に大きな変化が。気晴らしになり、精神面の安定にも繋がる!

    深呼吸をする/視線を上げて胸を大きく開いて深い呼吸を。吸う時には交感神経優位に、吐く時に副交感神経優位になり、規則正しい腹式呼吸を行うことで自律神経を整える効果が期待できる。また気持ち的にもリラックスしやすい。

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    教えてくれた方

    Profile

    高尾美穂

    産婦人科専門医。女性のための統合ヘルスクリニック イーク表参道副院長。専門的な知識をわかりやすく伝える活動に取り組む。著書に『いちばん親切な更年期の教科書【閉経完全マニュアル】』(世界文化社)など。

    イラスト・二階堂ちはる 取材、文・鈴木恵美

    anan 2490号(2026年4月1日発売)より
    Check!

    No.2490掲載

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