
生活習慣やストレスが、知らず知らずのうちに様々な箇所に不調を引き起こしている!? そこで最近、若い世代で増加傾向にある症状として注目を集める「脂肪肝」にフォーカス。それぞれの主な原因から対策TIPSまで指南!
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脂肪肝とは?
肝臓に過剰な中性脂肪(血液中の脂肪成分)が溜まること。健康な人でも肝臓に3~5%の中性脂肪がついているが、それが20%を超えると脂肪肝と呼ばれる状態になり、病気のリスクが高まる。今や日本人の約3人に1人が脂肪肝だといわれている。
何をしても痩せられない…それは隠れ脂肪肝かも!? 一見健康そうに見えても、何気ない生活習慣が原因で、肝臓はブヨブヨかもしれないので、今すぐチェック!
CHECK!
□ ほぼ毎日フルーツを食べている
□ 朝食を抜くことが多い
□ 間食に甘い食べ物や飲み物を摂ることが多い
□ 栄養ドリンク、スポーツドリンクを頻繁に飲んでいる
□ 主食から手をつけることが多い
□ お昼ごはんに麺類を食べることが多い
□ 食事にかける時間が10分以内の時がある
□ 歯は、朝食を食べてから磨いている
□ 筋力が衰えたと感じる
→ 3つ以上当てはまったら隠れ脂肪肝かも!?
お酒を飲まなくても脂肪肝になる人が増加
これまでは、お酒を飲む男性に多いとされてきた脂肪肝。しかし近年、お酒を飲まない若い女性の間で脂肪肝が急増。
「脂肪肝は、大量の飲酒が原因の『アルコール性脂肪肝』と、アルコール以外のことが原因での2つに分かれます。この2つめの理由が最近明らかになり、『MASLD(マッスルディー)』という新しい名称がつき、“新脂肪肝”として、世界的に話題になっています」
と、栗原クリニック東京・日本橋院長の栗原毅さん。その「MASLD」になる理由が、“代謝異常”だとか。

元気な肝臓は栄養素をしっかり代謝してエネルギーに変えてくれるが、脂肪が溜まった肝臓は代謝機能が衰えて太りやすくなる。
「人間が痩せていくためには代謝によるエネルギー消費が必要です。その代謝の役割を大きく担っているのが肝臓です。肝臓に脂肪がついたいわば脂肪肝の状態だと、代謝力が衰え、食べたものをエネルギーに変えられず、体にどんどん脂肪が溜まっていき痩せられない体になるだけでなく、糖尿病や心筋梗塞などの病気を引き起こします」
この新脂肪肝「MASLD」に罹患している若者が年々増加している。では、代謝異常をもたらす要因とは。
「それは糖質の摂りすぎなど、血糖値が上がりやすい食生活がいちばんの要因! 血糖値が急上昇すると、すい臓から血糖値を下げつつ脂肪の合成を促すホルモンである『インスリン』が大量に分泌され、脂肪肝まっしぐら。ほかにも不規則な生活を送っていると、脂肪肝のリスクを高めます。
もし直近の健康診断の結果表が手元にあるなら、肝機能検査の項目にある“ALT(GPT)”の数値を確認してみてください。これは肝障害があると血液中に流出する幹細胞の酵素を指す数値で、特に糖質の摂りすぎが原因の脂肪肝で高値になる傾向があります。ALTの基準値は31未満ですが、これが20を超えていたら隠れ脂肪肝の疑いアリです」
脂肪肝を治すには、不規則な生活を改めつつ、血糖値を急上昇させない食生活を心がけること。そうすれば肝臓は元気になり、代謝がアップし、自然と痩せやすい体になれる。
こんな生活習慣にご用心!
朝食を抜くことが多い
朝食は、インスリンの分泌において三食の中で最も重要な食事。それを抜くと前日からの絶食の時間が長くなるため、昼食時の血糖値の変動が激しくなる。また朝食抜きは、肝臓での脂肪の代謝に関係する遺伝子の働きが抑制される。
甘いものがやめられない
スポーツドリンクや乳酸菌飲料、調味料など、ヘルシーで健康に良さそうな食材や食品に多く使われている液体の糖質「異性化糖」は血糖値を爆上がりさせる。原材料の中に「果糖ぶどう糖液糖」と書いてあるものばかり摂取している人は注意して。
運動不足である
肝臓と同じぐらい基礎代謝のアップに関わっているのが筋肉。しかし、デスクワークなど長時間座りっぱなしが多かったり、日頃から体を動かす習慣がないと、筋肉量がみるみる減っていく。すると代謝不足に陥り、肝機能にも大きな影響を及ぼす。
ついつい早食いしてしまう
忙しくて食事をゆっくり摂る時間がない生活を送っている人は要注意。急いで食べると、糖質が腸で一気に吸収され血糖値が急上昇しやすくなる。また早食いすると、すぐにお腹がすいて食べすぎてしまうことも脂肪肝になりやすくなる要因に。
フルーツを毎日食べている
ビタミンやミネラル豊富で体に良いとされるフルーツだが、多くの果物に含まれている果糖は、血糖値を上げることはないが、小腸で急速に吸収され、肝臓へダイレクトに運ばれてぶどう糖に変換される。だから中性脂肪に変わりやすく、即脂肪肝に。
夜更かしすることが多い
夜型の生活は、体内時計がズレやすく体内の生理機能が乱れ、代謝がダダ下がり。また体内時計の影響で、夜はインスリンの効きが低下するといわれているので、夕食を摂る時間が遅ければ遅いほど、血糖値が上がり、脂肪を溜め込みやすくなる。
脂肪肝対策TIPS
TIP① 食前に酢を大さじ1飲む

酢に含まれる酢酸とクエン酸に、肝臓で脂肪を代謝する酵素の活性を上げる働きがある。さらに食前に、少量飲むだけで血糖値の上昇を抑えられる。「納豆1パックに酢をかけて混ぜるだけの“酢納豆”もおすすめ。納豆には内臓脂肪と中性脂肪を減らす働きがあるため、両者の相乗効果で、脂肪肝撃退に効率よくアプローチできます」。酢の種類は何でもOKだが、糖質の含有量ができるだけ少ないものを選ぶこと。
TIP② 食前に高カカオチョコレートを食べる

チョコレートの原材料のカカオが肝臓に良い影響を与える。「カカオに含まれる『カカオポリフェノール』は、抗酸化作用に優れて、肝臓内の活性酸素を除去することで肝機能の低下を防ぎます。さらに空腹時に摂取するとインスリン濃度が低下する傾向があり、糖の吸収を緩やかにする食物繊維も豊富なため、食前に食べることで血糖値の上昇を抑えられます」。カカオ含有量70%以上の高カカオチョコレートが◎。
TIP③ いつもより10回多く噛む

早食いを防ぐために、よく噛んで食べることを心がけよう。「そうすると、食べたものが時間をかけて腸で吸収され、血糖値の上昇を緩やかに。また人間は、食べてから約20分後に満腹感を得るといわれているので、ゆっくり食べれば満腹中枢が刺激され、食べすぎを防止することもできます」。一口食べたら30回噛むのが理想だが、忙しい人は難しいと思うので、まずはいつもより10回多く噛むことを目標にして。
TIP④ 朝食前に、起床後すぐに歯磨きをする

口の中を清潔にしておかないと歯周病になり、その歯周病菌が、血液を通して全身に広がる。なかでも肝臓は血液の流れがゆっくりで、菌が定着しやすい臓器であるため、菌が増えると脂肪やエネルギーを全身に送る働きをやめて、脂肪が溜まりやすくなる。「特に歯周病菌は就寝中に増えやすく、朝歯を磨かずに食事をすると、食べ物と一緒に歯周病菌が体内に入り込みやすくなります。なので起きたらまずは歯磨きを」
TIP⑤ 脚を鍛えて代謝アップ
体の筋肉量が減ると代謝が低下し、肝臓の代謝も悪くなるので、筋肉を鍛えることで脂肪肝を撃退。「全身の筋肉の6~7割が下半身に集中しています。下半身を鍛えると、筋肉量が増えて血行が良くなり、代謝も効率よくアップできます。また運動時に筋肉から分泌されるホルモン『マイオカイン』には肝臓の脂肪を分解する作用も」。そこで大きな筋肉があるお尻、太もも、ふくらはぎに効率よくアプローチできる3つの筋トレを紹介。
教えてくれた方
Profile
栗原 毅
栗原クリニック東京・日本橋院長。日本肝臓学会肝臓専門医。東京女子医科大学教授、慶應義塾大学大学院教授を歴任。2008年から現職。『新脂肪肝 代謝復活ダイエット』(日本文芸社)など、著書多数。
anan 2490号(2026年4月1日発売)より






















