左から、木川誠子さん、藤井サチさん

度重なる地震や豪雨災害で、防災意識は前より高まっているけれど、意外と抜け落ちているのが「防災×フェムケア」の意識と備え。モデルの藤井サチさん、フェムケアコンシェルジュの木川誠子さんと共に、女性に必要な防災グッズを考えます。

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    Profile

    木川誠子

    きがわ・せいこ フェムケアコンシェルジュ。「フェムケアは女性ホルモンを意識した健康習慣」という考えのもと執筆、取材。これまで3000個以上のフェムケアアイテムを使い、おすすめの品の紹介も行う。

    藤井サチ

    ふじい・さち 1997年生まれ、東京都出身。モデル。『ViVi』などの専属モデルを経て、現在は『CLASSY.』のレギュラーモデルとして活躍。YouTube「サッチャンネル」ではフェムケアを含む美容情報を発信中。Instagram

    防災×フェムケア、大事にしたい心得は?

    藤井サチさん(以下、藤井) 思えば私の災害時の備えって水や食料など、ないと生きていけない必需品だけ。今回、防災について改めて考えてみたら、私の備えには「もし生理が来たら?」みたいな女性としての日常の発想が抜け落ちていることに気づきました。

    木川誠子さん(以下、木川) そういう人は多いと思います。でも災害の現場での女性に対するケアはまだまだ。だからこそ、自分のために何を用意するかを考える視点は必要です。今回、衛生面の問題を含め、8つのアイテムをピックアップさせていただきました。日常的なものから防災用に開発されたものまであります。

    藤井 拭き取りシートの一つはもともと愛用していますが、非常時にも使えるんだなーって。

    木川 水を自由に使えない状況で、清潔を保つためのシートは持っていると安心。生理用品は、使い慣れているものを防災用に多めにストックしておくことが大事です。

    藤井 確かに! 私もオーガニックコットンのものを使い続けています。

    木川 あとショーツ型ナプキンは下着としても活用できます。

    藤井 ズボンを脱がなくても交換できるものもあるんですね! 確かに避難所のトイレの床がどれくらい清潔かはわからないですもんね。今回、ロングスカートが挙がっているのが意外でしたが、避難所といえば、着替え時の悩みもよく聞きます。そんな時、ロングスカートがあったら役立ちそうですね。

    木川 まずは被災時を想像して、自分は何が心配か考えてみる機会が必要です。その時に、こういうフェムケアの存在が女性たちに届くことも大事。藤井さんのように影響力のある方の、「こういうものがあるよ」という発信は心強いですし、意識や備えも変わってくると思います。

    藤井 フェムケア関連の内容をシェアしたことはあるんですけど、防災に関してはなかったです。被災経験のない私の提案が的はずれにならないか心配だったりして。

    木川 確かに、そういう意味では防災の発信は難しいですよね。

    藤井 はい。でも「こういうアイテムは日常で便利だから被災時にも使えると思う!」というスタンスならアリかなと思えてきました。今回のアイテムも普段から使えて、防災のために備えたくなるものばかり。

    木川 普段使っているものを備えておくのが一番安心です。防災というと特別に考えがちだけれど、実は日常の延長にあると思っています。特に肌に触れるものに関しては、使ったことがないものを備えるのは避けてほしいです。

    藤井 香りとか好みもありますからね。そういう意味ではリラックス効果や安心感も、最優先ではないかもしれないけど大事だと思いました。必需品でなくても自分が快適に過ごすためのものもあるといいかもしれませんね。私はデリケートゾーン用のソープを旅行にも持っていくほど愛用しているんですけど、そういうお守りアイテムも防災バッグに入れてもいいかも。自分のメンタルを守ることで、周りをヘルプできる余裕も生まれそう。

    木川 まさに、いつもの旅行ポーチをもう一つ作るくらいの感覚で防災の備えを考えるのがいいかも。あと私は持ち歩き用ポーチにも最低限の備えを入れています。家で被災するとは限らないので…。

    藤井 ですよね。お勤めしている方なら会社に何が備蓄されているか一回見ておくのもいいかも。自治体など公共の備蓄に女性目線がまだ足りないというお話も聞きますが、男女関係ない教育や、意思決定の場に女性が増えることで少しずつ意識も変わっていくといいな。

    木川 意識の変化が進むことで防災とフェムケアもより強く結び付いていくはず。災害時は生き延びることが第一。でも生理は毎月来るし、清潔でないと心も崩れてしまう。最低限、生理用品と下着はマストです。

    藤井 まずは今日、防災バッグにナプキンを入れようと思います。フェムケアという言葉をきっかけにアイテムも情報も増えて…いい時代になってきましたね!

    ① ショーツ型ナプキン

    なかなかナプキンを交換することのできない環境で心強い長時間対応のショーツ型。生理中はもちろん、生理が来そうな時にも。そしていざという時には下着がわりに。

    着脱にストレスなし。伸縮性抜群で着用感も◎

    ソフィ「おでかけ交換ショーツ」4個入り¥682*編集部調べ(ユニ・チャームお客様相談センター TEL. 0120-423-001)

    左右のウエスト部分で着脱でき、靴やズボンを脱がずに交換できるショーツ型ナプキン。好みのフィット感に調整できるのも嬉しい。「伸縮性があり、むくみがちな生理期間にはうれしい。個人差はありますが、最長12時間着用可能ということで、こまめにナプキンを替えられない災害時にも適しています。生理の時以外は下着がわりにも」(木川さん)

    ② 使い捨てショーツライナー

    下着を洗濯できない、取り換えられない。そんなストレスフルな状況を救ってくれるのがショーツライナー。下着と変わらない質感の布製で、使い捨てできるタイプがおすすめ。

    紙製品の176倍の通気性で、ムレもニオイも防止できそう

    アミー「災害時パンツに貼る布シート」布シート21枚、消臭ポリ袋3枚入り¥2,200(アミー

    災害時のゴミ処分に便利な黒い消臭ポリ袋もついた、使い捨てシートの災害用キット。「下着のクロッチ部分にぺたっと貼って使えるから、ショーツを洗濯できない状況の衛生対策にぴったり。たっぷり3週間分入っているけど、かさばらないのもいいですね。性別関係なく使えるので、家族の分も備えておくといいと思います」(木川さん)。ホワイトとブラックの2色展開。

    ③ 温めグッズ

    野外や底冷えする避難所生活のために、季節を問わず用意しておきたい冷え対策グッズ。下着に貼るタイプの温熱パッドなら体の中心部からじんわり温まり、リラックス効果も。

    発熱体は直接肌に触れないから衛生面でも安心感抜群

    グラフィコ「ウィズフェム よもぎ温座パット」6回分入り¥1,320(グラフィコ カスタマーセンター TEL. 0120-498-177)

    よもぎ、ドクダミ、ハッカを織り込んだパッドの裏面に専用の発熱体を貼り、下着につけるだけ。「真冬の屋外撮影でいつも使ってます! 下腹部が温かいと体全体が本当にぽかぽかするんです。周りから気づかれずひそかにリラックスできるのもいいところ。非常時こそ冷えやリラックス対策グッズも活躍しそうです」(藤井さん)。低温タイプもあり。

    ④ 使い捨て下着

    何はなくても最低限用意しておきたいのが下着。いまは旅行用などの使い捨て下着がデザイン豊富に揃う。まずは日常で試して、好みの着心地のものを防災バッグにIN。

    旅行など、防災以外にも使えて入院時の備えにもGOOD

    Wing「Any Anyインナー」上下3セット¥990(ワコールお客様センター TEL. 0120-307-056)

    使いきりの紙製ブラ&ショーツセット。「防災において、まず初めに何を用意すればいいのかというお悩みがあると思うんですけど、とにかく下着は絶対ないと困る! これは防災バッグに入れても全然負担にならない軽さと薄さが魅力。一度試して気に入ったら、ぜひ備えの一つにしてみては」(木川さん)。ワンサイズながら伸縮性があり、M~LLと幅広い体型に対応。

    ⑤ レスキュークリーム

    非常時のストレスでゆらぎがちな肌や乾燥が気になる季節のために備えておきたいフェムゾーン対応のボディクリーム。自分に合う香りや質感のものを選ぼう。

    コンパクトサイズだからポーチに入れておきたい!

    Pubicare organic「フェミニン メディバーム」15ml ¥2,090(たかくら新産業 TEL. 0120-828-290)

    デリケートゾーンに特化した日本初のサロン「ピュビケアサロン白金台」が手掛けるブランドがリニューアルして登場。「同ラインのソープを使っているのでクオリティの高さはわかります。何より普段使っているものって安心感が違う! デリケートゾーンに使えるなら唇まわりや手指などの軽い荒れや乾燥にも使えそう。コンパクトだからいつものポーチに備えておきたい」(藤井さん)

    ⑥ ロングスカート

    着替え用ポンチョに、そして個室がないトイレの目隠しに…とさまざまな場面で活躍するロングスカート。水をはじく素材か、シワになりにくい生地かも選ぶ基準に加えて。

    災害用としてはもちろん雨の日など日常でも活躍

    スタイリストりさ×UP.de「ポンチョにもなる撥水ロングスカート」¥5,390(フェリシモカスタマーサービス TEL. 0120-924-213)

    防災用の服というと動きやすいズボンを考えがちだけど、ロングスカートは意外なお役立ちアイテム。「シワになりにくい素材や、軽くて水をはじくのもありがたい。首下からかぶれば着替え用ポンチョになるなんて感動」(藤井さん)。収納袋にもなるポケットの内布はネオンカラーと、おしゃれ心もしのばせて。月1回、3色から1枚をお届け(途中でストップ可能)。2サイズ展開。

    ⑦ 拭き取りシート

    シャワーやお風呂がままならない環境で役立つ、拭き取りシート。保湿成分が含まれる敏感肌対応のもの、またしっかり拭ける大きめサイズを選べば活躍の幅が広がる。

    非常時、ゆらぎがちな肌にうれしい低刺激のフェミニンワイプ

    Summer’s Eve「フェミニンクレンジングワイプ フレグランスフリー」12枚入り¥704(ピルボックス

    無香料のワイプ。「水圧の低い海外旅行先や飛行機の中などで愛用しています。コンパクトに見えても広げると大きいし伸縮性もあって、しっかり拭けるから、普段からポーチの中にも入れています。それを防災バッグに入れておけばいいんですね」(藤井さん)。災害時、お風呂が難しい環境でこそ、デリケートゾーンを清潔に保つことが気分よく過ごす鍵になる。

    広げると、この大きさ。非常時に頼れます!

    【INTIME ORGANIQUE】アンティーム ハイジーンシート 12枚入り¥1,650(サンルイ・インターナッショナル

    植物研究にもとづいて、日本人女性の体質に合いやすい白キクラゲやハトムギなどの和漢植物を取り入れたシート。「デリケートゾーン用のワイプシートは普段も非常時も本当に便利。事前に使い勝手や好みを確認しておくことで、防災バッグに入れる一品を絞れるはず。これは使用後、トイレに流せるのがありがたい!」(木川さん)

    藤井さん・ニット¥39,600 スカート¥96,800(共にカオス/カオス表参道 TEL. 03-6432-9277) シューズ¥96,800(ビューティフル シューズ×ハイク/ボウルズ TEL. 03-3719-1239) ピアス¥49,500 リング¥21,560(共にバルブス/ズットホリック

    写真・市原慶子 スタイリスト・仮屋薗寛子(藤井さん) ヘア&メイク・伏屋陽子(ESPER/藤井さん) 取材、文・大澤千穂

    anan 2472号(2025年11月19日発売)より
    Check!

    No.2472掲載

    みんなで考える、フェムケア2025

    2025年11月19日発売

    anan恒例フェムケア特集の最新版。女性のカラダを考えるムーブメントは引き続き活況。生理やPMSといった婦人科系の基礎知識から、最新のフェムテック、進化したアイテム、制度上の変更点などにわたるまで、押さえておきたい情報を一冊に集約。話題のトピックスを、藤井サチさんや村重杏奈さん、haru.さんと共に考えるコーナーも。表紙はTravis Japanがスタイリッシュに飾ります。

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      赤口

    地道に取り組んできたものの、どこかあきらめかけていたことへのチャンスが訪れそうです。思わぬところから声がかかる可能性があります。コミュニケーションを面倒がらず、臆することなくその機会をつかみましょう。今まで孤独な旅路だったとしても、この流れに乗れたら多くの人と一緒に働く楽しさを味わえるようになります。

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