歌手デビュー15周年! ソ・イングク「苦労を共にした仲間がいつも幸せだったら僕もうれしいです」

スター🐼
2024.11.12

歌手、そして俳優として活動し、今年デビュー15周年というアニバーサリーイヤー中のソ・イングクさん。アーティストとして、表現することへのこだわりと熱、そして自負を感じる言葉の数々をお届けします。

ソ・イングク~模索して掴んだ、僕だけの景色。

日本では俳優のイメージが強いけれど、2009年当時、韓国で絶大な人気を誇ったオーディション番組『スーパースターK』での優勝を経てソロ・アーティストとしても活躍しているソ・イングクさん。歌手デビュー15周年を迎えた今年は、作詞・作曲だけでなく全体のコンセプトからMVまで自身が手掛けたミニアルバム『SIGnature』を完成させた。

「今回のアルバムはすべてにおいて自分の手が入った作品にしたい、というのは最初から考えていました。タイトルも僕のイニシャル『SIG』に『nature』を加えて、僕らしさを追求したアルバムにふさわしいタイトルになったと思います。5曲中4曲は僕が作曲、もしくは作詞していますし、そのうちの『空のかおり』のMVは曲を聴いた瞬間にアポカリプスな世界に存在する少年と少女の物語が浮かんで、僕がシナリオを書きました。以前、『君という季節』のMVでお世話になったイ・サンドク監督に声をかけて、共同演出という形で僕も映像制作に関わっています」

15年のキャリアのうち、12年は俳優としての活動を並行してきた。当初は演じる仕事をするつもりはなかったという彼が演技の道を歩みはじめたのは、『冬のソナタ』で知られるユン・ソクホ監督との出会いからだった。

「当時、ユン監督が新たに手掛けるドラマにギターを弾きながら歌うという役があり、監督はできれば歌手にこの役を演じてもらいたいと考えていたそうで、僕もオーディションを受けることになったんです。当時まだ思うような活動ができなかった僕にとっては絶対に逃したくないチャンスでしたが、演技はそれまでやったことがなかったので、自分でも絶望するほど下手くそでしたね(笑)。そこで僕の出身地である慶尚道なまりで台詞を準備したところ、そんなふうに演じたのは僕が初めてだと言っていただいて出演することになったんです。このすぐ後に『応答せよ1997』の主演が決まり、僕をみなさんに広く知ってもらうきっかけになりました」

自身は「僕以前にも実はたくさんいらっしゃるんですよ」と謙遜するけれど、俳優を兼業するアーティストの先駆けでもある。二足のわらじはそれぞれの仕事にいい影響を及ぼすこともあるが、それぞれの仕事に対するスタンスはかなり異なるそう。

「俳優という仕事は僕にとっては突然訪れた幸運のようなもので、周りの人にたくさん助けていただきましたし、演技が初めてということで視聴者からもあたたかく見守っていただいて、その間に自信と実力を磨くことができました。一方で歌手は昔からその夢を叶えるために長い間努力も準備もしてきたものなので、自分で自分に課すハードルが高いんですよ。今でも自分の声に嫌気が差したり、なぜ僕は他の歌手のようにできないんだろうと自分を責めてしまうことがあります。演技をする時は役を完全に受け入れて愛することができるのに、歌手としての自分を受け入れることができないのは僕にとっての課題ですね」

それでもこの15年楽しくやってこられたのはファンのみなさんと仲間のおかげだと振り返る。

「僕を信じて応援してくれるファンのみなさんがいるから、どんな時も前に進むことができました。それに僕はとても欲張りなので、自分ひとりでものを作ることよりも結果にこだわります。この考えが僕の要になっているから、いい作品を作るためならいろんな人に助けを乞うことを厭わないし、僕自身も手伝ってほしいと言われたらいつでも力を貸してきました。僕もいつもみんなに助けてもらってますからね。スタッフとはよくこんな話をするんですよ。ステージの上ではたしかにソ・イングクは僕ひとりだけれど、それ以外の場所ではみんなで歌手としての、俳優としてのソ・イングクを作っているんだって。そうやって出来上がった作品の結果がいいかどうかはその時次第ですが、苦労を共にした仲間がいつも幸せだったら僕もうれしいです」

今年11月に3都市をめぐる日本ツアーを開催。それに先立ち9月にはリリースイベントで約1年ぶりに日本のファンと再会した。

「日本のファンのみなさんとは久しぶりにお会いしたんですが、変わらず僕と僕の音楽を愛してくれて、みなさんのおかげでいつも幸せなエネルギーをいただいています。僕がこうして日本で取材を受けたりアルバムをリリースできるのは、日本にファンがいるからです。僕にはみなさんの愛に応える責任があると思うので、感謝の気持ちでこれからもよりよい音楽と作品を届けます。今回の来日ではとある男性ファンの方から“うな牛”という食べ物があると聞いて初めて食べましたが、おいしかった! 彼には感謝を込めて“うな牛おじさん”というニックネームを贈ったんですが、喜んでもらえてよかったです(笑)」

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PROFILE プロフィール

Seo In Guk

ソ・イングク 1987年10月23日生まれ。2009年にオーディション番組『スーパースターK』で優勝し、歌手デビュー。’12年のドラマ『ラブレイン』で俳優デビュー。近作に『もうすぐ死にます』(Prime Videoで配信中)など。

写真・宇佐美直人 ヘア&メイク・MUMU(TEAM MUMU) 取材、文・尹 秀姫

anan 2421号(2024年11月6日発売)より

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