役者“さとうほなみ”とミュージシャン“ほな・いこか”。2つの顔で活躍するさとうさんの謎めいた正体を探りながら、朝ドラ『ばけばけ』秘話も語っていただきました。


放送中の朝ドラ『ばけばけ』では遊女・なみを好演。ほな・いこか名義で人気バンド・ゲスの極み乙女のドラマーとして活躍しながら、役者として出演作を増やし続けているさとうほなみさん。

── 芸能活動は10歳の頃から。そのきっかけから教えてください。

子供の頃からテレビっ子で、部屋にこもってずっとドラマを見ていました。ある時ふと、私もこれに出たいと思って。少女漫画雑誌『ちゃお』に載っていたオーディションに応募したら審査員特別賞をもらいました。それがきっかけで芸能事務所に入り、舞台などに出させてもらっていました。

── そのまま芸能活動を?

そろそろ子役の事務所ではないところに移りたいと思っていた頃、高校生になって、ギターボーカル&ドラムの2人組で、マイクロコズムというガールズバンドを始めたんです。私はドラムだったんですが、そこでバンド楽しい! ってなっちゃって(笑)。芸能活動よりも音楽に夢中になりました。

── ドラムはいつから?

中学で吹奏楽部に入ったんですが、当時はまだ芸能の仕事をしていたのでコンクールに出られない可能性があるという理由でパーカッションに配属されて。いろんな打楽器を経験して、お祭りの時にはドラムを叩いたりするようにも。

── 打楽器は原点なんですね。その後、ゲスの極み乙女を組むまではどのような流れでしょうか。

高校を卒業してからもマイクロコズムでやっていたんですが、もう一つぐらい他のバンドをやりたいと思っていたんです。当時、下北沢でよく対バンをしていたのがindigo la Endで、ボーカルの川谷(絵音)さんが「一緒にやろうよ」って言ってくれて、ゲスの極み乙女を結成。遊びで始めたつもりが、トントン拍子に進んで、たまたま今で言うところの“バズ”っちゃいました。

── ゲスの極み乙女はその後もヒット曲が続き、デビューからずっとお忙しいと思いますが、役者を再開されたのはなぜでしょう。

高校の時に芸能の仕事をしなくなってからずっと、役者のことが気になってはいたんです。でも、ゲスの極み乙女の活動が忙しすぎて音楽のこと以外、考える時間がなくて。そんな中、ある時ふと、自分のことについて考えるきっかけがあって。あ、やっぱり役者の仕事もしたいなと。それで、前の事務所に入った時に今のマネージャーさんと出会ったんですが、「は? 何言ってんの?」ぐらいに鼻で笑われて。芝居なんてできるわけないと思われてたし、こいつどうしよう……とりあえずふわっとさせておけばいいか、ぐらいに思われていたんじゃないですかね(笑)。そのまま、そのマネージャーさんとよく話すようになって、“さとうほなみ”という芸名を一緒に決めました。

── バンドネームの“ほな・いこか”でいくのではなく?

ほな・いこかの存在は大きくなっていたのでそのままいくことも考えました。でも、例えば自分が出演した映画を観た時に、いい映画だったなぁと思ってもエンドロールでほな・いこかが流れてきたらすごいやだなと思って。

── そもそも結成時に川谷さんに勝手につけられた名前で、全然気に入ってないと聞きました。

いまだに全然気に入ってないです(笑)。でも抵抗する余地もなく、初めてのCDにすでに「ほな・いこか」と印刷されていて。これ誰だろう……きっと私だろうなと。今でもたまに「たけし軍団の方ですか?」なんて言われます(笑)。

本来の自分、さとうほなみ、ほな・いこかはどれも素

── お芝居を再開するきっかけになった作品を教えてください。

転機になったのは、映画『窮鼠はチーズの夢を見る』です。

── そこから役者としてもオーディションを勝ち抜くことで出演作を増やされて。映画『彼女』では水原希子さんとW主演、ドラマ『六本木クラス』では料理人のりくを演じて大きな話題に。個性的な役柄を演じることも多いですが、お芝居や役とはどのように向き合っていますか?

憑依型とかではないんですけど、演じている期間はおのずとその役と服装が似てきちゃったり、性別を超えた役だとちょっとボーイッシュな感じになったりとかはしますね。『彼女』は長編で主演をさせてもらったのが初めてだったので、役に近づくために周りの人と連絡を絶ってみたりもしました。でも基本的に、役に引きずられちゃうみたいなことはないです。

── 映画『花腐し』でも難役に挑まれ、2023年度に日本映画プロフェッショナル大賞で新進女優賞を受賞されました。

荒井(晴彦)監督は長回しや定点で撮ることが多くて、その画角に自分の芝居をどう収められるかみたいなところはすごく勉強になりました。経験豊富な監督が撮る映像はとても素敵で、学ぶことも多かったです。これが映画だな、“浴びたな”って感じでした。

── 『ばけばけ』への出演は『まんぷく』に次ぐ朝ドラ2作目。遊女のなみ役で出演されていますね。今朝も見てきました!

ありがとうございます! NHKで朝ドラ、大河、紅白に出るのは夢でした。しかも朝ドラでヒロインを演じて紅白の司会をして、そしてバンドでも出る! って。

── 紅白出場はすでに叶えられていますが、司会とバンドの両方で出演された方はいない気が…。

だから総取りするぞと。紅組で司会をやって、すみません白組で演奏してきますって。

── 前代未聞ですね(笑)。

あはは(笑)。実は『ばけばけ』はヒロイン狙いだったんです。でも、演じる役の年齢的にギリギリで(笑)。それでも一応オーディションを受けてみたら制作チームがすごく面白くて。たっぷり1時間ぐらい使って、できる芝居をぎゅうぎゅうに詰め込んで、もはやオーディションではなく稽古のよう。芝居で遊ぶのがすごく好きな人たちなんだろうなって感動しました。だってオーディションって本来苦しいものだと思うから。楽しいところで遊べたとホクホクしながら帰ったら、なみ役をいただけて嬉しかったです。

── 明日(2025年12月3日)はゲスの極み乙女のライブがあり、その4日後からは舞台『シャイニングな女たち』の本番が控えていますが、舞台の休演日には新たな映画の撮影があるとか…。切り替えはどんなふうに?

いやもう、わからないです(笑)。いつもフラットなんですかね? スイッチのオンオフみたいなものはなくて。バンドのライブの時は、緊張感は持っていますけど、自分最高にカッコいいと思いながらやっているので、緊張はしないです。舞台もそうじゃないかな。どう演じていくのが正解かはいつもわからないですが、スランプとか抜け出せないと思ったことはないです。そもそも私一人で役を作り出すことはなくて、わからない時はイメージができている監督などからヒントをいただくことが多いです。

── 昨年自主レーベルを立ち上げるなど新たな挑戦を続けるゲスの極み乙女は、どんな存在ですか?

メンバーとは本当にいい出会いだったと、これからもずっと思える4人組。普段はそれぞれ他の仕事で忙しいけれど、年に1回はツアーをして何か月ぶりかに会うと、久しぶり、おかえりって実家みたい。ただ自分の核はやっぱりお芝居であるような気もしていて、出生地が芝居だとしたら、出身地は音楽みたいな感じです。大切な2つが自分の芯になっていてすごくよかった。でも本来の自分もさとうほなみも、ほな・いこかも全部自分でどれも素ではあるんです。

── では、お休みの日は何を?

出無精なので、家で何かの映像を見ているか、本を読んでいるか。外に出るとしたら映画館か整体だけど、出かけたいと思ったことはあまりなくて。至福は何もしていない、ただ脳が溶けるだけの時間かな。そのあとに、無駄な時間を過ごしちゃったーと、めっちゃ後悔するけど、それも込みで至福。

── 趣味や好きなことは?

UFOキャッチャーでフィギュアを取ること。30分空き時間があったら、ふらっとゲーセンに行ったりします。あ、町田のゲーセンはめっちゃアーム強いですよ。ちなみに渋谷のアームは弱くて、下北はすごく弱いです(笑)。

── 詳しいですね(笑)。最近ゲットして嬉しかったフィギュアは?

アニメ『僕のヒーローアカデミア』のメインではないミルコというキャラ。これは言えないぐらい注ぎ込んでゲットしました。

── それがストレス解消にも?

ストレスはたまらないタイプで、いつもふわっと生きている感じ。ドラムを叩いていることがストレス発散になっているのかな。

── なるほど。ところで、俳優の柄本時生さんとのご結婚おめでとうございます。生活は何か変わりましたか? また、パートナーに求めることとはなんでしょう。

気を使わずにいられる相手なので、生活面でも仕事面でも、何も変わっていないですね。パートナーに限らず、私は近しい人間関係において尊敬し合える関係性がすごくいいと思っていて。もしかしたらダメなところもあるかもしれないけど、やっぱりここが素晴らしいと思える人と仕事ができたり、一緒に暮らせることは幸せです。彼においてはもう、ほぼほぼ尊敬ばかり。素敵な方です。

── 目まぐるしい毎日を送られているはずなのに、ポジティブに自分を保てる秘訣を知りたいです。

ありがとうございます。その言葉が糧になっています。でも凹むことがあってもショックを受けても、寝たらすぐに忘れちゃう(笑)。基本ふにゃふにゃしてますから。

── 素敵です。最後に2026年の抱負をお願いします。

とにかくバリバリやっていきたいです。仕事はなんでもやるので、どんな役でもください! あ、この欲に塗れたところがポジティブの秘訣なのかも(笑)。

Profile

さとうほなみ

1989年8月22日生まれ、東京都出身。役者名義はさとうほなみ、ドラム&コーラスを担当するバンド・ゲスの極み乙女では、ほな・いこか名義で活動。代表作は映画『彼女』『花腐し』、ドラマ『六本木クラス』ほか多数。連続テレビ小説『ばけばけ』(NHK)に出演中。ゲスの極み乙女の最新デジタルシングルは「本能の復讐」。今春、新曲をリリース予定。

information

舞台『シャイニングな女たち』

主人公の金田海(吉高由里子)は、ある日、入り込んだお別れの会で大学時代の仲間たちに会う。遺影にはよく知る後輩の顔が。私はなぜ呼ばれていないのか。お別れの会と輝いていた大学時代が、交錯していく。舞台『シャイニングな女たち』は大阪・森ノ宮ピロティホールほか1月9日から30日まで公演。作・演出:蓬莱竜太 出演:吉高由里子、さとうほなみほか

ショートテーラードジャケット ¥12,980 2WAYイレヘムビスチェ ¥7,480 フロントベルトワイドパンツ ¥9,460(以上MURUA http://murua.co.jp) その他はスタイリスト私物

写真・小笠原真紀 スタイリスト・高木かなえ ヘア&メイク・野中真紀子(éclat) インタビュー、文・若山あや

anan 2478号(2026年1月7日発売)より
Check!

No.2478掲載

運の拓き方 2026

2026年01月07日発売

江原啓之さん、水晶玉子さん、藤本宏人さんらに、運を切り拓いて毎日を心地よく過ごすためのキーワードを教えていただき、アドバイスをいただきました。また、お部屋のレイアウト決めやスマホアプリの整理をする際に参考にしたい開運アクション、邪気払いメソッドの紹介、プロの運気アップ法、開運術など、2026年に幸せを呼び込むためのアイデアをたくさん詰め込みました。

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世の中の変化を捉え、その中であなたにできることを⾒つけて取り組むのに良い⽇です。何かテーマが決まるといつもより意欲が湧きやすいはずなので、⾃分の適性に合うものがないか探してみるといいでしょう。変に飾る必要がなく⾃然体でいられることを⾒つけられたらそれが⼀番よく、ストレスフリーで⼼も豊かになるはずです。

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