とことん健康に向き合うのもいいけれど、旅先でのサウナは、せっかくなら道中の景色や思い出も集めながら、その先で気ままに、ゆったり味わいたい。そんな、“サウナ旅”ならぬ“旅サウナ”の愉しみを案内します。

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    トンネルの先で待つのは、高純度のサウナ体験

    ゆっくりと雪原を走る鈍行列車。スキーを楽しむ人々を窓越しに眺め、その後トンネルを進んでいく音に耳を傾けていると、あっという間に到着。群馬県・土合駅…! が、どこかというと、長野県・群馬県・新潟県の3県にまたがる「上信越高原国立公園」の中に位置する自然豊かな土地であり、また川端康成著『雪国』のあまりにも有名な書き出し〈国境の長いトンネルを抜けると──〉のトンネルとは、この場所のことである。東京からは約2時間半。JR上越新幹線で「越後湯沢駅」へ行き上越線に乗り換える、一度新潟に入り群馬に戻るルートがスムーズだ。

    そんな関東有数の大自然を訪れるお目当ては、ほかでもない“アウトドアサウナ”。日本でもこのように、自然と共存した本場・フィンランドに近い環境でととのえる施設が近年増えつつある。旅先でのサウナにおいて大切なのが、食や観光といった旅ならではの満喫感も譲れない! という点。そんな「サウナだけでは終われない」「旅には癒しもつけたい」人には、ぜひ土合を訪れてほしい。

    土合駅直結の「DOAI VILLAGE」は、無人駅の活用を目的にスタートした1日1組貸切制のキャンプスタイル宿泊施設。360度を山に、さらに早春までは雪に囲まれる環境は、無意識に呼吸が深くなるなんとも気持ちの良い場所だ。煙突から煙が上る、ダークグリーンの箱がサウナ室。サウナも基本的にはセルフで、自分で火の世話をする。最初は慣れずに温度を上げるのに四苦八苦するが、せっせと薪を運び火をおこし、薪ストーブで汗をかき、大自然でととのう。その手間さえ愛おしい、貴重な感覚をもたらしてくれる元祖・サウナ体験がそこにある。サウナの前後には、駅探索、周辺散策、ご当地グルメと忙しい。旅を通して気づけば癒されている。そんな旅サウナはいかがですか?

    駅に到着したら、まずは『喫茶モグラ』でひと休み

    土合駅の上りホーム。

    地下にある下りホームへ続く、長~い渡り廊下のような通路から見える一面の雪景色。

    駅外観はシュッとしたとんがり屋根が特徴。夏場は背後の山々とのコントラストも美しい。

    「喫茶モグラ」

    み なかみ町の隣町・沼田市の養鶏場の平飼い卵で作られ た、優しい口当たりのプリン(¥500)は喫茶でどうぞ。

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    こっくりとした赤屋根がシンボルの土合駅。着いた途端に雪と静寂に包まれて、時間がゆったり流れ始める。きっぷ売り場の面影が残る喫茶に立ち寄れば、灯油ストーブの懐かしい匂いと、甘いデザートが迎えてくれる。

    土合駅

    information

    無人駅ながら温もりある、“日本一のモグラ駅”

    群馬県・高崎から新潟県・長岡を結ぶJR上越線のおおよそ中間あたりに位置する土合駅。上りホーム(高崎方面)が地上、下りホーム(長岡方面)が地下と上下線の乗り場が別の場所に位置し、なかでも下りホームの特異なつくりから“日本一のモグラ駅”の愛称で親しまれる。ちなみに当駅の前後には、全国でも珍しい、トンネル内で線路がぐるりと一周する「ループ線」が敷かれており、鉄道ファンも訪れるなど、見学を含めて観光客が絶えない駅だ。

    利根郡みなかみ町湯檜曽218-2 無人駅のため、土合駅から乗車の場合は待合室で自動発券機から「乗車駅証明書」をあらかじめ受け取っておくこと。駅には駐車場がないため、公共交通機関の利用を。

    「DOAI VILLAGE」へは、扉を開けるだけ

    宿への扉は駅の待合室から地下ホームに向かう途中の廊下に。

    部屋はシンプルな板の間小上がり構造。布団、クッション、ライト、ミラーなど必要最低限&十分なものが揃う。トイレやシャワー、洗面台は目の前のセンターハウスに。

    客室は全部で6つ。「ユビソ」「ミナカミ」など地名が付けられている。

    冬の夕ごはんは、群馬県産食材が中心の「みなかみキノコと上州麦豚のお鍋」。〆にはぜひ名産のうどんを。

    飲み物は県内の酒造の日本酒と芋焼酎「もぐら」がずらっと並び飲み放題で、ストーブで作る熱燗は味わいもひとしお。4月以降はBBQスタイル。

    焚き火では焼きマシュマロや花火など、キャンプスタイルだからこそのお楽しみで、思わず童心に返る瞬間も。

    夜も真っ暗にはならずに安心。

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    宿は駅直結なので移動も楽チン。GUEST ONLYの扉を開けてデッキを進むと、なんとも可愛いメレンゲのようなインスタントハウスが顔を出す。こう見えて実は災害地での仮設住宅用に開発された優れもので、中はほっかほか。

    サウナは好きな時に好きな加減で。夜は焚き火前に集合~!

    水回りの機能が揃ったセンターハウスには「どあい」の駅看板。

    薪は自分でくべます! 温度を上げるのがこれまた難しく、サバイバル力が身に付いた気分。

    サウナーにはお馴染み、エナジードリンク×スポーツドリンクのゴールデン飲料も作れる(¥300)。

    サウナ室は至ってコンパクト。2人で入ってちょうどいいので、団体の場合はかわりばんこで。

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    お待ちかねのサウナは薪ストーブを使ったフィンランド式で、湿度高めなのが嬉しい。水着とポンチョに着替えていざ! 開放感ある場所で、自分のタイミングと温・湿度でひとりじめできるなんて…。もちろん夕食の後にだって入れます。

    朝ごはんもみんなで作る。その時間があたたかい

    ケチャップやマスタード、マヨネーズ、香り高いオリジナルスパイスをお好みでかけたら、ギュッと挟んで片面2分ずつ焼いて。

    「DOAI VILLAGE」の朝ごはんは手作りホットサンド! 県内産ベーコン&目玉焼きにレタス、チーズをのせて…。焼けるのを待っている間には、オリジナルブレンドのコーヒーを、豆を挽くところからやってみよう。

    DOAI VILLAGE/喫茶モグラ

    information

    観光も生活も。みなかみ町の活性化に一役

    駅直結の2つの施設は共に、土合駅が位置する“みなかみ町”の再興や保全をテーマに活動する企業・plowerが運営。JR東日本との無人駅活用プロジェクトで、2020年に駅横のグランピング施設「DOAI VILLAGE」と、かつての駅務室を再活用した『喫茶モグラ』をオープンした。宿泊や登山の観光客はもちろん、地域住民との交流も大切に、ハブとして機能している。宿の日帰りサウナ利用(要予約)や、ちょっとしたランチやお茶での喫茶立ち寄りもウェルカムだ。

    利根郡みなかみ町湯檜曽218-2 TEL. 0278-25-8981 「DOAI VILLAGE」1泊1名(2名利用時)¥33,000~(1日1組限定、最大24名まで) チェックイン13:00 チェックアウト11:00 『喫茶モグラ』10:00~15:00 不定休 営業日はInstagramを確認。Instagramは@doai_mogura アクセス/JR上越線土合駅直結 https://doaivillage.com/

    「谷川岳ドライブイン」へ、出発前のお散歩

    土合駅と同じく赤屋根が目を惹く可愛らしい外観。

    三方が窓の爽快なレストランスペース。雪景色を見ながらのランチは至福。

    右から時計回りに、生どら焼き「山の一福」チョコレート味 ¥250 「谷川の月」季節限定いちご味、カスタード味 各¥160 実は群馬県は屈指のりんご産地。やまとしりんご園の「りんごジュース(ストレート)」180ml ¥350 みなかみ町の清水とりんごで作った「源流コーラ」200g ¥500

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    旅立ちの前には「谷川岳ドライブイン」でショッピングと、優しい店員さんとの会話を土産話に。そして極めつきはレストラン! 「こういうところではこれが食べたい!」が揃う、とっておきが待っている。

    谷川岳ドライブイン

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    山の麓の、みんなの心のよりどころ

    この地で94年、代々山小屋を営む中島さんご家族が1986年に開いた、土合駅から徒歩約3分のショップ&レストラン。訪れる人との会話が絶えない和やかな雰囲気で、土日は団体客でも賑わう。レストランで人気なのは群馬県のブランド牛・赤城牛のステーキセット(¥2,700)。その他そば、うどんに丼もの、カレーライスまで、元気になるメニューがたくさん! お土産では、お店のすぐ横の工場で作られている「谷川の月」、生どら焼き「山の一福」がおすすめ。

    利根郡みなかみ町湯檜曽220 TEL. 0278-72-5222 10:00~16:00 ※レストランは要問い合わせ

    その長さ、およそ徒歩10分。もくもくと階段を下りて家路に

    先が見えなそうで目を凝らすと見える果てしない階段。5段に1回のペースで現れる踊り場は、歩き進めると次第に健康的に必要不可欠なものだと身をもって実感する。時たまベンチもあるので、ゆっくり派もマイペースでOK。

    異世界に来たかと錯覚する、列車到着時の地下ホームの風景も見もの。

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    先ほどまでの銀世界はいずこ、突如現れる気が遠くなる階段は、338m、462段。ゲーム世界か、はたまたSFか。“モグラ駅”の名を納得せざるを得ない重厚感に包まれ、電車が近づくにつれ、ゴゴゴ…と風と機械音が鳴り響く。

    写真・坂本美穂子

    anan 2489号(2026年3月25発売)より
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    No.2489掲載

    推し旅 2026・春

    2026年03月25日発売

    暖かい気候がベストな今だからこその“おさんぽ旅”をナビゲートする「推し旅 2026・春」。レトロで美しい町並みが素敵な萩&津和野、東京都内で自然を求めて電車で訪ねる奥多摩、美味も景色も満喫できる福岡県の博多&志賀島など、今回も充実のラインナップです!

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