
多様化するビジネスツールとどう付き合う? ここでは“テキスト”を通じて、相手との正しい距離感を保ちながらスムーズにやり取りする今どきの方法をご紹介します。
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【テキストでのアドバイス】一文は短く、箇条書きも有効。文章は少し崩して温かみをプラス。
テキストツールは、メールやチャットなどさまざまだが、共通して心得ておきたいことは?
「PCやスマホなど発光する機器は、可読性が落ちるので、一見して内容がわかりやすい文体にするのがおすすめ。一文を短く、箇条書きなどにすると読みやすいです」(IT系起業家・けんすうさん)
また、文章はともすると冷たい印象になりがち。そう思われないように文面を工夫することも、ビジネスを円滑にするうえで大切だという。
「チャットなどでのカジュアルなやり取りが普及したことで、堅苦しい敬語が機械的という印象がより強くなっていると感じます。例えば『失礼かもしれませんが、○○さんとご一緒できるのがとても嬉しいです』など、断りを入れつつ、崩した表現を使うのもあり」(けんすうさん)
こんな時どうする?
【ケース1】メールなどのテキスト連絡は、夜何時まで送ってもいい?
相手が通知を停止しているはず。
「IT業界周辺では、受け手がコントロールするという共通認識ができています。深夜に通知が来るのが気になる人は、スマホ自体をお休みモードにしているという前提です。それでも心配であれば、送信日時を設定してもいいかも。設定時間は、一般的な始業時間に合わせておくのがいいと思います」(けんすうさん)
【ケース2】Re:Re:Re:は、どこまで続けるべき?
話題が変わる時に切り替えを。
返信を重ねている場合、いつタイトルを変えたらいいのかが悩みどころ。「チャットツールの場合は、1つの話題に対して1つのスレッド。話題が変わったら新規のスレッド、というのが一般的な利用法。ただ、検索機能があるので、話題が変わっても『Re:』で続けて問題ないと思います」(けんすうさん)
【ケース3】CCで複数名入ったメールなのに自分だけに返信が。断りなくメンバーを戻してもOK?
おそらく間違いなので大丈夫。
「おそらく『全員に返信』のボタンを押し忘れているだけなので、勝手に戻してしまって大丈夫だと思います。もし、自分にだけ送っている意図があるのなら、『あえて個別に返信をしているんですけど』といったコメントがあると思うので、それがなければ、むしろ戻したほうがいいと思います」(けんすうさん)
【ケース4】「(笑)」「w」、絵文字、リアクションやスタンプは使ってもいいの?
記号ではなく文章で工夫を。
「相手が使っている人なら使って失礼ではないと思います。機械的な文章にならないような工夫は必要ですが、『(笑)』『w』などの記号的なものより文面で表すのがおすすめ。笑った時は『めちゃくちゃ笑いました』など砕けた表現や、スタンプや絵文字を使う相手ならこちらも使っていいと思います」(けんすうさん)
【ケース5】複数名いるグループで全員にメンションするのはどんな時?
確実に伝えたい時に利用しよう。
例えば、Slackなどのチャットツールでは、メンションをつけなくても全員に送信されるのに、あえてメンションをつける意味とは? 「メンションをすると通知が表示されるので、相手がすぐに気づく可能性が高まります。そのため確実に伝えたいことは、あえて全員にメンションをつけるのが有効」(けんすうさん)
【ケース6】LINE、Slackなどのグループを作る時の正しいお作法は?
事前に個別に確認を取ること。
「LINEの場合はIDをあまり知られたくないという人もいるので、グループを作る際は個別にそのメンバーを知らせたうえで、承認を取っておく必要があります。スパム的に突然グループが作られることもあるので、それとは違うという意味でも事前報告を。Slackなども、考え方は同じです」(けんすうさん)
【ケース7】「よろしくお願いいたします」など締めの一文は必ず入れるべき?
入れると文章が終わる合図に。
「僕の感覚では、入れたほうがいいと思います。とくにメールは、文章が『これで終了』という合図にもなるので。ただ、最初の『お世話になります』はチャット文化の浸透で、割愛されるようになっているかも。本題から入ったほうが、効率的にビジネスの話を進められる場合もあります」(けんすうさん)
Profile
けんすうさん
「けんすう」こと古川健介さん。IT系起業家。IT企業「アル」代表取締役。学生時代からネット企業や事業を立ち上げる。著書に『物語思考「やりたいこと」が見つからなくて悩む人のキャリア設計術』(幻冬舎)。
anan2447号(2025年5月21日発売)より