倉田瑛茉「“どうぞ”してあげるのもSDGs?」 堀潤と一緒に“私たちに今できること”を考える

ライフスタイル
2025.03.08

SDGsやエシカルという価値観が定着して久しいけれど、実はまだわからないという人も。まずはSDGsの基礎知識を堀潤さんの解説&話題の子役・倉田瑛茉ちゃんとの微笑ましい特別対談からスタート。“私たちに今できること”を考えます。

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SDGsってなんだろう?

堀潤さん(以下、堀):瑛茉ちゃんはSDGsという言葉を聞いたことがあるかな?

倉田瑛茉ちゃん(以下、瑛茉):うん! 意味はわからないけど、お姉ちゃんがよく言ってるから。あと、手を洗うとき水を止めてゴシゴシしたり、小さくなったお洋服をいとこにあげるのもSDGsだってママが言ってた。

堀:素晴らしい。一回着たものをリユースするのはSDGsのアクションの一つだし、さっき、瑛茉ちゃんが大好きなグミを僕らにも「どうぞ」って分けてくれたでしょ。それもSDGs。世界中の人が食べたいものを食べられて、着たいお洋服を着られて、みんなで笑っていられることがSDGsなんだよ。“瑛茉ちゃんは食べられるけど、あの子はお菓子が食べられない”は寂しいでしょ?

瑛茉:うん…。

堀:“フェア”であることが大切で、年齢や性別、人種、生まれた場所などに関係なく、みんなが同じように楽しく暮らしていけるよう、世界の様々な問題を整理して、その解決に向けて具体的な目標を示したのがSDGs。難しいかな?

瑛茉:う~ん、おもちゃを貸してくれない子に「ダメだよ」って言ったり、お友達がブランコに並んでたら「いいよー」って“どうぞ”してあげるのもSDGs?

堀:そう。自分だけがいい思いをするのではなく、隣にいるお友達と一緒に幸せになること。“誰一人取り残さない”というのが、SDGsの大きな理念なんだよ。

堀潤さんが解説! SDGs最新トピックス

SDGsの達成期限である2030年まで残り5年。国内での認知率は高まったが、世界では戦争が継続しており、飢餓・貧困の問題も未解決。「SDGs達成は後退している」と、堀さんは語る。

「戦争が起きると物の値段も上がるので、格差が広がり、生活が苦しくなれば児童労働も増えて、教育の機会は失われる。さらに、先進国の食料をまかなうために過剰な生産が広がると、環境にも問題が出てくる。全部が繋がっているんです。そうしたネガティブな流れの中、2024年のノーベル平和賞は『日本原水爆被害者団体協議会』が受賞しました。彼らは約70年間、核兵器廃絶を訴え、結果、アフリカや東南アジアの国々を動かし、核兵器禁止条約を国連で採択させた。そういうことを続けてきた人たちがいる国なんだと、いま日本は世界から注目されています。だから今後も平和を訴えるメッセージを発信し、困っている国や人がいたら日本の持つ技術で支援していくことが大切なんです」

ただ、国や企業単位ではSDGs達成に貢献できていても、個人で考えた場合はどうなのだろう。

「エコバッグを使用する、スタバにマイボトルを持参するといったことが習慣化している人も多いですよね。そもそも大きな目標を全部一気に達成するのは無理だから、できるところから始めましょう。そのために分野別に目標を作ったのがSDGs。だから構えすぎず、自分の興味のある項目にまず目を向けてみたらいいと思います」

TOPIC1:「17の持続可能な開発目標」は今どのくらい達成できているの?

日本の達成率は現在、世界18位。後れを取っているのは、“ジェンダー平等”。
2024年SDGs達成度ランキングは上位を欧州諸国が占める中、日本は167か国中18位にランクイン。

「皆さんが思っている以上に、日本は達成度の高い国なんです。それは平和な国だから。戦争を放棄すると憲法で明文化されていたり、医療保険のシステムを見ても、先進国で国民皆保険制度がある国は限られている。SDGs採択前から取り組んでいることが多いので、達成度も高いといえます。その中で、日本の弱点はジェンダーの問題。国会議員をはじめ、企業の役員・管理職における女性の割合は国際的にも非常に低い水準で、女子教育は進んでいるのに、古き慣習や制度によってキャリアを断絶させられてしまう。現在、女性知事は東京と山形の2人のみですが、東京都では不妊治療などの助成に力を入れ、給食費の無償化を行うなど、女性ならではの視点で改革が進められている。女性の活躍の場がさらに増えれば、もっと暮らしやすい国になるのではないでしょうか」

TOPIC2:トランプ政権に代わって、世界も変化するの?

アメリカは“多様性疲れ”の風潮…。今こそ日本の頑張りどき!
「性別は男性と女性の2つのみとする」と就任演説で宣言したトランプ大統領。第2次トランプ政権が発足し、前回以上に過激な政策を打ち、SDGsの行方も気になるところ。

「近年、多様性・公平性・包括性を意味する“DEI”の概念が尊重されてきましたが、いまアメリカでは、“マイノリティばかり重視して、他のマジョリティが不利益を被っている”といった反発の声がどんどん上がっています。結果、多様性支援を廃止したり、LGBTQイベントの協賛を中止するなど、一部の米大手企業で“反DEI”の動きが広がり、いわゆる“多様性疲れ”が起き始めているんです。そんな中、日本の企業はDEIを重視すると表明。世界が大きく変わるからこそ、日本は現状を維持して、これまで誠実にやってきたことを自分たちのペースで続けていくことが重要だと思います」

TOPIC3:最近よく聞く「フェアトレード」はどうして必要なの?

世界の不平等を正すアクションの一つとして考えてみよう。
フェアトレードとは、開発途上国の生産者と先進国の消費者が対等な立場で行う貿易のこと。フェアトレードの認証製品を買うことは、生産者をサポートできる手軽な方法の一つだが、わざわざフェアトレード商品を選ぶ=意識が高い人だけという認識の人もいるのでは?

「フェアトレードを社会貢献といった意味合いで捉えると、キレイゴトに映るかもしれませんが、身近な知人が困っていたらどうでしょう? 『大丈夫?』と手を差し伸べるのは当たり前のことですよね。顔が見えないと、どう行動していいか迷うかもしれませんが、自分とは無関係な遠い国の誰かの問題ではなく、“困っている○○さん”として想いを馳せれば、身近に感じられ、アクションもしやすくなる。そうした積み重ねが世界の不平等をなくし、貧困のない公正な社会の実現に繋がっていくんです」

TOPIC4:大阪・関西万博でSDGsへの理解が深まるってホント?

世界の“これから”が凝縮されています。
世界の英知が集まり、SDGs達成への貢献を目指す大阪・関西万博では、気軽にSDGsを体感できる仕掛けやプログラムが盛りだくさん。

「まず注目したいのが“大屋根リング”。建設費に関して批判の声もありますが、屋上に立って見渡すと、日本の自然の豊かさが一目でわかる。リングには福島県産の木材を使い、林業の活性化や福島の復興にも貢献しているし、リングの中には諸外国のパビリオンが立ち並び、“世界は一つ”といったメッセージも込められているんです。また、大阪府・大阪市が出展する『大阪ヘルスケアパビリオン』は新たな医療技術の粋。例えば、自身の健康データを基に25年後の自分の姿がCGホログラムで再現され、未来のヘルスケアや都市生活を体験できたり、健康で充実した暮らしを送るための仕組みや技術を楽しく学ぶことができるんです」

TOPIC5:これからの未来のために、いま何をすればいいの?

自分と同じ目標を掲げている人に投票をするのが、一番簡単なアクション!
自分も、周りの人も、誰一人取り残さず、みんなが幸せに暮らせる世界を目指して、いま私たちにできることとは…。

「一番簡単にやれることといったら、選挙に参加し、自分と同じ目標を掲げている人に投票することです。日本国籍を持つ18歳以上のすべての人に与えられる『選挙権』ですが、最も平等な制度でありながら、最も使われていないのが現状。投票率は高くてもせいぜい50%程度ですから。戦争している国々ではこの一票が与えられず、独裁的な国では市民が自分で選ぶ権利も保障されていなかったりする中、せっかく自分の要望を訴えられる機会なのに、行使しないのはもったいない。まずは、自分が幸せであるために足りないことや困っていること、自分が関心のある分野、解決を望むテーマに取り組んでいる人に投票してみてはいかがでしょうか」

PROFILE プロフィール

堀 潤 さん

ほり・じゅん 1977年7月9日生まれ、兵庫県出身。ジャーナリスト、キャスター。現在は『堀潤 Live Junction』のMCをはじめ、『ABEMA Prime』などに出演中。

倉田瑛茉ちゃん

くらた・えま 2020年1月11日生まれ。昨年、ドラマ『西園寺さんは家事をしない』に出演し、注目を集める。昨年、小誌「トレンド大賞」企画にも登場し大きな話題に。

瑛茉ちゃん・ブラウス¥7,260 ベレー帽¥3,400(共にPETITMIG) ベスト¥20,900(tapis/ハープ hapandcraft@kk-next.jp) ショートパンツ¥11,000(フィス TEL:06・6209・0928) ソックス¥770 靴¥3,190(共にプティマイン/ナルミヤ・インターナショナル カスタマーセンター TEL:0120・985・080) その他はスタイリスト私物

写真・山根悠太郎(TRON) スタイリスト・松島 茜(io/瑛茉ちゃん) 野崎未菜美(プロップ) ヘア&メイク・遊佐こころ 取材、文・関川直子 撮影協力・AWABEES

anan 2437号(2025年3月5日発売)より

MAGAZINE マガジン

No.2437掲載2025年03月05日発売

今、わたしたちにできること。

特集は“いま、私たちにできること”。SDGsやエシカルという価値観が定着して久しいですが、自分レベルで実践できる地球にやさしい情報をアップデートしてお届けします。第2特集はフェムケア。CLOSE UPは笑福亭鶴瓶さんと重岡大毅さん。Travis Japanカレンダーへの道には川島如恵留さん、Aぇ! groupプレ連載には小島健さんが登場します。

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