意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「アジア系ヘイトクライム」です。

まずは身近な差別をなくし、良い関係を築こう。

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アメリカでは、アジア系住民に対するヘイトクライム(憎悪犯罪)が近年増えており、コロナ禍で急増しています。今年の1月には、ニューヨークの地下鉄のホームで電車を待つアジア系女性が線路に突き落とされて死亡。2月にはマンハッタンで、アジア系の女性7人が見知らぬ男から突然顔を殴られるなどの暴行を受けました。在ニューヨーク日本国総領事館は、長引くコロナ禍において、日常生活に対する不満が増大しやすく、ヘイトクライムやハラスメントの増加、凶悪化が懸念されると在留邦人に注意喚起をしました。

この2年間でアジア系のヘイトクライム被害は1万件にのぼり、5月末には活動休止前のBTSがホワイトハウスを訪問し、バイデン大統領とヘイトクライム問題について議論を交わしたことが大きなニュースになりました。

そのころ、ニューヨーク在住のジャーナリストに、アジア人同士の連帯は運動としてあるのか尋ねたところ、Black Lives Matterに比べるとまとまりは弱いという返答でした。足元の日本を見ても、アジア人同士が本当に仲良くできているかというと、さまざまな問題を抱えています。在日韓国人・朝鮮人の方へのヘイトスピーチや差別感情をベースにした社会問題は横たわっています。また、難民問題についても、アジア各国からの避難者の受け入れや待遇の悪さを見過ごせません。

2020年の日本の外国人労働者全体の平均賃金は、月額21万8100円。日本人全体の平均賃金は30万7700円で、9万円近い差があります。特定技能の場合、17万4600円、技能実習生の場合は16万1700円。勤続年数も、外国人労働者は2.7年。一般労働者が12.4年なので、外国人の方の雇用の場は極めて不安定といえます。

日本の産業構造上、外国から来た人々に対してそもそも冷たいんですね。

アメリカのアジアンヘイト問題を語る前に、国内の構造的な格差や差別感情を生み出してしまう有様を変えて、アジア人として連帯できたらと思います。これまでの歴史を知った上で、お互いがフェアな関係を築けるよう模索する必要があるのではないでしょうか。

hori

堀 潤 ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。

※『anan』2022年8月10日号より。写真・小笠原真紀 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子

(by anan編集部)

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