日本の未来の姿がここに? いま注目のI T 先進国。
今年の1月、安倍首相は日本の首相としては初めて、エストニア、ラトビア、リトアニアのバルト三国と、ブルガリアなどの東欧諸国を訪問しました。北朝鮮の脅威に対抗するには、他国との連携が必要。エストニア以外の国は北朝鮮と国交があるため、首脳会談のなかで、経済制裁の強化の必要性などを説きました。今回の歴訪には、日本企業約30社の幹部も引き連れており、経済交流を深めたいという意図もあったようです。バルト三国は1991年にソ連から独立しましたが、ソ連時代に、ラトビアは車両や造船、リトアニアは電子産業、エストニアはインターネットの分野に力を入れていました。
そしてエストニアは、いまや世界を代表するIT先進国に成長。Skypeを開発したのもエストニアです。この国では政府、病院、警察、学校などの公的手続きがすべてインターネットで行える電子政府化を進めており、「eエストニア」と呼ばれています。まず、マイナンバー制度のようなものを導入し、15歳以上に配布されるIDカードには、身分証明、医療情報、運転免許のみならず、お店のポイントなどの個人情報も統合されています。電子投票も導入されていて、2005年に地方議会議員選挙で、2007年には国会議員選挙、2009年には世界で初めて、欧州議会議員選挙でも電子投票を行いました。ロシアからサイバー攻撃を受け続けた結果、高レベルのセキュリティガードを確立。NATOのサイバー防衛協力センターも首都タリンに置かれています。
エストニアの国土は、日本の9分の1の4.5万平方キロメートル。人口は約132万人で日本の100分の1です。2014年には、エストニアに住んでいなくても、外国人が電子居住権を得て、口座開設をし、エストニアで会社を登記することもできるようになりました。最新鋭のIT技術によって、小さな国土、少ない人口でも、外国企業を呼び込み、税収を確保できるようにしたのです。これは、人口減少に悩む日本にとっても学べる手法かもしれません。いま、財界人や経営者たちはこぞって、エストニアの視察に行っているんです。
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