五輪を機に募る南北融和ムード。問題は閉会後。
新年早々、約2年ぶりに韓国と北朝鮮の南北閣僚級会談が開かれ、北朝鮮は平昌オリンピックに参加することになりました。女子アイスホッケーは南北合同チームで出場するなど、南北融和ムードが広がってきています。
会談は、北朝鮮がリードする流れになり、「朝鮮半島の問題は2国間で話す。核やミサイルは、アメリカがこちら側に銃口を向けているから身構えているだけ。我々の問題に水をさしているのはアメリカだ」というメッセージを国際社会に打ち出しました。
金正恩体制の一番の脅威はアメリカ。友好関係にあるアメリカ、韓国、日本の分断を狙っているといわれています。北朝鮮にとっては、慰安婦問題や竹島問題など、日本と韓国の間も火種を抱えていたほうが都合がいいんですね。
韓国の文在寅大統領は、公約で、南北問題に関しては融和政策をとると宣言していました。しかし、日本やアメリカとの良い関係は保ちたく、国内世論も気にしています。
以前、取材で、韓国の退役軍人数名に北朝鮮についての思いを聞いたところ「アメリカ軍と行動を共にするけれども、北には自分らの親戚も住んでおり、かつての同胞なんだ」と、複雑な表情で本音を漏らしていました。
もし、ここで北朝鮮が平昌オリンピックに参加しなかったら、国際的な緊張関係はますます高まったでしょうし、北朝鮮は交渉のカードを1枚失うことになります。また、北朝鮮国内に対しても、国際社会の一員であることを示すために参加は必須でした。
問題はオリンピック後でしょう。核兵器やミサイルの問題が解決されないまま、韓国と北朝鮮の友好ムードが吉と出るか凶と出るか。鍵を握るのは中国、ロシア、アメリカです。最悪のシナリオは、このまま北朝鮮の核の保有を世界が認めるということ。そうなれば、日本と韓国は安全保障を根本から見直さなければなりません。また、他の国々も核の保有を主張しだすかもしれません。
いずれにせよ、北朝鮮にとって、いま平昌オリンピックが開催されたことは、自国を優位に持っていくための絶好のチャンスだったんですね。
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