1月から放送がスタートし最終回を迎えたばかりのTVアニメ『呪術廻戦』「死滅回游 前編」。個性豊かな呪術師が続々と登場する本編から、乙骨憂太(おっこつ・ゆうた)を演じる緒方恵美さんに、乙骨の成長と活躍について伺いました。


緒方恵美「肉体的にも精神的にも成長した乙骨を」

「死滅回游」では、死刑執行役として現れた乙骨憂太。その相手は、多くの犠牲を生んだ呪術界の総力戦「渋谷事変」を経て、絶望の淵に立たされている虎杖悠仁だ。

「虎杖くんを殺すという役割を持っての登場だったので、第3期ティザービジュアルなど放送前に出てきたものは全部怖い顔だし、どこか死神のような感じもありました。でも、人間としては全く変わっておらず、ほっとしましたね。間が抜けていたり、デリカシーがなく相手を困らせてしまったり、“友達の友達は友達”みたいな論理で生きていたり…(笑)。ただ、『劇場版 呪術廻戦0』の1年生の頃から『死滅回游』までの1年ほどの間に、普通の人が10年、20年かけてするような研鑽を積み、本当にたくさんのことを体得してきたと思うんです。そうして人一倍、しんどいことや辛いことを背負った結果、ある種、達観しているといいますか、精神的にも肉体的にも成長したと感じました」

そうした乙骨の変化は、「死滅回游」における戦闘シーンにも。

「場を冷静に見てジャッジして動けるようになっている姿を見て、彼なりにいろいろなものを身にできているのだなと。だからこそ、戦うシーンに関しては、以前よりも人間的に強く、深い人という方向に振って演じています。一方で、自身が傷を受けた時はちゃんと辛くなるし、人が傷ついている姿を見て心を痛めるような優しさも。彼の実年齢より20以上歳を重ねた大人がする目配りみたいなものも、表れてきていると思います」

複雑な「死滅回游」のルールを明確に理解したのは、アフレコの現場だったそう。

「原作を読んだ時点では、正直、ざっくりとしかわからなくて。“アフレコに行けばきっと何かが見えるはず”と、乙骨と同じ気持ちでスタジオに(笑)。実際、天元様役の榊原(良子)さんの素晴らしいセリフ回しのおかげで、すぐに理解することができたんです。また、オンエアを見た時に、“究極の3Dパワーポイント”のような素晴らしい解説図を見て、よくあそこまでわかりやすく落とし込めたなと感動もしました」

最終話の収録はいつもと少し違う進行で、苦労したこともあった。

「仙台結界は、実は途中まで2話に分けて放送するプランニングだったみたいです。ただ、絵コンテの段階で、『呪術廻戦』らしさのあるスピーディなテンポ感の映像づくりを追求した結果、2話に分けて作ることで間延びするよりも、1.5話くらいにまとめるのがベストだと、製作委員会の皆さん交えて検討した上での判断になったようなんです。なかなか大変な調整だったとは思うのですが、関係各所、作品に携わる皆さんがいい作品にするためにご尽力してくださり、みんなで最高の一話のために頑張ろうと動いておりました。

ただ、そういうこともあり、最終的な台本の制作がタイトになり、その台本の膨大な修正箇所を書き写してアフレコに挑もうとしたものの、時間が足りず。殴り書きになってしまったことで自分の字が読めなくなり、声優人生で初めて『ダメかもしれません』とご相談申し上げてしまいました。私のやり方なのですが、セリフは常に新鮮に喋りたい。そのためにセリフ前に起こっていることを脳内に強力に想像力で再現させ、そこにいるままの心で…を大事にしています。ですが全ト書き(場の説明)を読めない状態にしてしまったために心が瞬間止まってしまって…ご相談の結果、私だけ後日録り直すことに。1回目と2回目、どこがどのように採用されているか音響チームにお預けしているのですが、まだ最終のものでない仮の映像を見た時にご調整いただけてありがたかったと感じました」

あらためて、「死滅回游」も含めて『呪術廻戦』の魅力とは。

「私が何を言ってもチープに感じるくらい、本当に素晴らしい作品です。熱量を高く持ち、クオリティ追求のために全員が妥協せずに作り上げるからこそ、こうした素晴らしい作品が生まれるのだと思います」

Profile

緒方恵美

おがた・めぐみ 東京都出身。主な作品にTVアニメ『幽☆遊☆白書』(蔵馬/南野秀一)、『美少女戦士セーラームーン』シリーズ(セーラーウラヌス/天王はるか)、『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズ(碇シンジ)など。

乙骨憂太

おっこつ・ゆうた 特級過呪怨霊となった幼馴染みの里香をきっかけに呪術高専に編入。「里香」の解呪に成功した後、虎杖の処刑人に任命されることに。

What’s? 「死滅回游」

羂索 (けんじゃく)が仕組んだ呪術師たちによるデスゲーム。「術式覚醒後19日以内に参加を宣誓しなければならない」「他泳者の生命を絶つことで点を得る」「100得点を消費することで管理者と交渉し死滅回游に総則を1つ追加できる」「19日以内に得点の変動がなければ術式を剥奪する」など、さまざまなルールが定められている。虎杖と伏黒はポイントを稼ぐことでルールを追加して、津美紀や消極的な参加者を助けたり、ゲームを平定することを目論んでいる。各プラットフォームにて好評配信中!

写真・岩澤高雄(The VOICE) スタイリスト・原田幸枝 取材、文・重信 綾 Ⓒ芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会

anan 2490号(2026年4月1日発売)より
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No.2490掲載

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