PAYSAGE by Hideki Eto――江藤英樹シェフ
自然への敬意が息づく、ショコラへのアプローチ。
クッキー缶は即完売、パフェを出せば大行列。催事で人気をさらう『PAYSAGE』が昨秋ついに伊勢丹新宿店に常設、ファンを歓喜させた。そして間もなく旗艦店もオープン。1階ではパティスリーとアフタヌーンティーを、春から始まる2階のシェフズテーブルではデザートコースやパフェまで、トータルで楽しめる夢の2階建て。江藤英樹シェフのお菓子はいつも、食材へのリスペクトに溢れている。彼が愛してやまないエクアドル産チョコレート「カミーノベルデ」なら、「ガナッシュやムースにするとパワフルなカカオ感や果実味が生きるし、焼き菓子にすると土の香りも…いろんな魅力を味わってほしくて」と全パーツにこのチョコをちりばめ、同名のタルトに仕立てた。口にするとサクサクとろり、カカオの力強くも優雅なアロマが押し寄せ、そっと大地の香りが寄り添う。自然の恵みが息づくタルトは、早くもシグネチャーの風格を漂わせていた。
ショコラのムースとブランマンジェにベリーとノンアル白ワインジュレが瑞々しい、「ヴェリーヌ ショコラ フリュイルージュ」¥864。
「カミーノベルデ」(¥1,296)は隠し味のミルクで華やか。
ペイサージュ 2/22オープン予定の旗艦店。パフェなどが楽しめる2階のシェフズテーブルは4月スタート予定。●代官山本店/東京都渋谷区代官山町20‐23 Forestgate Daikanyama内 TEL:03・6455・2515 11:00~19:00 月曜休
江藤英樹シェフ フランスで修業後、『ベージュ アラン・デュカス 東京』を経て、『ドミニク・ブシェ トーキョー』『ティエリー・マルクス』などでシェフパティシエに。2020年『PAYSAGE』を始動。
Patisserie Kyohei Mikami――三上恭平シェフ
繊細にして大胆、発見に満ちたショコラ。
息を呑む美しさと無二の味わいのお菓子で、甘いもの好きを熱狂させている三上恭平シェフ。そのクリエイティビティは、『トシ・ヨロイヅカ』にいた頃から没頭しているデザート作りに宿る。「6月からここでもアシェットデセールを始めて、より素材を深掘りできるようになりました」。そのアイデアをショコラへも落とし込む。ボンボンショコラでの大葉と日本酒「幻」の組み合わせは、考案したアイスをヒントに。齧ると予想の上をいく大葉の爽やかさに、酒が品を添えていく。衝撃作は黒ニンニク×イチゴ。イチゴを合わせることで、熟した杏に似た黒ニンニクの濃厚な甘さを引き出してみせた。焼き菓子では発酵の旨みを追求。ライ麦のサワー種を使った定番マドレーヌ「サロメ」のチョコ版は、カカオやチェリーの芳醇さを発酵の旨みが底上げしているよう。研究者のように緻密に、芸術家のように自由に、チョコの未知なる幸せを届けてくれる。
ライ麦のサワー種を使ったマドレーヌのチョコバージョン、「サロメ・ショコラ」1個¥400。
大葉×日本酒、黒ニンニク×イチゴのほか、ベルガモット×桜尾(広島のクラフトジン)、山椒×柚子などが揃う「アソルティショコラ」4個入り¥1,800。
パティスリー キョウヘイ ミカミ アシェットデセールを持ち帰るような特別感あるケーキを中心に、ベーシックなケーキも並ぶ。●東京都世田谷区上野毛4‐22‐2 KAYAH KAMINOGE 1F TEL:03・5491・5181 13:00~18:00 土・日・祝日のみ営業
三上恭平シェフ 『ペール・ノエル』を経て、『トシ・ヨロイヅカ』ではスーシェフを任されながらショコラも担当。その後スイーツのコンサルとして日本やアジアの店を監修し、昨年3月に自店を開店。
※『anan』2024年1月31日号より。写真・yoko 取材、文・chico
(by anan編集部)