栄養のある食事を規則正しく。
「いい眠りにつくためには、体のリズムを作ることが大切。その上で不可欠なのが、栄養のある食事を規則正しく摂ること。それによって、睡眠にまつわるさまざまなホルモンが分泌されやすくなるのです」と語るのは、管理栄養士、睡眠改善インストラクターの篠原絵里佳さん。今回は良質な睡眠のために重点的に摂りたい栄養素を、眠りの悩み別に教えてくれた。
「寝つきが悪い人は、睡眠ホルモンのメラトニンを合成するトリプトファン。すっきりと目覚めたいなら、ビタミンB6と鉄。そして、夜型から朝型へ変えたいならば、体内時計をリセットするインスリンを分泌する糖質。まずは気長に3か月、規則正しく、日々の食事の中に意識をして取り入れてみてください。体の中からリズムが整ってきて、睡眠の質の変化が実感できるようになるはず」
また、食事と一緒に摂りたくなるアルコールやカフェインには注意が必要とも。
「カフェインは眠気を生む疲労物質を分解し、覚醒作用が。アルコールは交感神経を高めたり、利尿作用があります。どちらも眠りが浅くなり、成長ホルモンの分泌が抑えられるのですっきりと目覚められません。摂るなら就寝の3時間前くらいまでにしましょう」
寝つきを良くしたい人に必要な栄養素は【トリプトファン】
朝にトリプトファンを摂ると、昼にはセロトニンへと変化し、夜には睡眠ホルモンのメラトニンが体内で合成されて、自然と眠気を感じるようになるという。ただし、その合成にはビタミンB6、鉄、葉酸などが不可欠。ここでは、トリプトファンと女性が不足しがちなビタミンB6、鉄が一緒に摂れる、朝食に最適なレシピを紹介。ホルモンの合成がより促進されるように、よく噛んで食べよう。
サバとトマトと大葉のチーズグラタン
食べ応えのあるサバは、手軽で旨みたっぷりの缶詰を使用。あとは野菜をカットしてチーズをのせてトースターで焼き上げるだけ。トリプトファンはサバ、チーズから、ビタミンB6はサバ、トマト、大葉、鉄は大葉から摂ることができる。
【材料】2人分
サバ缶…150g、トマト…1/2個、大葉…5枚、ピザ用チーズ…大さじ2(または、とろけるスライスチーズ1枚)、黒胡椒、大葉…各適宜
【作り方】
サバ缶(身のみ)と、くし形に切ったトマト、ちぎった大葉をグラタン皿に入れ、チーズをのせてトースターでチーズが溶けてこんがりとするまで焼く。お好みで黒胡椒を振りかけたり、大葉をちぎって散らす。
チョコバナナスムージー
トリプトファンを含むヨーグルトに、バナナのビタミンB6、葉酸、ココアパウダーの鉄をブレンド。ココアのほのかな苦味がアクセント。睡眠の質を上げてくれるだけでなく、腸活にもいい。
【材料】1人分
バナナ…1本、ヨーグルト…120g、ココアパウダー…大さじ2、オリゴ糖…適量
【作り方】
バナナをちぎって、ヨーグルトとココアパウダー、オリゴ糖を入れてミキサーで滑らかになるまで撹拌する。
鮭とほうれん草とチーズのリゾット
鮭と牛乳、チーズはトリプトファンを含み、ほうれん草にはビタミンB6と鉄が。まろやかな味わいが空っぽの胃に優しく染み渡る。包丁を使わず、レンチンだけで調理が済むのも、忙しい朝に大助かり。
【材料】1人分
鮭フレーク…大さじ2、ほうれん草…30g、ピザ用チーズ…大さじ2(または、とろけるスライスチーズ1枚)、牛乳… 1/2カップ、ご飯…100g、コンソメ…小さじ1/2、塩、胡椒 …各適量
【作り方】
- ほうれん草以外の材料を大きめの耐熱容器に入れてざっくりと混ぜ、ふんわりとラップをして電子レンジ(600W)で2分加熱する。
- ほうれん草をちぎって入れ混ぜ合わせ、再び1分レンジで加熱する。
篠原絵里佳さん 管理栄養士、睡眠改善インストラクター。日本抗加齢医学会認定指導士など多数の資格を持つ。書籍の監修、講演会、イベントやセミナーの講師など幅広く活躍。https://ericashinohara.com
※『anan』2023年9月6日号より。写真・清水奈緒 スタイリスト・野崎未菜美 レシピ作成&料理作製・田村つぼみ 構成、文・野尻和代 撮影協力・UTUWA
(by anan編集部)