ガチ中華
中国の空気感をまるごと提供するガチ感がアツイ。
最近よく耳にする「ガチ中華」。ここ数年、日本で急増しているが、その定義を中国料理愛好家の佐藤貴子さんが解説。
「経営、調理、サービスに至るまで中国語圏の人たちが手掛ける店の総称です。現代中国で見るようなポップな内装の店舗や現地のチェーン店もあり、旅行に来たような気分になることも。また中華圏は広く、地域で食文化が異なるため、今までにない地方の郷土料理店の開業はすぐに中華系SNSで話題となり、若い在日中国語圏の人たちが集まる流れもできています」
そこで、佐藤さんに今注目すべきガチ中華のキーワードを4つ教えてもらった。
「まずは『米粉(ミーフェン)』。中華麺=小麦粉の麺が主流でしたが、中国南方でおなじみの、米粉で作ったつるんとした食感の麺を出す店が増えています。また、複数の香辛料で肉や内臓を煮込む『滷味(ルーウェイ)』はテイクアウト需要が高まるなかで専門店が増加。鍋料理の多様化も目を見張ります。雲南省発祥の『蒸気石鍋魚(ユンナンシーグォユィ)』は天井まで勢いよく噴き上がる蒸気で魚を加熱するパフォーマンスが圧巻。中国でブームになった肉でんぶ入りの甘じょっぱい中華洋菓子『肉松小貝(ロウソンシャオベイ)』も注目です」
【SUMMARY】
・見た目も味も現代中国を感じる店が都内に急増。
・郷土料理も食材も買えるフードコートが活況。
・アレンジなしの郷土料理は日本人にも大人気。
日本人好みの味に調整せずに、辛さや痺れなど現地のままの「ガチな味」を提供する店が都内を中心に開店ラッシュ。様々な地域の軽食を揃える中華系フードコートのオープンも相次いだ。本格的な郷土料理店は、在日中国人はもちろん美食に敏感な日本人も虜に。
1、「滷汁」でしっとりと調味した四川省瀘州市名物・麻辣鶏。現地で100年以上作り継がれる名菜。30種類以上の香辛料を用いた煮込み料理「滷味」の一種。麻辣鶏¥3,960 。電話で取り寄せ可。(四川料理 麻辣十食 TEL:070・1536・1888)
2、一度は試したい、肉でんぶをまとった「肉松小貝」。スポンジケーキにマヨネーズクリームを塗り、海苔入り、カニ、ココナッツ、イチゴ味の肉でんぶをまぶした肉松小貝4個入り¥1,296。(SUKI CAKE TEL:070・1456・7582)
3、強力な蒸気で魚を一気に蒸し上げる「蒸気石鍋魚」。鯛かスズキを選び、専用鍋に魚と特製スープを投入。高圧蒸気で仕上げる、蒸気石鍋魚1人前¥2,980※注文は2人前~。(食彩雲南 過橋米線 四谷三丁目店 TEL:03・5363・8338)
4、米粉の中でも抜群の知名度を誇る「桂林米粉」。広西チワン族自治区の桂林出身のオーナーが開店。現地で「桂林米粉」の店を経営する実家から仕入れる米麺を使った特製桂林ビーフン¥980。(桂品楼 TEL:090・1367・2723)
佐藤貴子さん 中国料理愛好家。中華の食文化の魅力を広く深く伝えるWebメディア「80C(ハオチー)」でディレクターを務める。国内はもとより、現地へも足しげく通い、中国料理に精通。
※『anan』2022年11月16日号より。写真・村上未知 取材、文・鈴木恵美 撮影協力・UTUWA
(by anan編集部)